■259 雷の二本角
昨日は通信障害で、投稿ができませんでした。
ごめんなさい。
是非読んだ感想などなど、気軽に待ってます。
今日は珍しい取り合わせだった。
面蔵さんの武器博物館にちょうどやって来たのは二人だけだった。
「おや。久しぶりじゃのぅ。また珍しい取り合わせじゃな」
「こんにちは。今日はメッセージで送った通り、依頼があって来たけど今いいか?」
「構わんよ」
「助かる」
二人のやり取りはかなり歪だった。
間を取り持つマナがいないから、互いに心から出る強い言葉でぶつかり合うんだ。
我物顔でいる無礼なスノーにも面蔵は柔らかい笑みを浮かべて、まったりと話を聞いていた。
しかしタイガーはと言うと、スノーに無理やり連れてこられてので、この何とも噛み合っているのかいないのか分からない空気にひりついて、勝手にあたふたしていた。
「ど、如何しよう。何で私連れてこられたのかな……」
「おいタイガー。あまり慌てるな」
「ご、ごめんなさい」
タイガーは怒られてしまって、すっかり小さくなってしまった。
いつもの俺様系キャラは完全に崩れ、今じゃひ弱な女の子に戻ってしまっていた。
しかしタイガーもただ押し黙って、教室の片隅で本ばっかり読んでいる物静かな子じゃない。ここは彼女が生きる場所だった。
「でもよ。俺だって一体何しにここまで来させられたのか、分からねぇんだよ! だから教えてくれ。一体俺は……」
「なんじゃ、聞いておらんかったのか? 儂はてっきり聞いておるのかと思っておったわい」
面蔵は顔を顰めて首すら傾げる。
スノーはタイガーに伝えるのを怠ったのだ。
しかし、それが一つ疑惑を生む。
「スノーが……忘れる?……」
タイガーには信じられなかった。
いやタイガーだけじゃない。きっとマナ達だって、同じ反応をする。
完璧人間のスノーがこれしきの事を容易に忘れるはずがない。
かなり自信をもって断言できる。
「なぁスノー。本当かよ、それ?」
「……ふん」
「おいおい。なに隠してんだよ!」
「いいから黙っていろ。それより、もう一人……」
ここには後一人来る。
その人が来るまでに片方は仕上げておきたかった。
「これが加工してほしいものだが」
「ほほう。これはなかなか」
面蔵はあっけらかんとした。
スノーがインベントリから取り出したのは、この間。
と言うか、昨日ドロップしたレアアイテム。
金色に輝く長い角。確か二本落ちたはずだ。
「それって火山灰コーンの金角じゃねぇか。何でそんなもん」
「なにって。これを加工するんだ」
スノーの目的はそれだった。
あんなに苦労して集めたものだ。一番苦戦して頑張っていたタイガーからしてみれば、有効活用の一つはしてもらわないと、困るってもの。
それをわざわざ、こんなところまで来たということは流石のタイガーにも察しがついた。
「あぁなるほどな。ボウガンの矢にするのか!」
「正解だ。こいつを加工して、雷角矢にする」
「雷角矢?」
タイガーは初耳だった。
もっともスノーが突飛に思いついたものだから、面蔵にも詳しくは解っていない。
ただ、昨日メッセージと一緒に添付して送られてきた設計図によると、マグロ漁船に取り付けられた電気ショックを使えるモリと同じような代物だった。
「後方にワイヤーを取りつけ、何度でも再利用ができるようにするのは面白い発想じゃの」
「昨日せっかく楔を打ったんだ。使わない手はない」
スノーによれば、昨日楔を打っておいたのは、月明かりがなくなり勝手に粒子になってしまっても砂鉄みたいにくっつく特殊な灰だから楔に付けて使おうと考えていたみたいだ。
しかもそれが運良く二つもドロップしたので、タイガーはきっと二本分作るんだと思い込む。
「じゃあ二本分作るんだな」
「二本? いや、私が依頼したのは一本だけだぞ」
「えっ!?」
タイガーは声を上げた。
何せ自分の想像と違ったら誰でも声を上げる。
もう一回考えるタイガーであったが、耳に誰かが来る音が聞こえてきた。
「誰か来たぞ?」
白い虎の耳がピコピコ動く。すると面蔵さんの工房の暖簾を誰かがくぐったが、そこにいたのはマナ達だった。
げっそりした顔と痛々しく包帯を手に巻いた跡がある。
「マナ! それに皆んなも!」
「スノー、何とか手に入ったよ。アイアンタートルの甲羅」
「あ、アイアンタートル?」
スノーの「上出来だ」と、偉そうな声が聞こえた中、ただ一人やはりタイガーだけは置いてけぼりを食らっていた。
自分の知らない間に何かが起きている。
それかとてもじゃないくらい怖かった。
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