■175 ついに来たぞ、ピアノコンクール
ついにピアノ回!の前振りだぜ!
その日、スノーの表情がいつもより暗いことに気づいた。
何でだろうと思った私は、早速聞いてみた。
「どうしたの、スノー?」
「ん。気にするな」
いやいや、そんなこと言われても気になるよ。
スノーがこんなため息を吐くことなんて、そうない。
今、ギルドホームには私とスノーしかいないので、もう少し踏み込んでみた。だって私、こう言う時は空気読まないからね。
「スノーさ、何かあるんでしょ?」
「ふん」
「うーん、その顔は……」
「待て。はぁー、わかった言う」
私がメンタリストばりに、考えを読もうとしたが、それをスノーが止めた。
まあスノーならそうするよね。
でも何となくわかる。わかっちゃう。
「今週の、「日曜日に」ピアノコンクールがあるから、「面倒だな」って思っているんだ「ってことでしょ」?」
スノーは首を傾げる。
しかも真顔になった。
「知ったたのか?」
「ううん。でもちなっちが、今度ピアノコンクールがあるって言ってたから」
「そこから連想したのか。流石の推測力だな」
「いやいやーそんなに褒めないでよ」
「褒めてないぞ」
「がくしっ!」
私はグデーンとテーブルに突っ伏した。
でも、今回のはただの推測じゃない。だってずーっと、ずっとスノーは「そのうちな」とか言って、ピアノ演奏してくれなかったもん。そりゃあここにきてって感じに思うでしょ。
「でもでも、それなら応援に行かないとね」
「はぁ?」
「いや、そりゃ行くでしょ!絶対行くよ」
「来なくていい」
「それじゃあ約束と違うよ。私はついに、ついにだよ。スノーのピアノが聴けるんだし、皆んなだってきっとそうだよ!」
私は熱弁した。
しかしスノーは「くだらないな」と言いたそうだ。
だけだそんなスノーの意見は強引に押し切る。
「もしかして、嫌?」
「嫌ではないが」
「じゃあ恥ずかしいの?」
「そんなこともない」
「だったら、自信がないとか?」
「そんなものあるわけがないだろ」
「じゃあ誰かに期待されるのが怖いんだ!」
「私はそんなものに興味はない」
押し問答のようなやり取りが続いた。
だけどこれで何となくわかった。スノーが出たくない理由。それは本当に“面倒”だから。それから、人前で弾くのが嫌なのだろう。
「それじゃあスノー、私達に聴かせてよ」
「はあっ?」
「応援に行くから。他の誰かじゃなくて、私達に。その方が気が楽でしょ?」
「あ、あぁ……」
明らかにテンションが下がる。
耳の先が真っ赤なところから、「お前達だから緊張するんだよ」と言いたそう。でもそう言うところが、可愛かった。
「な、なんだ?」
「別に。でもさ、スノーはなにを弾く予定なの?」
「ショパンの幻想即興曲」
「ん?」
ショパンは聞いたことがある。だけどその曲は知らない。
だけど聞いただけで難しそうだった。
私が難しい顔をしていると、スノーは「うむ」と口ずさんだ。
「スノー?」
「いやなんでもない。だがそうだな……よし」
スノーは何かを決めたようだ。
「どうしたの?」
「ピアノコンクールには出る。だが曲は変更だ」
「えっ!?」
私は目を見開いた。
スノーらしいっちゃスノーらしいけど、まさか曲を変えるなんて。だけど何の曲を演奏するのかは教えてもらえなかった。
これは実際に行ってみるしかないね。
私はそう睨み、ちなっち達に後で連絡することにしました。




