■239 椎茸の季節だけども
マジで意味わからんかい。
スノー一向は椎茸採りイベントに参加するため、会場の森にやってきた。
白亜森林は何故か白樺が多いのに、何故か椎茸などのキノコや果実が多く採れることでちょっとした知名度を誇る。
今日もたくさんの参加者たちが集まり、運営の指示を聞いていた。
「と言うわけで、楽しんでくださいね!」
「「「はーい」」」
まるで子供の遠足。
そんな気分で参加しているのがほとんどで、スノーやちなっちもその中に含まれる。ただし時々ガチの人達もいて、タイガーはどちらかと言うとこっちに分類された。
「頑張ろうね!」
「頑張ろうって、私達はそこまで……」
スノーが気怠めに返そうとしたが、ちなっちに口を押さえられた。
「そ、そうだねー」
「むぐっ!? ぷはっ! 何するんだ!」
「タイガーのテンション下がるようなこと言わない方がいいよ。たまに怖いからさ」
ちなっちはジト目になった。
たまに本気になるタイガーの目つきが怖いのは元からだが、それを差し引いてもあまりあるパワーを秘めている。それに気がつくのが二人のポイントで、スノーも、
「そ、そうだな」
「でしょ」
と短く返すだけだった。
そんなわけでいざマッシイタケを探してみることにした。
椎茸と言うこともあり、粘菌として木になるもの。しかしスノー達は目を凝らして姿勢を比較したのだが、
「ないな」
「全くないね」
スノーとちなっちは首を傾げた。
椎茸のなりそうな気を探してみても、根っこからなくなっていてあった跡すらない。それを見たタイガーだったが、頑張って探し続ける。
「ないなぁー」
「やっぱりないよね? よくこれでイベント何てやる気になったよねー」
ちなっちの本音は重かった。
しかしスノーは何か気づいていた。このイベント自体に運営、つまり主催者側の意図がある気がした。
「それは……いや、考えすぎだな」
「何のこと?」
「いや、何でもない」
スノーはちなっちの問いに適当に返したが、本心は伝えなかった。
しかしこのイベント自体はかなり矛盾している。それもそのはずで、誰一人としてマッシイタケを採れた様子もない。
「やはりか」
「やはりって何か分かったんだね!」
ちなっちはマナ張りに食いついた。
まるで釣り針の餌に食いついた魚のようである。ウザいと感じたスノーは仕方なく話し出す。話した方が早そうだったからだ。
「このイベントは最初っから客引きが目的だ」
「客引き? 何となくわかる気がするけどさー、何でそんなことするのさー」
「それはな……」
スノーは周りをきょろきょろ見回して、適当な木に何か引っかかっていることに気が付く。
それは葉っぱに似せた紙のようで、ちなっちに取らせた。
「これなに?」
「読んでみろ」
ちなっちはマジで意味の分からないことに呆れていた。
しかし葉っぱ状の紙には何か書いてある。
「えーっとなになに……皆さんすみません。今年はマッシイタケが不足です。来年こそはきっと開けるでしょう。だって」
「と言うことだ」
スノーは気づいていたんだ。
このイベントは運営側。つまりNPC達が開いたもので、それは来年に備えての知名度アップを図ったものだった。
「じゃあさ、あの優勝賞品は?」
「そんなもの初めから出す気なんてない」
「じゃあさ、何でスノーはこのイベントに参加したの?」
「暇だっただけだ」
スノーは本気だった。
しかし呆れるでもなく、薄い笑みを零すちなっち。だけど、
「マナがいたら変わったかもな」
「あー、それは言えてる。【幸運】のスキルって凄いもんね」
「いや、それだけじゃないだろ。お前は気づいているはずだ」
「まぁねー」
マナの幸運はリアルラックが大きい。
そのためきっとマナがこの場に居たらこんなことにはならずに済んだ。けれど……
「だがいなくて正解だった」
「そうだね。いたら皆んな驚いちゃうもん」
それもそうだな。スノーは同意した。
しかし如何したものか。
「タイガーは如何する?」
「あっ!?」
二人はせっせと探し求めるタイガーに視線を送る。
その手際には真剣さがあった。これはヤバいな。止められる人がいない。
「Katanaって凄いよね」
「そうだな。アイツ以上に場を収める能力にたけた奴はいないかもしれない」
「ほんとほんとー」
しかし当の本人達はいない。
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