■250 こんな道ありですか?
ついに250話。
ちなみにここで予告。その内、バイコーンってモンスターが出てくるよ。
それから一気に火山を降りた。
息を荒げながらで、途中の熱気何て完全無視。
噴き上がった火山ガスからも必死で逃れ、私達は今……
「はぁはぁはぁはぁ……」
「なんとか、なんとか……はぁはぁはぁはぁ」
「逃げきれましたね」
Katanaは冷静だった。それを表すのは精神の乱れがないこと。
息も一切荒げていないのは、このKatanaとタイガーだけで、私とスノーは完全に音を上げて倒れていた。
「まさか、火山ガスが出るなんて」
「いやそれは当たっていない。問題は……」
「あの大岩でしたね。狭すぎて刀もまともに使えませんでした」
Katanaは〈夜桜蒼月〉の柄を握った。
しかしあの大岩って完全に仕込みだよよね。だって後ろからなんだよ。そんなの無理だっての。
「でもなんとか逃げ切れたな」
「そうだけどさ。流石に次は来ないよね?」
私はぽつりと口にした。
するとスノーがムッとした顔になっていた。
「どうかな。あれが仮にシステムだとした場合は、何度もあの大岩が来てもおかしくはない」
「そんなー」
私は天を仰いだ。
じゃあ次あの道を歩いたらまた大岩に襲われるのかもしれない。そう考えたら怖くてこの道を通りたくなくなった。
「それにしてもここまでメンタルが……」
「えっ?」
スノーがぽつりと言った。
それから私の顔を見て言い切る。
「マナ。もっと精神を鍛えろ。そうすれば上手く行く」
「上手く行くって。だってちなっちが!」
ここまでちなっちと合流できていない。
きっと今頃はギルドホームで休んでいると考えると、少し寂しい。だってさっきまで一緒にいたのに助けられなかった。これがリアルじゃないのがせめてもの救いで、きっと悔やみきれないよ。
「ちなっち、今頃何してるかなぁ」
つい心のダムが決壊した。
とめどない感情が溢れる。皆んなの顔色が暗くなる、が
「ぷはぁ!」
土煙が上がった。
それから声もしたから何かと思い、全員で振り返る。
誰かいる。私達は武器を構えて警戒したけれど、土煙がだんだん薄くなり見えてきた人影。そこにいたのは……
「ちなっち!?」
「はぁー、何とかなった。まさかこんなところに道が繋がってるなんてさー。ん? あれ、皆んな如何したのさー」
なんで。なんでちなっちがここにいるの。
確かちなっちはマグマの中に落ちて消えたはず。
今頃死んで、ギルドホームで暇を過ごしている頃……じゃない。ログインできないや。
リアルの部屋で一人もの寂しく過ごしている頃のはずなのに、そこにいたちなっちは少し頬に火傷痕と全身を土や泥で汚しただけで、ぴんぴんしていた。
手には〈赫灼相翼〉を握り、刀身が汚れていたからもしかしてここまで掘って来たのかも。
「本当にちなっち?」
「本当だってー。そんな疑った目向けないでよー」
「だ、だって」
「マナの言う通りだ。ちなっち、お前マグマの中に落ちただろ。その記憶はあるのか」
「もちろんあるよ。めちゃ熱くて、意識なかった。てっきり死んだもんだと思ったねー」
「なんだよ、それ」
タイガーのツッコみなんて珍しい。
だけどそうも言ってられない。ちなっちは平然とした様子で私達の前に現れ、自分で道を作って来たんだ。
それも凄いことなんだけど、何より嬉しかったのは、
「無事でよかった」
「心配ありがと。でも私、こんぐらいじゃへこたれないから」
「あはは、その顔見たらそうかも」
「いやいや顔で人のことを判断しないでくんないかなー」
「いや、それは無理な話だ。人間は相手と分かり合うために言葉などを駆使することはあるが、その大まかな判断材料は人間のちょっとした仕草や行動。それから適宜変わる表情が主になる」
「いや、今そんな雑学いいからさー」
ちなっちは表情を歪ませた。
饒舌に喋り出すスノーを見ていると、私も何だかいつもの雰囲気を取り戻せた。だってスノーの顔色が、「よかった」って言ってるんだもん。
「でも本当によかった」
「もうそんな話はいいからさー」
ちなっちは少し聞き飽きていた。
それを瞬時に理解したKatanaはパン! と手を叩く。
「はい皆さん。ちなっちさんも無事でしたし、今日のところは一度戻りましょう。どのみち今のままの装備では満足に探索もかないませんからね」
もっともなことだ。
誰一人としてこの場でだだをこねる者はおらず、私達はそのまま何事もなかったかのように、下山していた。
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