■229 達磨さんの誘い
今回は短め。
夜になった。秋空は暗く淀まない黒に覆われる。
ネオン灯が怪しく蠢く。
まるで星のように輝いていた。
「もうすっかり遅くなっちゃったね」
「まったくだ」
ノースは溜息を吐いた。それもそうだ。もう20時なんだもん。
私達はあれから散々達磨さんのスケッチの手伝いをした。
当然私達も服を着せられた。
一応、明日は日曜日だけど流石にこの時間は遅すぎる。
「そう言えば皆んな時間大丈夫?」
「私は平気です」
「私もだ」
「うちもかなー」
私の両親は海外で、ノースの両親も忙しい。
千夏ちゃんのお父さんはテレビの仕事でなかなか帰れないし、お母さんは全国から世界と飛び回っている。
だから心配いらないが、美里ちゃんは如何なのかな。
「さっき連絡入れたので、大丈夫みたいです」
如何やら先手を打っていたみたいだ。
すると達磨さんは唐突にスマホを取り出すと、
「じゃあさピザでも頼もっか」
「「えっ!?」」
「大丈夫大丈夫。私の奢りだから」
そうは言うが流石に悪い。
けれどお言葉には甘えることにして、私達はピザを食べて帰ることにした。
もぐもぐもぐもぐーー
私達はピザを頬張りながら、会話を団欒に進めた。
そんな折、唐突に達磨さんが話を振る。
「そう言えば皆んなはWOLって知ってる?」
「知ったますよ。皆んなやってますから」
「そっか! それなら話が早いよ」
達磨さんは目をキラキラ輝かせる。
すると何を思ったのか、私達を誘った。
「じゃあさ、明日クラーケンを討伐しに行こうよ!」
「「「クラーケン?」」」
それってあれだよね。確かタコみたいなイカみたいなやつだよね。
でもそれが棲んでる海域はかなり航路の取り方が難しくて、なかなか近づかないんじゃなかったっけ?
「それなら大丈夫。私達船持ってるから!」
「えっ、達磨さんもやってるんです!?」
「うん。よっしーもやってるよ」
よっしーって、確か荒木美子さんのことだ。
それにしても2人もやってるなんて、偶然ってあるんだね。
「だが何故危険を犯す必要がある」
「うーん、ごめんごめん。別にクラーケンが目的じゃなくて、私達は別の大陸に行きたいから、ついでにって思ってさ。別にいなかったらいなかったでいいんだけどね」
「いいんだ」
別にこだわりはないみたいだ。
それにしても次の大陸ってことは、私達の目的にも早く着けることになる。それなら万々歳だ。
「如何する?」
「もちろん構わないが、場所によるな」
「それなんだけどさ、私達の船はオクトにあるんだけど」
知らない町の名前だ。
如何やらそこまで行かないといけないらしい。しかし遠かったら、厳しいがそうでもないらしい。
「スケッチブック借りるぞ」
「どうぞー」
ノースは達磨さんからスケッチブックを借りると、ざっくりとしたマップを描き出した。
それは私達がいる島で、私達の場所と〈オクト〉を繋げる。
「私達がいるのがここだ」
「ここは何処ですか?」
「私達がいるのはリョウワだよ」
そう説明すると美里ちゃんは、
「私達はちょうど真反対のツヅラウラにいます」
「ツヅラウラか。ってことはここだな。そしてオクトがここ」
すると〈オクト〉の場所は私達いる町からも美里ちゃん達がいる町からもそこまで遠くない位置にあった。
これなら簡単に行けそうだ。
「ノース、どれくらいかかる?」
「3時間もあれば行けるな」
「そっかー。じゃあさ、明日は14時に集合ね!」
何だかとんとん拍子で進んでいた。
私達は揃って頷く。すると達磨さんは満面の笑みで喜んでいた。
「よーし、じゃあ明日に備えていっぱい食べよー」
「やるのはゲームなんだがな」
「でもお腹はすくでしょ?」
ノースは顔を顰めた。
多分それはそうだが、明日なんだぞ。とか思ってる顔だ。それをジト目で見ていると、ノースが睨みを効かせた。
私は、
「あはは、ごめんね」
と平謝りをしておく。
それから余ったピザの一ピース手に取ると、とろんとしたチーズを伸ばして美味しくいただきました。
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