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■20 アップデート前夜

一日お休みするかも…しないかも…

 6月3日。

 ついにこの日がやって来た。

 待望の〈WOL〉の大型アップデートの日である。


 って言っても私にはよく分かっていなかった。

 アップデートってことは何かが変わるってことはわかるけど、厳密にはギルド要素以外はまるで知らないのだ。

 ネットの掲示板を見てみてもいいけど、すくなくともアップデート中はログイン出来ず、ログイン中は強制ログアウトさせられるらしい。

 故に多分今頃は〈WOL〉の掲示板は盛り上がっているとのことだった。


「そうだ、千夏ちゃんに電話しよ」


 私は千夏ちゃんに電話をした。

 今時メールやLONE(ロイン)でのやり取りの方が主流かもだけど、私は電話は嫌いじゃなかった。


「なに愛佳。どしたの?」

「ううん。なんとなくかけてみただけだよ」

「なんとなくて」


 千夏ちゃんは渋みのある言い方をした。


「ホントは〈WOL〉のことなんだけど」

「ああ。今日大型アプデの日だもんね。早る気持ちもわかるよ」

「いやそうじゃないんだけどね」

「違うの?」

「うん。アプデの内容って私知らないから、千夏ちゃんなら知ってるかなーって」


 私はそう返した。

 すると呆れたように千夏ちゃんは教えてくれた。


「はぁー。そんなの公式ページに書いてあるでしょ」

「公式ページ?」

「あれ、知らない?〈WOL〉の公式ホームページ。リンク貼っ付けてあげるからみてみ」

「うん」


 そう言って、千夏ちゃんはリンクを送ってくれた。

 送って貰ったリンクをパソコンのメールから直接開いた。


「えっとなになに……あっ!やっぱりギルドのこと書いてある。他には追加モンスターとか、アイテム。それからスキルに加えてクエストや幾つかのイベントを開催かー。へぇー面白そうだね」

「だよねー」


 千夏ちゃんは相槌を打つ。

 それにしても公式ホームページ何ていまの今まで開いたことなんてなかった。

 こんなにたくさんの情報量がびっしり敷き詰められているものなんだと運営の仕様に感服する。

 やっぱり凄いやゲームって。


「ねえ千夏ちゃん」

「なに?」

「私達。絶対、ギルド作ろうね」

「あったり前だって!」


 勝気な様子で千夏ちゃんは応えた。

 かくして私は心機一転、新たな気持ちで頑張るのだった。



 一方その頃、ネットのとある掲示板ではこんなスレが立ち上がっていた。


【NEW】〈WOL〉レジェンドレアのアイテムだってさ


 20:名無しの荒くれ

 で、見たわけよ


 21:冬籠のニーチェ

 >20

 kwsk


 22:だるま落とし

 スレ見て来ました!


 23:だるま落とし

 なんの話ですか?


 24:名無しの荒くれ

 >23

 だるま落としさん!


 25:だるま落とし

 >24

 ちわーす。なんの話ですか?


 26:冬籠のニーチェ

 >25

 スレを見ろ


 27:だるま落とし

 >26

 相変わらず怖いねー(||° Д°)ヒィィ


 28:冬籠のニーチェ

 >27

 そう言うのいいんで


 29:だるま落とし

 >28

 オッケー(≧▽≦)


 30:冬籠のニーチェ

 >29

 もういいんで…


 31:名無しの荒くれ

 じゃあ本題なんだけど


 32:冬籠のニーチェ

 この流れで行くのかよ…


 33:だるま落とし

 いいねいいね(≧▽≦)


 34:冬籠のニーチェ

 >33

 喜ぶな


 35:だるま落とし

 >34

 (・ω <)てへぺろ


 36:冬籠のニーチェ

 >35

 もういいわ


 37:だるま落とし

 そういえばニーチェさんって、仲のいい人いないよねー


 38:冬籠のニーチェ

 >37

 失礼だな


 39:だるま落とし

 >38

 だっていっつもいるでしょ?


 40:冬籠のニーチェ

 >39

 そんなことはない


 41:名無しの荒くれ

 >40

 確かに気になる


 42:名無しの荒くれ

 我々とも仲良くない気がする…


 43:冬籠のニーチェ

 本題から逸れるな


 44:冬籠のニーチェ

 答えるとしたら、ここは私の情報を集める場だからだ


 45:だるま落とし

 >44

 情報?


 46:冬籠のニーチェ

 >45

 ここはそう言う場のはずだ


 47:名無しの荒くれ

 >46

 確かにその通りですね


 48:だるま落とし

 >46

 なんかつまんないねー


 49:冬籠のニーチェ

 >48

 そんなことはない。それに…


 50:名無しの荒くれ

 >49

 それに?


 51:だるま落とし

 >49

 それに?


 52:冬籠のニーチェ

 この話題は私の友人に関わっていそうだからな


 53:冬籠のニーチェ

 調べておく必要がある


 54:冬籠のニーチェ

 私がそうしておくべきだと思っただけだ


 

 カタカタカターー

 キーボードのキーを高速かつリズミカルに叩く音が室内に響き渡った。

 部屋の中は暗く、パソコンのディスプレイの明かりのみが点灯している。

 パソコンの台数はディスプレイだけで三つもあった。


「なるほどな」


 彼女はそう口にした。

 腕を組み、神妙な面持ちでことの次第に対処する。

 彼女はそう決めたのだった。

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