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■244 鋼と闇渦

少し書き方を変えてみました。そしてまた一つ歳を取った。

 左手の手袋をギュッと縛り直したマナ。

 〈暗縫の黒星〉が怪しく光沢を発した。


「じゃあ私が攻撃。二人は援護ね」

「任せてよー。ちゃんと合わせるからさ」

「私もです。行きますよ、マナさん」


 一度距離を取っていた三人だったが、マナの合図を皮切りに先手を切って動き出したのはKatanaだった。

 愛刀の一つ青い筋の光る〈夜桜蒼月〉を突き出す形で構えると、草鞋を一歩引いてすり寄った。

 それから途中で一気に体重を前方に変えて、刀を振り切った。


「龍蒼寺流剣術壱ノ型“飛沫雨”!」


 飛沫を上げるそうな洗練された動き。

 振り下ろした一撃は硬化樹の体を切りつけるも、半端強引な攻撃は硬く硬化した鋼の樹皮にはまるで通用しない。

 それどころかカウンターを食らって危うく死ぬところだった。

 それもそのはず両手が使えず、その隙に枝が束になって襲ってきた。槍のようだった。


「危ないねー」


 背後に回ったちなっちは〈赫灼相翼〉を叩きつける。

 無数の連撃に加えて、お得意の魔法も絡める。


「《フレイム・オブ・エンチャント》!」


 ちなっちの剣が業火に燃える。

 轟々と燃える炎。パチパチと激しい音を奏でる。


 カキーンカキーン!


 しかしダメージはまともに入らない。

 だけど嬉しいことがあった。


「何か苦しんでない?」

「もしかして火が効いてるのかな?」


 それしか考えられない。明らかに狂ったような挙動を見せる。

 じたばたするような、道端で息絶えそうな虫のようで気持ちが悪い。

 これったやっぱり打撃と火が弱点なんだ。


「今だよ、マナ!」


 しかしマナは考える余地なんてなかった。

 その隙をちなっちたちは見逃さず、マナに殴るよう指示をしたんだ。


「おりゃぁ!」


 マナは思いっきり殴りつけていた。

 するとさっきまで感じていた衝撃や痛みは何処へやら、全くない。しかも硬化樹にもダメージがあって、火によるダメージも加味されてかなり減った。


「嘘っ! かなり減ってるよ」

「これはかなり上々ですね」

「続けてやってみよう!」


 これにすっかり味を占めた三人は、硬化樹の攻撃を躱しながら再度同じやり方を敢行した。

 しかし硬化樹は今度は対策していて、ちなっちが火を展開して攻めようとするも全身の枝々が針のように逆立って、攻撃から身を守る。


「ヤバっ。そう来ちゃうんだー」

「でしたら龍蒼寺流剣術肆ノ型“岩砕き”!」


 Katanaがは無理矢理押し切った。

 繊細さの欠片は何処へやら、完全にごり押しで硬い枝を叩き折る。

 すると痛みから手の動きが止まった。


「くッ!」

「大丈夫、Katana!」


 マナは心配した。

 しかしKatanaは、


「はい、大丈夫です。それよりやってください!」


 Katanaは捨て身だった。

 このまま時間をかけて練ってもこの硬化樹は成長して回復されてしまう。それでは意味がなく、ここまでの行為が無駄になると思った。それから皆んな、こんな無茶なものを要求したシズに怒りが込み上げる。


「これは相当積んでもらわないとね」

「そりゃそうだよ。行けっ、《スカーレット・ファイア》!」


 ちなっちは距離を取り、剣から火の玉を乱れ放つ。

 硬化樹は流石に全部は受けきれず、さっきと同じで奇怪な動きで苦しみ出す。


「よしっ!」

「行けてるよ。後は私が……」


 マナは〈暗縫の黒星〉を使って硬化樹を殴りつけた。

 耐火性もあって全く火は燃え移らない。ここは流石のシズさんだ。マナはそう思った。


「キシヒィィィィィ!」

「うわぁ! ちょっと待ってよ」


 硬化樹は最後の力を振り絞る。

 枝を槍のように伸ばし、剣のように鋭くなった。しかし【ジャスト回避】スキルを使って躱すと、マナは拳を叩き込んだ。

 しかし、


「えっ!?」


 ダメージがミリも入らない。

 嘘みたいなことが起こり困惑すると、油断したマナに硬化樹は攻撃を仕掛ける。だが……


「マナ!」

「マナさん、それは……」


 二人は困惑した。

 しかしそれは本人も同じだった。一体何が起こったのか。それはマナの付けたグローブから発した渦巻だった。


「ちょっと待って、硬化樹の枝が手袋の中に入って来てる!」

「ヤバいよ、マナ。早く引き抜かないと!」

「でも無理。凄い引力で引っ張られる!」


 マナの身に何が起こったのか。

 それを理解できなかった。しかしこれがシズが施した秘密の能力。そのことに気が付くことはこの瞬間ではなかったが、動けなくなった硬化樹のHPは着実にすり減っていき、


「おんどりゃぁぁぁぁぁ!」


 ちょうど硬化樹の真上にスタンバイしていたタイガーが、落下にかかるエネルギーを掛け合わせ拳を叩きつけた。

 硬化樹の体が真っ二つになる。

 まるで雷に打たれたみたいな衝撃と、現象に反射的に狼狽えた。


「よっと。以外に呆気なかったな」

「あっ……」

「「あー」」

「「何だよ、その顔!」」

「「「いや、別に」」」


 マナ達は顔を顰めた。

 タイガーは何でそんな顔をされるか分からなかったけど、Katanaのインベントリには狙っていたアイテムが入っていた。


「一応手に入りましたね、鋼木」

「しかも三本だよ。はぁー、疲れたねぇー」


 現場は疲れ切っていた。

 今にも崩れてしまいそうなほど衰弱していて、ただしタイガーだけは状況を飲み込めずに、


「如何したの、皆んな?」


 首を傾げていた。

 だけどあのどんな状況でも流せるKatanaでさえ、手の痺れで反応できなかった。



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