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■257 火山灰を纏う二角獣

バイコーンって、本当にいるんだね。

ユニコーンだけじゃないんだね。

 雷のマークが体に刻まれた獣。

 鹿のような姿と、黒い体毛が爛々と輝く。

 さらに頭の角はまさかの二本。どちらも金色色に輝いていて、高貴な姿を翻した。


「あれが狙ってたモンスター?」

「そうだ。ろくに説明もしていなかったが、改めて言うぞ。あれを構築しているのは人の目でかなり酷使してようやく見ることができる火山灰だ」

「微粒子ってこと?」

「粒子と言えば粒子だな。だが今あいつは肉体を持っている。月が隠れるまでがタイムリミットだ。高速で片を付けるぞ」


 スノーが大鎌を翻した。

 腕には黒い筒状のボウガン。〈雪花銃〉が取り付いていた。

 マントのようにたなびくワンピースが左腕のボウガンを隠していた。


「先に楔を打ち込む。行くぞ」

「なんか今日のスノーノリノリだね」

「かなり貴重なモンスターだ。時間が惜しい」

「はいはい」


 マナは呆れた。

 だけどその間に目の前のモンスター、火山灰コーンは立派な二本の角に光を集める。

 しかしそれはただの光じゃない。バチバチと光が集った。

 青白い筋が適宜に目に見える。

 あれは雷だ。


「充電を始めたぞ。警戒しろよ」

「分かってるよぉー。それじゃあ、ゴーゴー」

「えっ!?」


 マナは背中を押された。

 すると突然さっきまでマナが立っていたところを、極太レーザーのような雷が走り抜けた。


「な、なに今の」

「あれが火山灰コーンの持つ攻撃手段の一つ、《ボルティック・ストライク》だ」

「なにそれ? 無駄に凝ったネーミング」

「今私が考えた。要は二本の角に雷を集めて、真っ直ぐ飛ばす技だ。あれを食らえばひとたまりもない」

「黒焦げだったかもねー」

「ちなっちに感謝しろ」


 そっか、マナを押したのはちなっちだったんだ。

 確かにあの一切無駄のない、ノータイムな動きはちなっちかKatanaぐらいにしかできない。


「如何しますか、皆さん。攻めますか?」

「待てKatana。お前の刀は電気をよく通すだろ。マナとちなっちもだ。ここに来る前に渡しておいたウォーマーは付けているか?」


 マナ達はそう言われ服の袖をまくった。

 確かに肘にはスノーから事前に渡されていた、黒いウォーマーが当てられている。

 まるでサポーターのようにゴワゴワしていて重たい。でもそれも仕方なかった。


「いいか。奴の体は火山灰でできているが油断するな。それなしだと金属系の武器は電気を通して感電するぞ」

「えっ!? そうだったの」

「ヤバぁ。何も知らなかったら、もう攻め込んでたよー」

「だから渡しておいたんだ。タイガーのものは……」

「俺のは最初っから電気を通さない仕組みなんだよ」


 そうだったんだ、知らなかった。

 タイガーの《虎手甲》の内側には絶縁体が貼ってあるので、大丈夫だそうだ。まさかマナ達が次々武器を変える中、長らく使っていた使い勝手の良さが分かる。


「そんな構造になってたんだ」

「あぁ。って、そんなこと言ってられるかよ。さっさと行くぞ!」


 タイガーは大きく足を踏み込んで、拳を叩き込みにかかる。

 大振りで繰り出す渾身の一撃は火山灰コーンの黒い体毛に打ち込むも、まるでびくともしなかった。

 それどころか硬く粘土のようになった不思議な体に弾かれ、逆にカウンターを食らいそうになった。


「うわぁ、やっべっ!」


 火山灰コーンに二本に角がタイガーを持ち上げ、そのままお腹を抉ろうと追撃するも、そこは流石のタイガー。

 すぐさま切り返すように、体を沈めるようにしゃがみ込むと、右足で火山灰コーンの顔を下から蹴り上げた。


「コーン!」

「ほら、もういっちょ」

「待てタイガー!」

「あんっ?」


 スノーは叫んだ。

 それを聞くや否やすかさず、危険を感知したのかスノーの叫びに引き戻されて、バックステップで後ろに飛んだ。

 すると火山灰コーンは足元に雷を集めると、高速で蹴り上げるように走ってきた。


「ちょい待った!」

「タイガー、ヤバいって!」


 この距離は流石のちなっちでもカバーに入るのは至難の業。

 【加速】を使う余裕もない。

 万事休すのタイガーだったが、瞬く間に迫りよる火山灰コーンの攻撃を自力で耐えようと腕を前にして体を小さくして防御しようとした。


「【雷歩】」


 火山灰コーンの蹄が押し込まれる中、タイガーの体は急な揺れを受けた。

 一瞬意識を失い、息ができなくなる。

 体験したことのない衝撃に包まれたかと思うと、気が付けば火山灰コーンの攻撃を避けきっていた。


「えっ!?」


 目を丸くしてポカンとする。

 何が起きたのか分からず、置いてけぼりを食らう中、隣には、


「大丈夫タイガー?」

「マナちゃん?」


 隣にいたのはマナだった。

 すっかり素に戻ってしまい、明らかにこの状況を把握できていない人の挙動をみせる。

 しかしマナに肩を掴まれて、自分を助けてくれたのがマナだと判ると、目から涙を浮かべた。


「ま、マナちゃん」

「な、何で泣いてるの! そんなに怖かったの?」

「う、うん。死んじゃうかと思っちゃった」


 タイガーは弱音を吐いた。

 それは戦意喪失かと思われたがまるで違った。


「まだいけるタイガー?」

「いけるって……当たり前だ!」


 すぐさま調子を戻してキャラを作ると、タイガーは指を鳴らした。

 この程度で折れたりしない。

 むしろこの程度で折れるやわじゃないことを皆んな知っていた。


少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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