■213 星の大樹
巨木シリーズ。
私達は色々な謎がひしめくこの村に来て、とりあえず観光をしてみることにした。
Katanaとタイガーはやりたいことを見つけたみたいなので、私とちなっち、それからスノーの3人は、村を見て回ることした。
まずは、
「やっぱりあの木が見たいよね!」
私はそう提案した。
するとちなっちは即座に賛成してくれる。
対するスノーはと言うと、
「私も気になっていたところだ」
「あ、あれれ?」
「如何した」
正直断られるかと思った。
この謎が解決させたいからと言って、反対されるのがオチだと踏んでいた私は拍子抜けしてしまう。
しかしスノーからしてみれば心外なことで、私に顔を近づけ詰め寄る。
「あのな、いくら私でも答えのない問題を追い回すようなことはしない」
「でも気になるんでしょ?」
「それはそれ、これはこれだ。とにかく行くぞ」
スノーはえらく機嫌が良さそうだった。
面白いことが見つかったからだろう。
何でも出来ちゃうって、よっぽどつまんないだね。まあ解るけど。
「はいはい、マナも行こ」
「そうだね。ゆっくり行こう」
「はいはーい」
ちなっちは私の手を引いた。
しかし私が“ゆっくり”って言ったのに、足取りはめちゃ速くてびっくり。
歩幅とかスタミナとか色んな面で、私はちなっちに劣っていた。
「でも私、何でここに来たかったんだろ」
正直今でもそこが引っかかる。
ただ星形をしていたから、来たかったのかな? いや、それは理由にならない。
もっとこう、なにか心にグサリと来るものがあったはずだ。
そんな気がした。していた。
村の様子は平穏そのものだった。
しかも奥に行けば行くほど、畑だとか商店だとかがあって賑わいを見せる。
特に中央の広場は人溜りができていて、思い思いに過ごしていた。
「平和だね」
「うん。こんなに安らぎ? に満ちた? 村はあんまりないよね」
「難しい言葉を使おうとするな。それに私達は村にあったことがないだろ」
「でもウミノアマには行ったよ?」
「あれは……忘れろ」
スノーは目を閉じた。
それけらちなっちも思い出したくないのか、目を逸らす。
やっぱり私だけが解っていないみたいだ。
ただしあの後、
「マナはいつものマナでいてね」
とか意味深なことを言われたのは印象深い。
意味は・・・はっきり言って、解らなかったけど。
「あっ、なんか見えて来たよ」
「あれは……デカイな」
そうこう言っているうちに、私達は木の根本までやって来た。
最初小さく見えていたはずの葉っぱがまるで傘のように大きく広がり、巨大な影を作る。
その下には沢山の人がいて、一体何を見ているのだろうか。
「ここ人多いね?」
「そうだな。何かあるのか」
私達は木のあまりのデカさに圧倒されつつも、人だかりにも興味が出ていた。
そんな時、
「奇跡の柄があるんですよ」
「えっ!?」
私は振り返った。
するとそこにいたのは、白い着物を着て赤い帯で締めた女性だった。
頭から龍のような角を生やしている。NPC・・・じゃない。プレイヤーだ?
「えーっと、貴女は」
「私はコトノ。この村にある伝説を調べているんです」
「伝説?」
スノーが訝しげな顔をした。
それから私は話の続きが気になったので、コトノさんに話を聞くことにした。
「かつてこの地には災いが起きた。森は焼け落ち、動物達は逃げ惑い、人は疫病にうなされた。そんな時、天の中心が瞬いた。すると極光の光が地に降り注ぎ、大樹に宿った。そこから放たれし、希望の光、星の姿模って、かの者を待つ。さすれば奇跡の星、力とならん……と言うものです」
「何ですか、それ」
「作り話感が絶えないな」
私とスノーは正直なことを言った。
しかしちなっちは悪いと思ったのか、
「面白そうだねー」
完全棒読みだった。
だけどそんな伝説が本当だったら、きっと凄い。
昔話よりも弱くて、共感性は薄いけども。
「本当なんですか、その話?」
「さあ。ですがその星ならここにありますよ」
コトノさんは私達に星形のアイテムを見せてくれた。
確かな星形をしている。綺麗な5つの頂点があった。
「これをどこで?」
「この村の村長さんの依頼を達成した後の報酬です。しかし私には使えなくて……」
「使えないって?」
「見てください」
コトノさんは指を差します。
大樹の根元。そこには人が大勢集まっていました。
よく見えませんが、何かあるのかな。
と思った時、
「あそこには柄が埋まっているんです。この星の鍔に合うものが」
「合体アイテムか」
「面白そうだね」
うん。確かに面白い。
これは楽しくなりそうだ。
私は緩い笑みを浮かべて、口元をにやけさせていました。
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