■201 渡船に乗りました。
ついに201話!300もきっとすぐ。
〈ナミカゼ〉の人間が、皆んな幼児化してしまう事件から数日。
無事元の町に戻り、例のイベントは終了した。
本当に食べなくてよかったと、終わってからもゾワゾワした。
そんな中、私達の目的の船がようやくお目見えした。
「マナ、あれだよ!」
「うわぁ、おっきいね」
私の視界に飛び込んできたもの。
それは木造の巨大な船だった。
桟橋が船から伸びていて、橋の上をたくさんのNPCやプレイヤーが歩いている。
入る人に、出てくる人と様々で、私達はこれから乗り込むところだった。
「フェリーのようなものだな。いわゆる、渡船というやつになる」
「私、船に乗ったことなんてないよ!」
「私も私も!」
私とちなっちは小さな子供みたいにはしゃいでいた。
幸いにも、私達は誰1人として乗り物酔いをする人はいない。そのおかげで、気ままな旅ができそうで何よりだった。
「この船は本来、ヴォルカニカを終着とする船だが、途中で色々な場所に止まる。私達はホシナリに行くから、途中で降りて後は歩きだ」
「そう言えば歩いて行ける距離なの?」
「途中でまあ一度船に乗る。が、十分だろ」
「そうだね。あっ、Katana達が戻ってきたよ!」
一方、Katana達は私達と合流した。
その隣にはタイガーの姿があって、その手には何か持っていた。かなり大きい。四角いのやら、丸いのやら、壺みたいなのもある。何だろ、あれ?
「皆さん、お待たせしました」
「それはいいけどさ、それってお弁当?」
「そうだぜ!いやぁー、タコ飯買えてよかったー」
「タコ飯?」
タイガーは嬉しそうだった。
イカ飯なら聞いたことがあるんだけどな、と思いつつ、私達は意気揚々、船の中に乗り込みました。
「綺麗な海だね」
「確かにー。でも、星来島も綺麗だけど」
「あそこは人やモンスターが極端な程にいないからな。そのせいだろ」
スノーは納得の言う答えをくれた。
船の上にはたくさんのNPCやプレイヤーがいるのに、船が大きいので圧迫感は全くない。
それにこの船は中にも部屋があるからか、ほとんどの人はゆっくり中で過ごしている。
「外にいる人って、少ないんだね」
「船酔いする奴でもいるんだろ」
「そう言えばKatanaとタイガーは?」
「Katanaは、あそこだ」
スノーが親指でKatanaを指差す。
船に体を預け、揺蕩う波を見ていた。潮風が颯爽とKatanaの周りを吹き抜け、さらさらと髪を揺らす。
「絵になるね」
「ドラゴニュートって言うのがまたいいね」
タイガーはと言うと、買ったばかりのお弁当を広げて食べていた。
いくつ買ったのかと思えば、3つも4つもあって、1人で食べるには多すぎる気がした。
「ホントで全部食べてるよ」
「凄いね。でも、考えながら食べてない?」
タイガーは「うーん」とか「あー」とか言いながら、ぶつぶつ呟いていた。
頬をかいたり、頭を抱えたりして、顔色を遠目から窺うと、
「どうしたらこの味とかの味を掛け合わせて、最高のイカ飯が作れるのかな?的な」
「イカ飯だったら、タコじゃなくてイカでいいじゃんか!」
「怒らないでよ。後、今のは私が思っただけで……」
「いや、どうやら本当みたいだぞ」
スノーはそう語る。
一体何故かと思えば、どうやら聞いてきたみたいだ。
流石のスノーでも暇すぎるのか、退屈そうだった。
「2人とも少し回ってみたら?」
「そうさせてもらう」
「じゃあ私も行くねー」
「うん。行ってらっしゃい」
私は暇そうにしていた2人と別れ、1人で船の上でぼーっとしていた。
青空がゆっくりと流れていく。
ふわふわの雲が浮かんでいる。
「綺麗な空だねー。えっ!?」
そんな中、ふと目に映り込んだのは人影だった。
空を浮かぶ人影。それがゆっくりと迫ってきている。
私は慌ててしまい、あたふたする。
「えっ、ちょっと待ってよ!?」
「よっと」
しかし私に落ちてくることはなく、目の前にスッと現れた。
そこにいたのはプレイヤーで、NPCではない。
金色の髪に黒いメッシュが入った女の子。
彼女は何事もなかったかのように、私と顔を合わせると、
「ごめんごめーん。びっくりさせちゃたね」
眠たそうに気の抜けた声が飛び出た。
私は困惑していたけれど、ニヒヒと何故か笑っている少女は、意味もなく私の隣に座り話しかけてくるのでした。
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