■183 タイガーの情報収集録
今回は短めです。タイガーの感情や、頑張りに重点を置きました。陽キャと陰キャは違う。けど、お互い頑張ってるんだよ!
俺とちなっちの二人は、街で情報収集することになった。
とは言ってもそう簡単に情報が集まるとは思わない。
「それじゃあ情報収集に行こっか!」
「あぁいいぜ!」
「よーし!あっ、すみませーん!」
「って、いきなりかよ!」
ちなっちの奴、手当たり次第に声かけてるな。なんかの勧誘かよって、もっとわかりやすく例えるか。えー、ショートケーキの上にとりあえず色んなお菓子を乗せてデコってみる、あぁもっとわかりやすいのがあったわ。
「ティッシュ配りに命燃やしてるアルバイトじゃねえかよ!ご苦労様です!」
なんてことをついつい思って、言ってしまった。
すると戻って来たちなっちが、「ほえ?」と首を傾げる。
「で、どうだったんだ?」
「うーん、駄目っぽい」
「そっか。じゃあしゃあねえな」
俺は落ち込んでるのか落ち込んでいないのか、いまいちよくわからないちなっちにそう声をかけて、励ましておく。
するとちなっちは、
「よし!じゃあ次は、タイガーの番だね!」
「はぁ?」
俺はついつい声を上げてしまった。
「なに言ってんだよ」
「だ・か・ら!次はタイガーの番!」
ちなっちは笑顔で俺に詰め寄って来た。
怖い。めちゃ怖い!
「お、俺が?む、無理だ。無理無理無理!私には無理だって!」
「ほら、型崩れしない!さぁは・や・く!レッツ、ゴー!」
ちなっちは私の背中を押した。
そんな無理だって。私が、無理にキャラを作ってる、コミュ障だって、知ってるでしょ!
しかしちなっちは聞いてくれず、私は他の人にぶつかりそうになったので、無理矢理足を止めた。
「ん?どうしたの?」
私は女性にぶつかりそうになった。
どうやらこの人はプレイヤーみたいだ。
「あっ、その、えっと……」
俺はチラリとちなっちを見ると、ガッポーズをしている。もう無茶だって。
「どうしたの?」
「あの、ミヤビの……」
「ん?」
もうどうにでもなれ!
「ミヤビのボスモンスターって知ってますか!」
俺は大声でそう聞いた。
すると女性は驚いたような顔をして、すぐに考え込む。すると、
「ごめんなさい。知らないかな」
「そう、ですか」
「うん」
残念。
「あの、ありがとうございました」
「ううん。気にしないで」
優しく励ましてくれた。
私は凹んでちなっちのところに戻ると、
「頑張ったねー」
と、ちなっちは他人事のように励ます。
しかし私も少しだけ自信が持てたのか、
「う、うん」
と、頼りなく相槌を打つ私だったけど、結局何にも手掛かりは見つからず、私達はマナ達に任せるしかなくなってしまった。
て言うか、誰も知らないのに、知っている人がいるわけないよな。




