■202 大空航空団
ついに来ました。彼女達とは今後も絡みがある予定です。
空から落ちてきた少女。
彼女はまるで動じない様子で、私の隣に座ると、そのまま眠りについてしまった。
「ここで寝るの!?」
「寝るよー」
すると寝言で返答が返ってきた。
あまりの衝撃に流石の私でも呆気に取られてしまい、その場で固まってしまった。
しかし次の瞬間、
パコン!
「おい、起きろシュトル!」
「痛いなー。何するのさ、ブリッツ」
「こんなところで寝る奴があるか。もう少し常識というものを考えろ」
「えー」
シュトルと呼ばれた金髪の〈エルフ〉は、眠りについていたところを、思いっきり頭を叩かれて起こされた。
起こしたのはブリッツと呼ばれていた〈ドラゴニュート〉の女性で、山内から出てくると、真っ先にシュトルの姿を捉え、近づいてきた時は少し怖かった。
「すまない。コイツが迷惑をかけたな」
「いや、そんなことはないけど」
「ほら、私何もしてないでしょ」
「勝手に動き回る奴があるか。ほら、船内に戻るぞ」
「えー」
つまらなそうな声を上げるシュトルさん。
すると空中に逃亡を図ったが、それを見逃さなかったブリッツさんも空に舞い上がり、シュトルさんを捉え締め上げる。
「凄い……」
圧巻の手捌きに驚愕した私。
そんなわけでブリッツさんは謝罪をした。
「本当にすまない。後でコイツのことはきっちり締め上げておくから安心してくれ」
「いや、もう締め上げてるじゃん」
シュトルさんはぐったりしていた。
しかしブリッツさんは、
「コイツにはまだ足りないぐらいだ」
と言って、まるで聞く耳を持たない。
って、私もまだ自己紹介をしてなかった。
「私、マナって言います。星の集いってギルドでギルマスしてます」
「そうか。私は……」
ブリッツさんが紹介しようとした瞬間、シュトルさんは興味を示して顔を上げた。
「君もギルマスなんだね。私も大空航空団でギルマスしてるんだ。あっ、私はシュトルね。こっちが幼馴染で親友のブリッツ。後2人、私の妹でシューネと後輩の天がいるんだー」
「おい、私のセリフだぞ!」
「いいじゃんか。あっ、そうだ。ここで会ったのも何かの縁だしさ、フレンド登録しようよ。ほいっ」
シュトルさんは私にフレンド申請を送ってくれた。
私は「はぁ?」とあまりの急展開にドン引きしつつも、一応申請を通した。
すると私はふと疑問が浮かんだ。
「そう言えば、さっき空飛んでよね?」
「タメ口でいいよ。同い年ぐらいでしょ」
「じゃあシュトルが飛んでたのって、なんで?」
するとシュトルは軽く飛んでみせた。
「私達は皆んな【飛行】のスキルを持ってるんだよ!」
「【飛行】?」
「空を自由に飛ぶことができるスキルだ。私も使える」
と言い、ブリッツも空に舞い上がる。
凄い。でもそれだったら、わざわざ船に乗らなくてもいいんじゃないかと思ったが、無粋なことなので、黙っておくことにした。
「ほいっと。ざっとこんな感じ」
「カッコいいなー。私も飛んでみたいよ!」
「そのうちできるって」
シュトルはそう言ってくれた。
それを聞いて、私も【飛行】スキルを手に入れたいと心やら思った。
そんなわけでシュトルとブリッツは互いに口論をしつつも、仲が良さそうで船内に戻っていったのだが、
「仲、良いですね」
「ホントだよね。えっ!?」
急に隣から声がした。
かと思えば、そこにいたのは〈ヒューマン〉の少女で、朗らかな笑みを浮かべていた。
「誰?」
「私、天って言います。良いですよね、あの2人。とっても仲がいいんですよ!」
いやそんなことよりさ、いつからいたのかと気になる。
まるで気配を感じなかったし、それに本人もそんなことには一切興味を示すことなく、にこやかに2人の様子を見守っていました。
「天でいいのかな?」
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃあさ、シュトルがギルマスって言ってたけど、本当?」
「はい本当ですよ」
「本当なんだ……」
真偽が怪しくて少し疑っていたが、どうやら本当らしい。
イズチさんのパターンもあるので、色々な人がいるんだなと、改めて面白いと感じた。
きっとこの船には他にもギルドの人達が乗っている。
それだけでとてもワクワクした。
「そう言えば星の集いは、何人ギルドなんですか?」
「私を含めて5人だよ。皆んな女の子で、同い年」
「女の子はうちも同じですよ。でも私だけ学年が一つ下で……」
「でも仲良さそうだよ」
天は少し寂しそうだった。
それは自分だけ同い年じゃないから、モヤモヤ感があるんだと思うと、何となく想像してしまった。
しかし私はそんな天を優しく励ます。
「大丈夫だって。そんなことより、追いかけなくていいの?」
「そうですよね。私もギルドの一員ですもんね!」
「そうそう。そんなことで悩まなくてもいいんだよ」
「はい!」
私は自分なりにポジティブでいた。
すると気を取り直した天は、船内に戻った2人を追いかける。
「私もタイガーと話してこよう」
そう思い、お弁当を広げて大っぴらに食べるタイガーの元に足を伸ばす。
ここからでも匂うのは強烈な磯の香り。
何だか美味しそうで、涎が零れるが、その姿を見せないように必死で隠す私だった。
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