■232 サンライト号
shineの要素しかない船。
shineに連れられ、ようやく港にやって来た。
平気そうなshineを除き、私達はと言うと、
「うえっ」
「はぁはぁはぁはぁ」
「何で私まで……」
全員グロッキーだった。
お腹を抱え、今にも吐き出しそうな程調子が悪い。しかしshineは全く気にしておらず、背中を叩こうとするので困っていた。
そんな中ようやく辿り着いた私達は港に来ると、堤防に座り込んだ。
「あ、歩きたくない」
「同じく」
スノーと意見が一致した。
みーさんは喋る元気もなかった。さっきから口をつぐみ、無言で一点を見つめている。
こうなったのもshineが注文したメニューが制限時間付きのパスタの大食いだったからにある。途中までは食べてたけど、半分も行かずにギブアップした。苦い記憶だよ。
「ほらほら元気出そうよ、3人とも!」
「無理です」
「えっ、なんで?」
「なんでって、元を辿ればお前が……」
そこまで出かかって、港の奥から声がした。
ふと見ればかなり大柄な男? いや、女の人がいる。それにしても凄い二の腕だ。一体誰を読んでいるのかと思えば、shineの名前を連呼していた。
「ここにいたのかshine」
「バーサーカ。ごめんねー」
「はぁー、お前らしいね。ところでそっちでのしているのは?」
話が私達に振られた。
だけど誰も話す元気はないので黙りで空気が変な方向に転がり込む。そんな時、
「おーい、マナ!」
「上から?」
私は空を見上げた。
すると人影が頭上にある。金髪の髪。この声色と、このスキル。間違いない。シュトルだ。
「よいっと」
「シュトル、今日は寝ないんだね」
「むー。私だってずーっと寝てるわけじゃないからね」
「それなら授業中も寝るな」
その後ろに立っていたのはブリッツだった。
シュトルは痛いところを突かれたのは、顔が引き攣る。しかし、
「いやいやいや、私はちゃーんと授業の内容は聞いてるよ!」
「でも素行は悪いだろ」
「ぐっ。テストだっていつも……」
「課題はやってこないだろ」
「いや、やってこないんじゃなくて……」
「教科書を全部置いて帰るやつがあるか」
全部言いくるめられてしまった。
反論の余地が与えられないシュトルに助け舟が渡る。
「ブリッツさん。そこまでにしてあげてください。姉さんも、反省しているみたいですから」
「シューネか」
「やっほいシューネ」
「はい、姉さん」
そこに現れたのはシュトルと瓜二つの顔立ちをした少女。銀髪で腕には何とボウガンを装備している。
この人は確か昔天が教えてくれたはずの……
「あの、シューネですか」
「貴女は?」
「私マナって言います。前にシュトル達とたまたま会った」
「そうでしたか。話は前に姉さんや天さんから聞いていますよ。私はシューネです。姉さんとは」
「双子なんだー」
双子。やっぱりそうだ。それにしても似ている。
だけど性格は真逆みたいで、活発で自由気ままなシュトルと全てを笑って洗い流す冷静なシューネ。名前は似てるけど、面白い二人組だった。
「そう言えば天さんは?」
「えーっと、ほらそこにいるよ」
振り返れば天の姿もある。
おっきな船達に感動して惚けている。ちょっぴり可愛かった。
それにしてもこれでほとんどのメンバーが集まった。
後は〈雷聖〉だけだけど……
「おーい、マナ!」
「ちなっち?」
私を呼ぶ声。振り返ればちなっち達とイズチ達が一緒にいる。
如何やら私達より先に合流していたらしく、何だか複雑だ。
「よー、マナ」
「イズチ!」
紺色の髪に金のインナー。間違いない。この感じはイズチだ。それから隣にはムジナの姿。
「イズチ、ムジナ。久しぶり」
「確かに久しぶりだな。でもさ、みーさんはどうしたん?」
「話しかけないでください」
みーさんは完全に無視。
それを見たムジナは只事ではないと思い、不審な顔をし出す。
「何があった」
「食べ過ぎだよ」
「食べ過ぎ? あのみーさんがか」
ますます不審がるムジナ。
shineは自分が責められると思い、話を振り直す。
「それよりさ、そろそろ行こうよ」
「お前、話から逃げたな」
「あははー、何のことかな?」
バーサーカさんの顔色が変わる。
明らかに失望した目だ。けれどshineはゴリ押しで話を切り替えると、船へと案内する。
「そう言えば船ってどんなのですか?」
「気になる?」
「そりゃ気になるよ。だってこの大人数だよ?」
「まさか小舟じゃないな」
シュトルやムジナが尋ねた。
すると期待して良い顔をする。そんなに、凄い船なのかな。
私達は港に並んだ数々の船を通り過ぎ、一番奥の方までやって来た。すると小さな小舟が何隻もある。まさにこの船……と思ったのも束の間。
「見えた、アレだよ!」
「「「えっ!?」」」
ここにいる全員の目の色が変わる。
それは期待以上のものだったからで、私達は目を奪われた。
「でっかい船だな」
「確かにこの大きさでしたら、全員乗り込んでも余裕ですね」
「それにしてもこれって」
そこにあったのは、巨大な海賊船だった。
船は船でもこのタイプとは思わなかった。しかしshineは誇った顔をする。
「凄いでしょ。これが私達の持ち船、サンライト号だよ!」
「太陽の光。帆に描かれた太陽はそう言うことか」
「タロットカードだね」
みーさんの言う通り。確かにそこに描かれていたのは、太陽のイラスト。しかし何処か不思議な形をしており、タロットの一枚だと発覚した。
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