表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
236/266

■236 天を仰ぐ刀

ついに披露する、最強クラスの刀。

 Katanaはインベントリから何かを取り出した。

 それは刀のようだけど、見たこともない。龍を模した装飾が施され、まるでマナの持つ〈麒麟の星雫〉のようでもある。


「Katana、それは!」

「申し訳ございません。以前手にしたものの、身に余ると思い使うのを控えておりましたが、今は使わざるおえません」


 マナの問いかけに対し、Katanaの口調は早口だった。

 しかしすぐさま納得すると、Katanaは青龍の刀を一振り天高く掲げた。


青龍の華雨(フラワーレイン)! 頼みます」


 すると眩い閃光が迸った。

 Katanaが掲げる〈青龍の華雨〉を中心に、雷雲が変化した。大粒の雨が槍のように降っていたはずが、かき消されるみたく太陽が照り始めた。


「おいおいどうなってるのさ。何で急に晴れるんだよ!」

「分からない。だけどこれは……」


 どんどん日差しが強くなる。

 青空が雲の間から覗くも、その熱量は常在を超えていた。つまりは……


「あ、暑い!?」

「何だこの熱量は……Katana!」

「私は大丈夫です。皆さんは早く船内へ!」


 マナ達が汗をダラダラと流す中、Katana本人は汗一つかいていない。

 それどころか〈青龍の華雨〉は天候を操作して、海水まで蒸発させ始めた。あまりの速度に、クラーケンはその姿を露わにする。


「クラーケン。お覚悟を」


 Katanaは苦しみながら暴れるクラーケンを飛びかかった。

 それから〈青龍の華雨〉を振り払った。


「くっ!?」


 脚を一本切る。

 しかしクラーケンもただではやられてくれない。口から墨を吐き、Katanaは浴びた。すると熱がこもり、顔を顰めるも〈青龍の華雨〉はKatanaだけを雨で冷やして、墨をのぐい落とした。


「Katana!?」

「やはり一人では厳しいですね」


 そう答えると、船内から二本の矢が放たれた。

 鉄製の鏃。まさかと思うと、スノーとシューネが撃ったもので、それを見るや否や、マナもインベントリからある剣を取り出す。もちろん、あれしかない。


「私も行くね!」

「マナ!?」


 マナが取り出したのは〈麒麟の星雫〉。

 久しぶりに使われたことで剣は喜んでいるみたいだ。それからあまりの暑さをものともせず、〈麒麟の星雫〉はマナを守る。するとクラーケンに飛びかかり、切り付けた。


「そりゃあ!」

「マナさん!?」


 突然真横に現れたので驚いた。

 しかしマナはKatanaに伝える。


「行くよKatana! 一気に決めちゃおう」

「分かりました!」


 マナは剣を構えて技を放つ。

 Katanaも渾身の一撃を放つため、刀を構えた。


「《スターライト・エンド》!」

「“五月雨蓮華”!」


 二人の技はまるで違った。

 しかしその巧みな連携により、クラーケンの脚を“五月雨蓮華”で全て切り伏せ、本体を《スターライト・エンド》が貫いた。


 クラーケンはぐったりして倒れた。

 光の粒子に変わり、経験値になる。

 全員に等分した経験値が送られると、レベルがアップした。


「凄い、こんなに大勢でやったのに!?」

「それぐらい強いモンスターだったというわけですね。確かにそう思いましたが」

「でも勝ててよかったね」

「はい!」


 マナとKatanaは互いに褒めあった。

 それから笑顔になるも、二人の様子を心配したスノーが叫んだ。


「おいお前達、早くそこから離れろ!」

「「えっ!?」」


 二人はスノーが言っていることを理解できなかった。

 しかしすぐに察した。クラーケンを倒したことで、海面の水が上昇。大きな波が起きて、二人の体を飲み込んだ。


「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

「ヤバいよ。早く助けないと!」


 突然のことで流石の泳げる二人も上手くは泳げないでいた。

 波に飲まれて沈もうとする。何とか顔を上げて息を吸い込むが、暴れ回って大変なことになっていた。

 慌て出す船内。しかし、


「掴まって!」


 空から手が伸びる。

 それはシュトルとブリッツさんのものだった。

 シュトルの手を掴んだマナ。ブリッツの手を掴むKatana。二人は引き上げられて船内に戻ってきた。


「はぁはぁはぁはぁ」

「大変な目に遭いましたね」


 息を荒げて、肩を上下に上げ下げする。

 そんな二人を見てスノーは訝しい顔をするも、シュトルはマナの肩に手を添える。


「お疲れ様。凄かったよ」

「ありがと」

「でも、無茶しすぎだよね。せめて飛べるとかないと」


 シュトルは【飛行】スキルを自慢した。

 けれどマナにはそれがとっても魅力的に映る。自分も空を飛びたい。そう思わせるには流石に十分すぎた。


「でも空を飛べるのは面白いですね」

「ねぇ如何やって飛べるようになったの?」


 マナは尋ねた。

 するとシュトルとシューネは真顔で答える。


「普通にかな?」

「はい。ただ高いところで過ごしていたらですね」


 さっぱり状況が読めない。

 しかしマナとスノーは何かを察した。流石に危険だからやりたくはないけど、二人がいないと死んでいたのは確かだ。


「はいはい、暗い話はしないの」


 shineは暗くどんよりした落ち込んだ空気をかき消した。

 手をパンパン叩き、バーサーカは舵を取る。


「さぁ山場は越えたよ。もうじき着くね!」

「何だか長かった気がするんだけど」

「そんなに経っていないがな」


 ながらに話をし始めた。さっきまでの張り詰めていた空気は何処に行ったのか、天候と一緒にあどけない明るいものに変わっていた。

 そんな空気に流されたマナの心も清々しくなる。

 ただしもっと強くなりたいと思った。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねなども気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=446623083&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ