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■251 秋空、寒空

こっからしばらくそれぞれパート。

かなりの迷走回が三連続。

 その日はもう寒々しい日。

 十一月も終わりに差し掛かっていました。

 刀香と大河の二人は、神社にやって来ていました。


「はぁー」

「寒いね」

「そうですね。空も秋空には程遠いです」


 刀香はぽつりと情景を口にしました。

 その隣で大河は枯葉を集め、刀香の声に耳を傾ける。


「手がかじかんできちゃった」

「もうじき冬ですからね。仕方ありませんよ」

「それはそうだけどね。その、なんで私達が神社の掃除をしてるのかな?」


 大河は首を傾げる。

 それもそのはず。今にも雨が降りそうな空の様子と、他に誰もいない空気がそうさせる。

 刀香と大河がこんな場所に、しかも放課後になってまで掃除をしているのはさっき頼まれたからだ。


「すみませんね。私が任されたことですのに」

「大丈夫だよ。だって……」


 大河がニコニコしているのは、さっきお礼に貰ったものだった。

 赤紫色をした硬い皮。

 この時期と言えば、やっぱこれ。集めた枯葉と木の棒にマッチの火。


「だって神社で焼き芋していいって言われたんだよ!」

「それもそうですよね。普通はできません」

「ほんと、刀香ちゃんの家が管理している神社でよかったよー」

「分家の方に任せてしまっていますがね」


 別に刀香を含めた龍蒼寺家は本家・分家は関係ない。

 だって派生しただけで全く違うからだ。


「でも従妹の子には会えなかったね」

「そうですね。従妹はまだ中学生ですから部活でしょうね」

「そっかー。愛佳ちゃんと千夏ちゃんなら、すぐに仲良くなれるかもしれないね」


 大河は暗い顔をした。

 自分にはできないと思っていたからだ。暗い顔は燃える枯葉に視線を落とす。


「怖いですよ、大河さん」

「そう、かな? ごめんね。ちょっと火加減を調整してて」


 大河はニカッと笑った。

 刀香は竹箒でせっせと枯葉を集め、神社の本殿の方に付いた蜘蛛の巣を取り払う。バケツいっぱいに汲んできた水に雑巾を浸して、床を磨く。


「大河さん。そっちの灯籠をお願いします。苔がついていますので、吸い込まないように気をつけてくださいね」

「うん。刀香ちゃんも少し休んだら?」

「私はもう少しやります。後は屋根の瓦ですが……千夏さんなら梯子がなくても登ってしまわれるのでしょうね」

「そ、それも少し怖いけどね」


 刀香は倉庫から梯子を取り出して、屋根に登った。

 少し寂れた屋根の上には近くのイチョウの木の葉が盛ってありました。かなりの間放置していたんでしょうね。


「そう言えば去年は手伝えませんでしたか」


 一年前は受験シーズンもあって、なかなか掃除ができませんでした。

 中高一貫の高校なので、エレベーター式ではありますが、私は今年からでしたので受験も忙しく、掃除に手を貸せませんでしたね。あぁなるほど。あの子がいないのは、そういう事でしたか。刀香は納得した。


「さてと、私も頑張りましょうか」


 屋根の上に張っていたもっと古い別の蜘蛛の巣や、鳥の糞などを綺麗に掃除して、しばらく。

 下から刀香を呼ぶ声がした。

 もちろんそこにいるのは大河で、


「刀香ちゃん休憩しよ。焼き芋できたよ!」


 刀香はかなり働いていた。

 自分の身内の管理している神社で、昔から何度か行ったことのある神社です。ですがそろそろ疲れてきたので、一度休憩を取ることにしました。


「あー。パクッ! うん、やっぱり甘くてホクホクで美味しい!」

「それは何よりです。私も一口。美味しいですね」


 焼き芋なんて久々に食べました。

 毎年のように箱買いしている大河と違い、そこまで焼き芋に執着がないので刀香は二年ぶりぐらいです。ですがこのような場所で食べるのは、なかなか乙ですね。

 しんみりとした空気と、他に誰もいないだけに済んだ空気のする神社で食べていました。


「それにしても……」

「どうかしましたか?」


 大河はおもむろに話し出しました。

 周りの様子をキョロキョロ見回し、天候の悪化も加味してなのか、少し渋めな様子です。


「この神社って、こんなに空いてるの?」

「そうですね。毎年年初めや年終わりは多いですよね」

「でも、普段はこんな何だよね? 手入れとかもあんまりされてないから」


 大河の言っていることは一理ありました。

 でも仕方ないんです。それも分かっていた。

 だってここは……


「山奥ですからね、仕方ありませんよ」

「うーん。そんな神社管理してるって、どれだけ広い土地なんだろ」


 大河は焼き芋を食べながら口にしました。

 空は寒々しい秋空。いえ、もう時期冬空に変わりますね。

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