■252 マラソン大会①
こっから少し改修。
とっても寒い日。今日は十二月の三日です。
寒すぎます。空は灰色の雲が覆っていて、これぞ曇天と言った感じです。暗いです。そして寒いです。
「さ、寒い……」
「そうかなー? 私はそんなだけど」
千夏ちゃんはそんなことを言った。
でも今回は私の方が正しい。だって皆んな寒そうにしていて、体を抱えている。
ジャージを着ているのに何でこんなに寒いの。まだ十二月も初めの初めだよ。雪も降ってないのに……
「まぁまぁ。ちょっと走ったら終わるんだからさー」
「ちょっとって。男子たち、あんなにくたくたなんだよ?」
「そっかな? ほら、あれ見てよ。ちょっと走ってるでしょ?」
「ほんとだ。なんでだろ」
「さぁね。でも前に陸上部にいたとき、顧問の先生が言ってたけど、すぐに止まると血液の流れが滞るからとかなんとか。知らないけどー」
「知らないんだ」
「うん!」
そんなにこにこ笑顔で頷かないくてもいいのにね。
でもさ、千夏ちゃんって昔からこういう性格で、感覚タイプだ。だからとにかく聞かないがいい。うん、長年の感がそう囁いた。
「はーい、次は女子の番だよ。並んで並んで」
「だってさ」
「はぁー。今日はあんまり気乗りしないなー」
体育の先生に呼ばれ、私達はスタート位置に並んだ。
横を見れば倒れた男子たちもいる。
千夏ちゃんは乗り気で、私は口をポカンと開けていた。
「それじゃあ位置について。よーい……どん!」
美桜高校のマラソン大会は毎年十二月にあるらしい。
しかも距離として男子は十二キロ。女子は八キロ。結構ある。
しかし私も千夏ちゃんとよく走っていたから、そこそこ体力はある。だからずーっと同じぐらいの速度で走っていた。
「千夏ちゃん、先行っていいよ」
「えっ!? 別にいいよ。そんなに急いでないし」
「でも……」
背後からすっごい勢いで迫る気配を感じた。
でも私に対してじゃない。だって……
「南さーん!」
「ん? 千里」
隣を走る千夏ちゃんにだった。しかもこの声、聞いたことがある。だって……
「嘉歩ちゃん」
「お疲れ、愛佳さん。如何よ、どんな感じよ。走るの気持ちいいでしょ」
「えーっと。私は微妙かな? でも嘉歩ちゃんは楽しそうだね」
「うん。私は知るの好き。ねぇねぇ南さん。ちょっと勝負しようよ」
なんと、マラソン大会の行事で勝負を吹っ掛けた。
しかし千夏ちゃんは「うーん」と悩むと、
「やめとく。私普通に走りたいし」
「えー。いいじゃんいいじゃん。走ろうよー!」
「はぁ。うん、いいよー」
千夏ちゃんは小さく溜息を吐いた。
多分この間の疲れが出てるんだ。何があったのかは知らないけど、分からないからこそ、何かあった。私だって刀香ちゃんだって、よく思い出せないけど、何かあった。だからその疲れが意味なく取れないんだ。
「じゃあ二人とも頑張ってね」
「オッケー」
「私負けないよー」
二人は私を置いて走って行った。
ぐんぐん加速して、他の生徒を追い抜いていき、遠くに消えていった。
「やっぱ二人とも速いね。だって小学校の頃からのライバルだもんね。一方的な」
そうなんだよなー。
だって千夏ちゃんは楽しく走ってるだけなんだもんね。
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