■186 答えを求めるなら
今回はKatanaパートです。少し短いよ。
ちなみにだけど、皆さんは「女の子が主人公の異世界ファンタジー」って、書いてみようと思ってるけど、どう思いますか?
いつも通りだけど、あんまり無茶な設定は入れないようにしようと思うけど。
私は1人でログインして、例の場所にやって来ていました。
そうそこは・・・
「神鳴神社……今日は、いらっしゃるでしょうか?」
ここは〈ミヤビ〉の街にある、少し古くて人々にあまり認知されていない、歴史を感じられる神社でした。
ここからは街の様子を一望出来るだけでなく、大きな桜の木が聳えています。
ですが、本日私がここにやって来たのは他でもありません。
あの方に、あの方なら、何かを知っているかもしれないと思い、やって来たのでした。
「おや?」
「こんにちは、細さん」
そこにいらっしゃったのは、細さんです。私達の一つ歳上で、ここでは巫女装束を纏い、竹箒を使って、神社の境内を掃除していました。
プレイヤーなのか、そうでないのか、どちらなのかは未だに不明ではありますが、この方なら私達の知り得ない“何か”を知っていても、おかしくはないでしょう。
「お久しぶりですね、Katanaさん。本日はどのようなご用件で?」
「細さん。私は、貴女に聞きたいことがございます」
「私にですか?一体なんでしょうか」
細さんは笑顔を崩しませんでした。
それから、声音も冷静そのものです。その風貌や立ち振る舞いは、まるで“既に理解しています”と、心の隙間を覗かれた後のように思えてしまう、圧迫感を感じました。
「単刀直入にお聞きします。貴女は、この街の強大な敵への接触方法をご存知ですよね?」
「さあ、どうでしょうか?」
細さんは、即刻はぐらかすような態度を取った。
私はその態度に応じる形で、「そうですか」と短く呟くと、自然と腕は鞘に収まった刀の柄に伸び、抜刀していた。
キィーン!
甲高い金属音が響きます。
私の抜刀した〈夜桜蒼月〉と、細の刀がぶつかり合いました。
「ぐっ!」
「なるほど。ホンモノですね」
“ホンモノ”?その言葉に、妙な違和感を抱いた。
しかし、細さんは特に何かを言うことはなく、スタッ!と後退すると、正眼に刀を構え直しては、集中を始める。
(空気が変わった!?)
さっきまでのものとはまるで違う空気。別人のように思えてしまいますが、そこにいるのは細さんです。
タイガーさんのように、性格やキャラをコロっと変えたわけでもなく、空気を明確に変えたようでした。
「貴女にこれが受けられますか?」
細さんの声は冷静そのもので、まるで雪のようでした。
しかし少しでも間違えれば、氷のように痛くて冷たいものに変わってしまいそうです。
「(受けられないのでしたら、そこでお終い。と言うことですね)……はい」
「そうですか。では、行きますよ!」
その瞬間、殺気がそのまま刀を通じて私に放たれた。
そこに明確な致死物はない。しかし私は威圧的なまでの殺気に、心の奥底まで圧倒され、今にも折れてしまいそうでした。
しかし、〈夜桜蒼月〉はそんな私とは対照的で、私に「動け」と言っているようです。
「受けきれないのなら……」
瞬時に思考を逆転させ、その場で真横にするりと避けました。
「はあっ!?」
細さんの意外そうな声が漏れ聞こえます。
しかし私にはそんなことは関係なく、
「受けられないのでしたら、受けなくてよいのです!」
〈夜桜蒼月〉を真横に伸ばします。
私はここで何かを持ち帰る。その答えがこれなのだとしたら、それは既に私の手の中にあります。この子と一緒に。
「刀華流“水面蓮”!」
水面をなぞるように放った刃は、真っ向から細さんの衝撃波を断ち切るのではなく、スッと刺身みたいに、滑らかだった。つまり、強引にではなく、断面に沿って断ち切ったことで、空気は正常に保たれた。
「なあっ!?」
細さんは、驚いた様子で、私はその瞬間を見逃さずに、距離を詰めました。
しかしーー
「えっ……」
私は地面に座っていました。
身体に力が入りません。指先も、口を動かすことも、首を動かすことだって叶わない。まるで、意識が完全に残っている状態で、麻酔を打たれているみたいだった。
「すみません、少々驚いてしまって」
「あっ……」
「大丈夫です。しばらくすれば起き上がれますから、その間私も側にいるので、安心してください。それとです」
細さんは、私の耳元に向かって、こう語りかけました。
「貴女は合格です。今の調子で、断ち切ってしまいましょう」
優しい声で、私にそう語りかけてくれましたが、私にはそれよりも、細さんが一体何をなさったのかが、非常に気になってしまいました。
それと同時に答えがわかるの同時に、虚しさのような悔しさのようなものが、ひしひしと目覚めていました。




