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■177 ピアノコンクール

結局投稿しました。

 10月の今日、私達は都内のコンサート会場に足を運んでいた。

 今日はここで関東圏の高校一年生を集めてピアノコンクールが開催される。もちろんここに来たのはノースの応援だった。今までノースの演奏は聴いたことがなかったので楽しみだった。


「いよいよノースが出るんだよね」

「そうだねー。なに弾くのかな?」

「一般的にもクラシック音楽ですかね」

「うーん私もわかんないよ」


 正直音楽とか全然だ。さっぱりってことはないけどそんなに良くも悪くもない。歌を歌うのは好きなんだけど。

 そんなたわいもないお喋りをしていると、ふと聞き覚えのある声がした。


「なにを話しているんだ」

「あっノース!」


 制服姿でやって来たのはノースだった。でもおかしいな。出場者は待機してるんじゃ……


「私が中にいないのはまだ待機時間まで時間があるからだ。開催は1時からだからな」

「そうなんだ。じゃあ……」


 いつもみたいに雑談でもしようかと思った矢先、誰かが私達に声をかけてきた。


「見つけましたわ!」


 振り向くとそこに居たのは知らない少女だった。

 誰だろう。正直そう思った。そこに居たのは白を基調とした制服を着た女の子で、背も高くて髪も長い。釣り目なところが特徴的だった。


「あの、えーっと」

「誰?」

「知らなーい」

「お初にお目にかかります」

「私も知らないよ?」


 皆んな口々に「知らない」と答えた。

 それを黙って聞いていた彼女はまるで私達を知っている、元より私達の中の誰かを知っている様子で人差し指を突きつけた。


「ここであったが百年目!今度こそ私が勝たせてもらいますわ、ノース・A・高坂さん!」


 如何やらノースの知り合いみたいだ。

 私はノースに「誰?」と聞こうとしたが、ノースはポカンとした顔で「誰だコイツ?」って言いたげな表情だった。


「失礼ですが、どなたですか?」

(ホントに言っちゃった!)


 ノースは猫被って丁寧な口調で失礼ながら聞き返す。

 すると少女は目を丸くして明らかに落胆した様子をみせる。こんなに落ち込むってことはよっぽどショックだったんだ。にしても変だよね?絶対記憶のノースが覚えてないはずないもん。それにそれにえーっと何だっけ?確か何とかブルマルチタスクとか何とか言ってたっけ?現実では不可能な領域とか言ってたけど、とにかくノースも普通じゃない。


「まさかこの私をお忘れですの!はぁー心外ですわ。あれだけ競い合ってきた仲ですのに。私ショックですわ」

「あのー、私達は初めてなんですけど?」


 空気を壊すみたいで悪いけど、私はゆっくり手を挙げた。

 すると彼女はピコン!と口角を上げてにこりと笑った。


「あらそうでしたわね、失礼致しましたわ。(わたくし)、聖リーネハイム女学院に籍を置いております高坂さんの永遠のライバル!ライム・G(グラント)・レインフォードと申しますの。以後お見知り置きを」


 うわぁ!もの凄く丁寧な人だ。

 その聖リーネハイム女学院はまーったく知らないけど、とっても良い人みたいで安心した。それにしても“レインフォード”って名前、何処かで聞いたことがあるようなないような?


「レインフォード?あのレインフォード財閥の令嬢さんでしたか。これは失礼致しました」

「そんなことはどうだって構わないのです!それより、私のこと思い出していただけましたか!?」


 目をキラキラさせてノースに尋ねるライムさん。

 しかしノースの反応は如何(いか)にも“微妙”な感じだった。


「申し訳ありません。残念ながら本当に覚えていないもので」

「そ、そうですの?本当にショックですわ……」


 みるみるうちに元気がなくなっていく。

 背中をぐわんと丸めて腕をだらーんとさせた。


「ねえノース本当に覚えてないの?ライムさんだけ知ってるなんてことないんじゃない?」

「本当に知らん」


 ノースからは嘘は感じられない。

 何だか嘘発見器になった気分だけど、本当にその通りでノースからも逆にライムさんの反応を窺っても互いに意見が相違している感じはなかった。お互いが本当のことを言っている。


「えっとライムさん」

「ライムで構いませんわ。高坂さんと一緒にいると言うことは、私と同い年なのでしょう?仲良く致しましょうね」

「じゃあライムちゃん。ノースと知り合いってことだけど、どこであったの?」


 私はそう尋ねた。

 するとライムちゃんは腰に手を当てて「ふっふっふっ」と不敵に笑う。


「よくぞ聞いてくださいましたわ!私と高坂さんの出会いはそう、テニスコートですの」

「テニスコート?ノースってテニスやってたの?」

「いややってないが」

「お忘れですの?中学一年生の夏、都内のテニスコートで私と試合をしたではありませんか。そこで私は歴史的敗北をし、それ以来私は貴女をライバル視してきたのですのよ!」

「そうなの?」


 私はノースに聞き返す。


「ああ思い出した。テニスはしたな。確かに顔は同じで本人確認は取れるが、私の記憶ではもっと落ち着いた奴だった気がするが……」

「ふっふっふっ。それはあの日私が……」

「長くなるからその話は止めだ。それより私に何か用でも?」


 ノースは話を切ってライムちゃんに聞き返す。

 するとライムちゃんはこう宣言した。


「今日の大会では私が勝たせてもらいますわ。その宣戦布告と取っていただいて結構です」

「そうですか。貴女も出場されるのですね」

「もちろんですわ。言っておきますが、今回は私の勝ちは揺らぎませんことよ。なんたって私の得意分野ですので」

「……そうですか。でも私も負けませんから」


 あれ?いつものノースらしくない。こんな安っぽい挑発になるなんてと思った。

 それでライムちゃんはそう言い残すと先に会場の方に足を運んだ。彼女が去った後、私はノースに尋ねた。


「ねえどうして挑発に乗ったの?」

「乗ったわけじゃない。それに勝ち負けなどはない。私も私“らしく”やるだけだ」


 ノースは私にそう告げる。

 その顔色に迷いはなく、いつものノースだった。ただ一つだけ違うのは、いつもよりもノースに覇気があること。多分それはーー

ストックがマジでない。

ちなみに今回の話は、ちょっと前に書いたやつだから、内容とかはあんまりです。

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