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■218 ノースとライム(テニス)

ガチの閑話回。今日はマジで頑張った(リアルで)。

 これは如何言うことだろうか。

 何故私はこんなことになっているのか。


「行きますわよ、高坂さん!」

「はい。いつでも」


 何故に私は休日にも関わらずこんな朝早くから猫を被っているんだ。

 しかも服も着替えさせられ、寒々しくなる11月にこんなーー


「何でテニスなんて」

「はいっ!」


 ライムがサーバーだ。

 レシーバーの私はバウンドした硬式テニスボールを打ち返す。かなり強いな。しかもスピンしてガットを擦ったぞ。


「やりますわね!」

「レインフォードさんこそ!」


 私はライムと簡単なラリーを続けた。

 ストローク。初心者な私達だが、なかなか決着がつかなかった。


(一体いつになったら1ゲーム取れるんだ。しかし粘るな)


 正直私は楽しんでいたのだろう。

 朝っぱらにライムからの目覚まし通話が爆音で鳴り響き、次の瞬間にはノアに抱えられ、気づけばレインフォードのテニスコートに立たされていた。

 しかもーー


「何でララとフィンがいるんだ」


 私試合中にも関わらず余所見をしていた。

 それだけ余裕があるのだが、流石に失礼だな。

 いや気になる。何故ならーー


「が、頑張ってくださいノース様!」

「ファイトだー、ノースー。あっ、そこはもっと早く動いた方がいいよー、後バックハンドも使えるでしょー。手加減しなくてもいいのさー」

「うるさい……」


 私はムカついていた。

 ララはカメラをパシャパシャ鳴らして撮りまくっていく。いやこれはいい。問題はフィンだ。

 さっきから野次にも近い言葉を当然のように送りつけ、ノアも審判をしながら気にしている……わけでもなさそうだった。


「隙ありですわ!」


 ライムが勢いをつけてスマッシュを叩き込む。

 高くジャンプして打点の高い一撃だったが、


「それを待ってました」


 私は軽く踏み込むと、ラケットを傾かせボレーの体勢を取る。

 まともにやっていたら腕を痛める。しかし、


「カーブかければいいんですよ」


 私の返した打球はライムの後ろを通ってコート内に落ちた。

 これでやっと1ゲーム。しんどい。


「なかなかやりますわね。次は取られませんわ!」

「それはいいんですけど、何ゲームまでするつもりですか?」

「もちろん3ゲームですわよ。あら? 5ゲームの方がよろしかったですか?」

「いえ結構です」


 危ない危ない。

 流石に5ゲームはしんどすぎる。

 体力の温存をしたいから、仕方ない。普通にやるか。


 それから私は作戦を変えた。

 当たり前のことを当たり前のようにやることは難しい。けれど私はそれをして見せた。


「今度こそ!」

「私がサーバーですか。じゃあ、はい!」

「えっ!?」


 私がサーバーになったので反撃開始です。

 私が打ったボールはそのまま回転をかけているので、ホップしてライムに向かっていった。

 咄嗟にラケットを前に出すもボールはそのままアウトしてしまう。


「フィフティーンラブ」

「ちょっとやりすぎました。すみません」

「いいえ構いませんわ。今のは取れなかった私のミスですから」


 しかしライムは諦めなかった。

 今のは全て自分のミスだとして水に流し、俄然やる気を燃やす。


「じゃあ今度はちょっと変えましょう」

「ええ構いませんわ。どんどん行きましょう!」

「どんどんって。私は早く終わらせたいの!」


 私は今度は高打点から放ちました。

 するとボールはトップスピードに乗って、スライスで打ち返そうとするライムのガットを駆け上がりました。

 まるで漫画みたいです。

 しかし何とか打ち返すも、


「ほいっ」


 私はネット前に放り投げるように落としました。

 呆気ない終わり方に唖然としています。

 しかし私は、


「次行きますよ」


 サーバーとして何度も同じことをした。

 すると簡単にセットをものにする。


「次は私の番ですわね!」

「はい」


 サーバーとレシーバーが入れ替わる。

 するとさっきよりもちょい強めの打球を放つライム。けれど、


「逆の回転をかければ無回転」


 理屈は合っているが、試合中に高速の打球を変えるのは困難。

 そこで先読みをして相手の打球が来る位置を読む。

 誰でもしようとするが、そう簡単にできないこと。しかし、


「チャンスですわ! 反対に。えっ!?」


 私が読んでいないわけがない。

 ライムの打とうとした打球は左には行かず、右に来る。

 その理由は何故か。私が右に移動していたからだ。


「不意打ちは無駄ですよ」

「そんなー」


 軽快にステップを踏んで、ライムの遥か後ろを狙ってボールを落とす。

 ラインギリギリ。それも計算済みだ。


「ゲームカウント1対0」

「次は取り返しまくわよ」

「ええ」


 しかしライムの行動は先が読めすぎてしまった。

 基本的にライムはスマッシュやスライスを使う。逆にボレーはあまりしないし、時折混ぜては来るものの全部を計算に入れた私には敵わず、次々先読みされる。

 ライムが打つまでの間、死角になっている時にゆっくり歩いて移動しても余裕なぐらいで、それぐらい回転も頻繁に変えていた。

 それによりなかなか癖を掴めないでいると、


 ヒュー!


「風か。ちょうどいい」


 風が吹いてきた。

 左からの風。これは使えるな。


「これで如何ですの!」


 ライムはスライスをかけた。

 するとボールは風に流され、本来左に行くはずが右側にやって来る。


「えっ!?」

「ボールは曲線でできていますから、それだけ風の抵抗を受けやすいんですよ。つまり、こうです」


 今度は私がスライスをかけ直した。

 風に煽られたボールが左ではなく、右に向かう。

 私から見たら逆なので、ライムは咄嗟的に走るものの、ボールには追い付かず、風の影響もあってかスピードも速かった。

 つまり、


「ゲームカウント3対0。ゲーム、高坂」

「悔しいですわ!」


 ライムは悔しそうだった。

 そんな彼女に私は、


「意外に楽しかったです。またやりましょう」


 それっぽいことを言ってみたのだが、それでまた火をつけてしまったらしい。

 ライムは私の手を掴むと、


「では、早速今からやりましょう!」

「はい?」

「今からです。いいですよね!」

「いやちょっと……」

「いいですね!」


 そんなに目をキラキラさせないでくれ。

 暑苦しい。蒸し暑い。

 寒々しい季節は何処へやら、私はライムに捕まって結局全身が燃えるように熱くなるまでテニスを続けた。

 結果は……まあまあだった。


 

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