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■258 穿つ雷角

はいはい、今回でバイコーンのネタはおしまい。

あんまり書けなかった。

ちょっと残念。

 立ち上がりざまに、タイガーは火山灰コーンに蹴りを叩き込んだ。


「さっきはよくもやってくれたな! 危うく死にかけたぜ」


 さっきまでの不甲斐なさを払拭するみたいに、タイガーの蹴りはいつも以上に輝いていた。

 ただの蹴りじゃない。

 重たい鉛のような蹴りを顔に叩きつけられて、タイガーの筋力なら余裕で顔面を破壊した。


「コォーン!」

「まだまだ!」


 タイガーの蹴りは何度も繰り返していた。

 間々に拳を叩き込む。

 複雑に繰り返されるパンチとキックの応酬は、喧嘩みたいだった。


「こ、怖くない?」

「怒ってるな。だが……タイガー、一旦退け! さっきのが来るぞ」

「マジかよ」


 タイガーは今度は左右に避けながら躱した。

 するとスノーの言った通り、先程タイガーを襲った攻撃が繰り広げる。


 ギュイーーーーーン!——


 真横を真空波が通り抜けた。

 ヤバい雰囲気が漂う。

 バチバチと青白い稲光とともに、赤い閃光が迸った。

 髪の毛がさっと逆立ち、静電気みたいな感じだったが、その何倍も凶悪だ。


「今のって」

「角から雷を飛ばした?」


 マナとタイガーが冷や汗をかいた。

 今のは流石に目で追えなかった。マナだけじゃない。タイガーの動体視力をもってしても、あまりの速さに追いつけない。

 そんなの当たり前だ。

 相手は雷。光を捉えるなんてできやしない。


「私の【雷歩】みたい……」

「あまりに速いな。ちなっちは行けるか?」

「流石に厳しいかな。【加速】って、光に追いつけないからさー」


 掌を上にして、天を仰ぐちなっち。

 完全にお手上げって感じだった。

 しかしにやりと口角を上げる。


「でも、見えたよ」

「見えてのですか! 流石ですね、ちなっちさん」

「マナのカバーによく入るからね。例え、追いつけなくても動きに合わせて待ち伏せすれば当てられるよ」


 Katanaは驚いた後、ちなっちを称賛する。

 でも今のスピードに付いていけるなんて、ちなっちの視力も大概だ。

 だけどこの間も火山灰コーンは蹄で地面を抉りながら、何度も何度も踏み荒らし、マナ達に襲い掛かった。


「クゥコーン!」

「ちょっと待って待って。さっきより閃光が!」


 パニックになるのも分かる。

 火山灰コーンは月の光を利用し、足元に雷を充電した。

 バチッとコンセントから抜いた時のような熱量を持つ。


「こいつはヤバいな。全員退くぞ」

「ですがそろそろ月が隠れてしまいますよ」


 確かに、月は再び雲によって隠されそうだ。

 風が吹いて、ゆっくり月が欠け始める。

 それに合わせ、火山灰コーンの体が塵になり始めた。


「如何しよう。灰に戻り始めちゃったよ!」

「ここは退いちゃ駄目だって。そうでしょー、スノー」

「……仕方ないか」


 大鎌を構えるスノー。

 それだけじゃない。覚悟を決めて、近接戦に移した。

 まさかスノーが遠距離戦を捨てるなんて。誰も想像していなかった。


「じゃあ私とタイガーで止めるよ。行けるよね、タイガー?」

「おうっ! あいつに一泡吹かせるしかねぇよな」

「では私はスノーさんのカバーに入ります」

「そうか。マナ!」

「なに?」

「お前が決めろ。【雷歩】で楔に叩き込め!」


 まさかマナが決めることになるなんて。

 正直本人が一番驚いていたが、


「わかった」


 首を縦に振り、同意する。

 腰から伸びる柄は〈奇跡の星剣〉。星形のガードがギラリ輝く。


「よーし。じゃあ行くぞー。って!」

「マジかよ。早いな!」


 二人は顔を顰める。

 口元が崩れ、辛そうになった。

 まさかこんなに早く突撃されるなんて。体勢を低くして無理矢理受け止めようとするも、足元がおろそかで、完全に押し込まれた。

 しかしそこは流石の二人。体幹の強さを活かして、その場で耐えた。


「このっ! ここから先にはいかせないってー」

「とっとと止まりやがれ!」


 全身に力を込め、襲ってきた火山灰コーンを抑え込んだ。

 火山灰コーンの足が止まる。


「今だ、行くぞ!」

「はい」


 スノーは大鎌を振るい、左から攻め込んだ。鎌の刃が横腹を抉り、一気に切り裂いた。

 薙ぎ払われた一閃。

 火山灰コーンの動きが鈍り、HPがごっそり削れた。


 さらに反対側からは〈夜桜蒼月〉を構えたKatanaが、刀を振り回す。

 繊細な動きはたゆまない糸を手繰り寄せ、鎬を削る

 まさにそれがふさわしく、Katanaの刃は、


「龍蒼寺流剣術捌ノ型—迷霧!」


 繊細さに繊細さを重ね、火山灰コーンの右側を切り裂く。

 さらにHPは削れ、もはや虫の息だが、その前に……


「マズい。月が隠れるぞ!」

「このままでは、もう一度最初からに……」


 Katanaは不安そうな顔をした。

 しかしマナは準備をしていた。

 この一瞬を見逃すことはなく、【雷歩】を繰り出し、攻め込んだ。


「これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 マナは【雷歩】で一気に距離を詰め、雷の速度を加えた一撃は空を切る。

 さらにバチバチと閃光を放ちながら、声も引き延ばされて聞き取れない。

 しかし判ったこともあった。

 それは、


「うわぁ。何か溶けてる!?」

「げっ! これって灰じゃねぇかよ!」


 ちなっちとタイガーは手を突き放した。

 手は灰色の粉が付いていて、火山灰コーンは溶けるみたいにいなくなる。


「なんか、その切ないね」

「そうだね。ちょっとねー」


 マナとちなっちは暗い顔をする中、スノーはインベントリを確認。

 かなり良いものが入っていたのか、にやりと微笑みを浮かべていた。


少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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