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■203 笠僧侶

この人はないものなのか。

 私達は海の旅を一度切り上げ、陸に辿り着いた。

 今回の旅の目的の一つでもある、ポータルの解放。

 そこでやって来たのが、この島だった。


「スノー、この島には何があるの?」

「この島には、ウミノアマと言う村がある。そこを解放しようと思う」


 スノー曰く、〈ウミノアマ〉と言う村がこの島にはあるらしい。

 何でも海の神様を信仰していて、この辺り一帯の海に精通しているらしく、海路を移動する際には何かと頼もしい仲間になってくれそうだった。


「それで、ウミノアマって何処にあるの?」

「この道のずっと先だ」


 スノーが指差したのは、舗装されていないただ草が刈ってあるだけの道だった。

 いや、これは道なのか?確かに周りとは一線を画すようにようには作られているけれど、あまりにも適当でずさんな印象だった。


「何にもないね」

「うん」


 ちなっちは目を凝らして見ていたが、先には何もなさそうだった。

 何だか大変なことになりそうだ。

 これはさっさとポータルだけ解放して撤退がいい。スノーはそう考えているらしい。


「それじゃあ行こっか」

「おう。さっさと行こうぜ」


 ご飯を食べたばかりのタイガーはやる気満々だ。

 ただ蛇みたいな道が続いているだけではあるが、こんな時こそ明るさが大切。

 そんな中、少し歩いた先でKatanaは何か見つけた。


「おや?」

「なになに。何か見つけたの?」

「お地蔵様ですね」


 道の端にポツンとお地蔵さまがあった。

 その中には石碑に何か彫られている。


「海の神 ここに鎮める?」

「スノー読めるの!?」


 石碑には達筆すぎて、私達には何が書いてあるのかさっぱりだった。

 しかしスノーはいとも簡単に読んでしまうと、その言葉の意味に首を傾げていた。


「如何やらこの地蔵は、この辺り一帯の海を鎮めるためのものらしいな」

「それはわかるよ」

「話は最後まで聞け。つまりだ、これを何らかのフラグだと考えれば、話は見えてくるか?」

「えっ」


 スノーの言っていることに、若干のラグがあった。

 するとKatanaとちなっち、タイガーが後ろを振り向く。

 私とスノーも怪しく思い、背後を振り返ると、そこにいたのは古いタイプの笠を被ったお坊さんだった。


「立ち去れ」


 会って早々そう言われてしまった。

 不気味な人だ。

 だけどこの手のお話は、たいていこの人の話を聞いた方がいい。

 自分達のためと思い、話を聞くと、


「それは如何言うことだ」

「この地は今、荒れている。余所者が来るべきではない」

「荒れている?」

「海に棲まう神様が、災いとなりて、紫の雨を降り注ぐ」

「はい?」


 意味がわからない。

 いや、何かしらの伏線なのはわかるけど、内容が意味不明だった。

 だけど話を繋げると、よっぽどのことになっているらしい。


「わかりました。皆んな、今日は大人しく帰ろう」

「そうだねー」

「危険は極力は避けるべきです」

「ちぇっ。つまんねぇの」


 私達はそろいも揃って意見が一致した。

 そこでお坊さんにお礼を言ってその場を立ち去ろうとすると、


「この地は今、危機に直面している」

「だから帰りますから」

「この地を救えるのは、救世主だけ。太陽の力をその身に受けし、信託の持ち主のみなのだ」

「えーっと」


 何だか帰らせないようにしている気がした。

 私は話を聞いてあげようとしたものの、スノーが私の首元を掴んで、


「逃げるぞ」

「えっ!?」


 その場からダッシュで逃げ出した。

 この手の話には関わらない方が身のため。その判断は正しかった。しかし、


「行け神託を受けし者たちよ!」


 その瞬間、お坊さんは持っていた棒を使って突風を起こした。

 私達は突然の風に飲み込まれた。


「うわぁ!?」

「ちっ。最初からこのつもりかよ!」


 タイガーとKatanaは地面を掴んで堪えとしたが、結果的に駄目だった。

 私達の体は空中に投げ出されると、道の先の方まで吹き飛ばされた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 地面に激突する。

 その瞬間、風がふわっとクッションのようになって、怪我をせずに済んだ。


「痛たたたぁ。皆んな、怪我はない?」

「何とかなー」


 そう言うちなっちはぴんぴんしていた。

 気がつくと私達は村のすぐ近くまで来ていたらしい。

 あの突風は、きっと私達をここに運ぶための演出だったんだ。

 如何やら面倒なことになりそうだなと、この場の誰もが確信していました。


 


 

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