■246 フレアルマジロ
ヤバい。何も思いつかない上にパソコンのエラーが……あっ、あ、あ、あ、あ……
とにかく暑い。
額から汗が滲み出る。
「はぁ。暑い」
「暑い暑い言うな。余計暑くなるだろ」
「そんなこと言われても」
「暑いもんは暑いのー」
ちなっちは溜息を吐く。
しかしスノー以外の二人。特にKatanaは無言でひたすらに登っている。しかもタイガーに関しては目もとろんとしていた。
「タイガー大丈夫?」
「あー、ん? なんだよー」
「今そういうのいいから。本当に大丈夫?」
「ん? まぁーなー」
駄目だ。
タイガーもう限界に来てる。これって一回戻った方がいいかも。そう判断する思考はいつも以上に優れ、鋭く回転した思考は熱にうなされる。
よって肝心の我らが頭脳は……
「帰りたい」
意識が朦朧とする中、うつろうつろになっていた。
目の奥が曇り、生気がない。まるで屍のようだ……なんちゃって。
「ほらほら。早く登らないと、ポータルに辿り着けないぞ!」
そんな中、一人だけ元気な子がいた。
私達を励まそうと、さっきから一生懸命明るさを振舞う。だけど熱すぎる行為は逆効果だった。
私達はぬちゃっとした笑みを浮かべるだけで、笑えないでいた。
「ちなっちは元気だね」
「そう? うーん、私はこのくらい大したことないから」
「そうなんだ。よかったね」
〈火の粉のスカーフ〉だっけ?
もう覚えてられない。地球温暖化でいつかこんな風になっちゃうのかな。これじゃあ草木も枯れ果てて、海水も蒸発して蒸し暑いだけの日々が待ってるかもと思うと、絶句する。
こんな暑さクーラーじゃ耐えきれないよ。
水筒の中の水はもう空っぽ。軽くなった水筒をひっくり返し、愕然とした。
「もう無理だ。引き返すぞ」
「えっ!?」
スノーがそう言い始めた。
確かに一理ある。だけどちなっちだけは何故か平気そうなので、止めようとする。
「如何して? もう少しで中腹のポータルだよ!」
「そうはいっても流石に無理だ。それに、単に諦めるわけじゃない。熱耐性を万全にすれば行けるはずだ」
スノー言っていることはかなりもっともだった。
それにはあのKatanaやにこにこ笑顔になるタイガー。二人ともかなり嬉しそうだ。
「えー。んー、そうだ! じゃあ私が一人で中腹まで行ってポータル解放してくるよ!」
「危険だよ。今日のところは一回帰って……」
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「あぁ、ちなっち!」
「行ってしまいましたね」
ちなっちは私達の話なんて聞かずに行ってしまった。
しかも【加速】を連発して走り抜けた。マジで見えない。
「クールダウンがないのかよ?」
「いや、その間も走り続けているんだ」
いやいや無茶苦茶だ。
私は苦笑いを浮かべていたが……
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「あれ、帰って来たよ?」
あれから十分。
後ろから変な叫び声が聞こえてきた。振り返ってみてみると、そこにいたのはさっき走り去ったちなっち。しかし何かおまけがついていた。
「おい、後ろのやつは何だ……」
「あれは……モンスターでしょうか?」
「でも燃えすぎだよ! あんなモンスター」
「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ちなっちは【加速】を使って走り切る。
しかも後ろに転がっていたのは燃えた弾丸。みたいなモンスターだけど、あれって……
「アルマジロ?」
「キシィィィィィィィィィィィ!」
燃えたアルマジロ。
背中から炎が噴き出る。三匹のアルマジロがそこにいた。
「おい、ちなっち。なんでこんなの連れて来たんだ」
「知らないよ。中腹まで行ってポータル解放したらねー、戻るときに転がって来たんだって」
「そんな偶然あるのか。しかも三匹も」
「そんなことはいいから、早く倒さないと!」
私は叫んだ。
すると三匹のアルマジロは丸まって飛んできた。炎の弾丸に変わって襲われるが、私達は何とか避ける。
「これなに?」
「フレアルマジロ。炎のアルマジロで、別名火炎弾丸だ」
「そ、そっか」
私は言葉を詰まらせた。
そんな取ってつけたような名称が頭の中でグルグルして、結局何も言えなかった。
「ちなみに如何やって倒すの?」
「ん? まぁ、こうだな」
スノーは飛んできたフレアルマジロを大鎌で叩き落した。
「物理!」
「当たり前だろ。無駄にボウガンを撃ったところで、弾かれるだけだ」
「それなら早いな!」
タイガーが熱に浮かれて暴走しだす。
そして瞬く間に残りを倒した。何だろ。怖いですね。
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