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■165 Katanaと祝い

今回はちょっとしたお祝い回。

ブクマとかいいねとか、待ってます。評価してくれると、ありがたいです。

「ホント、Katana。ついにできたの!」

「はい。長らくお待たせしてしまいましたが無事取っ掛かりは見いだせました。皆さんのおかげです」


 深々と頭を下げるKatana。礼儀正しいのはいいことだけど、流石に毎度毎度友達に頭を下げられるのは気分がよくない。だけどここで突っぱねたらまた変に気を悪くしちゃうかもだから今日は放っておく。それよりも今はこのおめでたい空気を大事にしよう。さっきから台所ではタイガーが何やら張り切っている。


「本当に皆さんにはご迷惑をおかけしました。今後はより一層励む所存です」

「そういうのはいいけどね、元のKatanaに戻ってくれて安心したよ」

「ホントホントー。いやぁー一時はどうなるかぁーって思ったもんねー。でもまぁKatanaのことだし大丈夫だとは思ってたけどねー」

「そうだな。これで今後の活動にも支障をきたすことはないだろう。安心した」

「おっ!素直だねー」


 ちなっちの煽りを受け、スノーはカッと目を向けた。

 しかしそれすらもちなっちは動じず、むしろ楽しんでいる風に見える。それがわかるとスノーは諦めたようにそっと目を背けた。


「ふふっ」


 Katanaは口元に手を当てクスッと笑った。

 それが見えてほんわかする中、囲むテーブルの上にドサッと置かれた白いお皿。その上には何故かはわからないけど大量の手羽先が鎮座していた。


(えっ!?)


 声には出さなかったが、そう思ってしまった。いや具体的に如何とかじゃないけど、何故とは少なくともなってしまう。


「どうよ。いい揚がり具合だろ。タレとかスパイスとか気ぃ付けたんだぜ」

「う、うん。それはいいんだけどね……」

「ん?」


 わかっていないようだ。そんなタイガーに無情にも突き付けたのはもちろんスノーだった。


「なんで手羽先なんだ?」

「はぁ?」

「唐揚げでもよかったんじゃないのか?」

「そうだな。なら今から作るか?」

「いやそういうことじゃなくて、なんでKatanaのお祝いで手羽先なのかだよ!」

「「ああ」」


 あれ?もしかしてそこが論点じゃなかったのかな。

 もしかして間違ってるの私?アウェーなのかな。


「いや、特に意味ねぇけど」

「ないんだ」


 何か意味があるのかと思ったけど、如何やら関係ないみたい。


「じゃなんでこんなにあるの?」

「ん?あぁそれはいい手羽がたくさん手に入る機会があったから、買い付けといただけだ。モモ肉とムネ肉もおんなじだな」

「へぇー。でもKatanaはコレでいいの?」


 ふと視線を変えKatanaに向けてみると、嬉しそうにこう答える。


「はい。手羽先は嫌いではないですから」

「そっか。だったらいいけど……」

「それにですね。私は皆さんがこんな私にこれだけのことをしてくれるだけで満足ですから」

「それは違うよ」


 私は真っ向から否定した。

 だけどこれはKatanaがじゃない。私が言いたいのはKatanaが自分を低く見ていることだった。


「そんな風に自分を悪く言っちゃだめだよ」

「そうだな。Katana、お前はよくやっているだろ」

「そうだよー」

「う、うん。私もKatanaちゃんは凄いと思う」

「だからそんな風な態度は駄目。もっと対等に扱わないと。私達は友達で、主従関係なんかじゃないんだから」


 そう説き伏せるように説得をした。

 すると今まで以上に明るく、そしていい顔色になった。


「はい」


 短いたった二文字で、その自由と重圧から解放されたのが目に見えて分かった。

 何だか丸く収まった。

 こうして一連のことが集約され、ほんわかほんわかした空気に包まれ、大量に積み上げられた手羽先タワーを崩しにかかるのでした。


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