■180 いよいよボス戦に向けて
今回は短めです。
それと、今〈ミヤビ〉の街のボス戦パートを書いていますが、その繋ぎがまだ書けていないので、また少し空くかも。
今日も今日とて特にやることのない私達はミーティングみたいにギルドハウスに集まって、今後の方針の確認をしていた。
そこで議題に上がったのは、スノーからの提案で、〈ミヤビ〉の街のボス戦についてだった。
「少しいいか」
「なーにスノー?」
ちなっちが間の抜けた返事をする。
するとスノーはゆっくり重たい雰囲気が話し出した。
「今後の方針だが、そろそろミヤビの町のボスを倒すのはどうだ」
急なスノーの提案に、皆んな固まってしまうけど、真っ先に答えたのは私だった。
「どうだって言われても、ねー?」
「うんうん。そもそもミヤビの町のボスって、何?」
「さあな」
まさかのスノーも情報不足だった。
と言うのも未だにミヤビのボスを倒して報告は、ネット上に上がっていない。皆んなミヤビの町を経由地にして、他の町に拠点を移しているそうだ。
だからそこまで手が回っていないし、他の町の情報の方が多く上がっているそうだ。
「敵もわからないし、何処にいるのかもわからないんだよ?」
「そうだな。だが先に倒すことに越したことはない」
スノーはそう答える。
「先に倒すのがいいのか。でも、なんでだよ?」
タイガーはスノーに尋ねる。
するとスノーは簡潔に答えた。
「最初に倒したプレイヤーには特別な報酬が与えられるからだ」
とあっさりしていた。
確かにそれは魅力的だ。どんなのかわからないなんて、わくわくする。一度見てみたくはあったけど、でもやっぱり情報不足は否めないらしい。
「ボス戦に挑むにしてもまずは情報を集めませんとね」
「そうだよね。スノーもそれでいいよね?」
「そのつもりだ」
とりあえずKatanaの意見でまとまりそうだ。
最近のKatanaは新しい刀を手にしてから、かなりいきいきしている。その様子は見ているこっちにも伝わって、活力になっていた。
「でもミヤビのボスモンスターかー、やっぱりそっち系なのかなー?」
「そっち系って?」
「ほら、武士っぽいとか忍者っぽいとか、意外に舞妓さん系だったりして」
ちなっちはそんな妄想が膨らむ。
確かにどんな見た目かな?
「私は刀を使うのではないかと思いますよ。この街は京都を舞台にしているので、歴史的にも刀などのような、日本古来に渡るものではないでしょうか?」
「確かにその線はかなり高いな。となると、斬撃系の武器に対する策を用意するしかないか」
スノーは深く考え込んだ。
流石に斬撃一本だと、私の〈暗縫の黒星〉でも厳しいかもしれない。こっちの耐久値が枯らされる方が先だよね。スノー流で言うなら。つまり、先にこっちがばてちゃうってことだ。それは困るよ。
「斬撃なら俺のガントレットならいけるな!」
タイガーはノリノリだ。
確かに斬撃をそのまま受けることができるガントレットなら、かなり役に立ちそうだ。
タイガーの〈虎手甲〉はタイガーらしく、虎をイメージしたものだけど、かなり頑丈な作りで、その見た目に反してかなり軽い。これもシズさん手製の代物で、かなり扱いが簡単だった。
「でももし遠距離系だったらどうするのー?」
「えーっと……その時は、その時、かな?」
タイガーが弱気になった。
これじゃあいつもの大河ちゃんだ。私は大河ちゃんを宥め、とりあえず方針が決まったらしい。
「じゃあとりあえずいつも通りで、ボス戦の準備と情報収集と適度にやるってことでいい?」
「あぁ」
「OK!」
スノーとちなっちが真っ先に、Katanとタイガーも軽く頷いた。
とりあえず今日も今日とて、いつも通りに過ごすのでした。




