■206 テンションdownがlackを下げる?
ガチのファンタジー。
色んな意味でゴメン。
マナを除いた4人は、アメフラシに戦いを挑んだ。
まず初めに、高低差を活かした攻撃をちなっちとタイガーが繰り広げる。
「ブレイジング・ロード!」
「虎風!」
2人の渾身の一撃が炸裂した。
真上からの攻撃で油断していたのか、アメフラシの動きは極端に鈍く、見事2人の攻撃はクランヒット。したのだがーー
「効いていないのか」
スノーは唇を噛んだ。
アメフラシのHPはミリも減っていなかったのだ。
「大怪獣アメフラシ……硬いですね」
「硬いんじゃなくて、ぬるぬるすぎなんだよ!」
「そのせいで攻撃が入らねぇんだ」
ちなっちとタイガーの解釈は正しかった。
確かに2人の言う通り、全く効いている様子もなく、アメフラシは突然の攻撃にびっくりしたのか口から紫の息を吐く。
「避けろ、それを食らうと溶けるぞ!」
スノーの叫び声に反応して、2人はその場から離脱した。
岩がどんどん溶けていく。
まるでコンクリートのようだ。
「私が行きます。刀華流“絢爛華”!」
光を反射させ、自身の姿を隠す。
無数の連続突きで、アメフラシの体を貫こうと試みるも、
ポヨン!
剣がバウンドして全く通らなかった。
「えっ!?」
アメフラシの弾力のあるぬるぬるボディーに阻まれたKatanaは、そのまま潰されそうになる勢いで吹き飛ばされる。
その合間もスノーは弓矢を遠くから放ち、一本たりとも刺さらないことに流石に既視感を感じていた。
「どうしましょうか、スノーさん」
「そうだな。ちなっち魔法を放て」
「オッケー!クロスファイア!」
剣を交差させると、刃が擦れて炎を出した。
炎を纏った剣を振り回し、アメフラシの体を焼き切ろうとする。
すると、
ズシンズシン!
「効いているのか?」
スノーが疑いを隠せないほど、アメフラシは気味が悪く体をのたうち回す。
気色悪い。誰もがそう思った矢先、口から紫色の霧を吐き出す。さっきの酸性の息だ。
「ヤバい、逃げろ!」
「この距離では無理です」
スノーの叫びは虚しかった。
いつもなら間髪入れずに攻撃を喰らわせるか、ダッシュで逃げるのに、今日は反応が遅れる。
それだけではなく、相手が妙に硬い気もしていた。
「くそっ!」
スノーらしくない。
自分でもきっと冷静さが欠けていると気づいていた。
しかしもう間に合わない。
深く目を閉じた瞬間、
ドシン!
もの凄い甲高い音がした。
その音を聞きつけ、逃げるため振り返っていたちなっちやタイガー。スノーを庇うKatanaなどは、前を向く。
すると、
「「「えっ!?」」」
全員が驚きを隠せなかった。
急に真上から大岩が降ってきて、アメフラシは潰されてしまった。
悶えるアメフラシ。その姿が何とも異様で、気持ちが悪い。
「岩に潰されてグニョグニョ動いてる」
「見ろ、HPが削れているぞ」
さっきまで弾かれていた攻撃が、この大岩一発で半分以上なくなっていた。
この隙を逃すまいと考えた一同は、各々が各所から攻撃を仕掛ける。
「食らえ、うわぁ!?」
しかしそう上手くはいかなかった。
ちなっちは岩場で転び、スノーは急に体が気怠くなって動きが鈍る。
Katanaは刀が抜けずに、タイガーは両手足に海藻が絡み付いていた。
「なんなんだよこれ!」
「マナの影響だ」
即座にスノーは気がついた。
「マナさんの?」
「どういうこと!?」
Katanaとタイガーは聞き返す。
するとちなっちが捕捉するために答えた。
「マナは一つのことに集中した時とか無意識の時。それからテンションが極端に下がった時とかに、周りの運気とか関係なく、自分だけ運気が高まるんだよ」
「ではこれは」
「マイナスエネルギーがその場に滞留して、自然界がパニックに陥っているんだ。うわぁ!?」
今度はスノーのところに雪が降り始める。
天候までもおかしくなっていた。
恐るべきマナの力と、誰もが思う中、アメフラシが岩から這い出て襲い掛かる。
「よっと!」
しかしちなっちがその場からスノーを引きずり出す。
Katanaも刀で斬りつけて応戦するも、満足にはいかなかった。
「体がぬるぬるしていて刀の刃が通りません」
「この野郎!」
タイガーが飛び出した。
しかしアメフラシの弾力ボディーには敵わずわ、攻撃は空振りに終わる。
「駄目だ。こんな奴どうやって倒さばいいんだよ!」
「スノー、どうする?」
「チッ。何がいる。どうすれば運ゲーから離れられるんだ」
スノーは必死に考えていた。
このまま長期戦に入っても泥沼は確定。
自分達の勝ち筋を潰すだけだった。
「どうすれば……」
しかしいいアイデアが思い浮かばない。
1人分の欠けた穴がデカすぎだのだ。
諦めかけたその時だった。
急に海が大荒れて、巨大な津波が起こる。
「うわぁ!?」
「飲まれる……」
ちなっちやスノーは災難に見舞われた。
それはアメフラシも同じで、海の水に飲まれるだけに留まらず、雷が自身を貫く。
「これは一体……」
「もう地獄だよ!」
タイガーも素に戻ってしまうほどで、この状況の異常さを痛感していた。
これは早急に方を付けねばならない。
自分達の命がないと思い、4人は一致団結した。
「こうなったら次の波のタイミングに合わせて、最後の一撃を食らわせる。いいな」
「それで倒さなきゃ終わりね。了解」
ちなっち達はそれぞれが首を縦に振った。
その間もマナのところだけは、何事もないかのように静まり返っていた。
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