■15 街で偶然の再会
章の括りは付けるべきか?
私とちなっちはそこそこレベル上げを終えて街まで戻って来た。
でもまだまだ足りないらしい。
それにちなっちがさっき手に入れた魔法とか【加速】のスキルとか、ボス戦だったらどれぐらい役に立つのかちょっぴり気になった。
「ちなっち、どれぐらいレベルが上がったら行く?」
「うーん。あと2、3レベぐらい?」
「あはは。そしたら私、また強くなっちゃうね」
「私もガンガン強くなるよ!」
そんな談話に話を広げた。
私のレベルは13。ちなっちのレベルは5。差は歴然だった。
理由は私が【成長補正(平均)】を持っているからで、平均的に補正がかかっているからだ。
その上私の方が武器も防具も格段に強い。
武器や防具の強さだけが勝敗に直結したらするわけじゃないけど、それでも少なからずは影響が出てくる次第だ。
「そう言えば今更だけどさ」
「ん?」
「マナのその剣ってなに?なんか凄そうだけど」
ちなっちは私の腰に携えた剣を指差して聞いて来た。
「コレ?」
「うん。見るからに強そうなんだけど」
「コレは〈麒麟の星雫〉。レジェンドレアの武器なんだー」
「レジェンドレア!」
ちなっちは叫んだ。
すると周りからの視線が私に集中する。
それを気にしたのかちなっちは私を野地裏に連れ込んだ。何だか怪しいことをされているようだ。
「もう急に走らないでよ、ちなっち!」
「ごめん。色んな意味でごめん」
「ん?」
私はよく分からなかった。
ちなっちは申し訳なさそうな顔で私に謝る。
「元気出してちなっち」
「でもレジェンドレアのこと大声で言っちゃったし」
「気にしてないよ。それに街の中で盗むのは犯罪だよ?」
「でも外でさー」
「大丈夫だって」
私は笑って答えた。
確かにちなっちの言う通り楽観的にもいられない。けどこれ以上責めるのもよくない。ちなっちは本当に申し訳なさそうにしていた。
「それに何かあったら返り討ちにしちゃえばいいもんね」
「な、なんか雰囲気違くないマナ?」
「そっかなー?アドレナリンがどぱどぱ出てるんじゃない?」
「危なくない、それ?」
確かに危ないかもしれない。
そもそもこんな路地裏でこんな怪しい会話をしてて誰かに見られたら、と思うとそっちの方が怖かった。
「でもこんな話、こんな場所で誰かに聞かれてたら大変だったね」
「だなー」
「何の話をしているんだ」
「「えっ!?」」
私は振り向いた。
声のする方には人がいた。真っ黒なワンピース。
襟は白。赤いネクタイを短くしている。
背中には鎌。黒髪にさくらんぼのような赤い目の彼女を私は知っていた。
「スノー?」
「えっ、この人が!」
そこにいたのはスノーだった。
そのことにちなっちは驚く。
「ああ、隣にいるのは友達か?」
「うん。リアルの友達。前に言わなかったっけ?」
「言っていた気もする」
よく覚えていない。
言って本人も覚えてないので致し方ない。
それにしてもちなっちの表情は普通だ。
「えっと……」
「ちわっち!私、ちなっち。マナのリアルの親友でーす!よろしく!」
「あ、ああ。私はスノー」
「よろしく、スノー!ねえもしかしてスノーってさ、〈マルドラ〉のスノー?」
「ちょっとちなっち、流石に初対面の相手にそれはって、あっ!私も気になる」
「だろ!」
「同調するな。まあいい。〈マルドラ〉のスノーは確かに私だ。これでいいか」
スノーは簡単にそう言った。
あっという間に答えが明らかにされる。
「マジかすげぇ!」
「そんなことはない。あれぐらい練習すれば誰にだってできる」
「そんなことないって、あれは才能だろ!」
「そうだよ!私あの連続サイドステップ凄かったもん!」
「だよねー。〈マルドラ〉やったことないけどさ、ネットで噂になってるぐらいだしな」
「はぁー。マナといいちなっちといい個性的な人達だ」
呆れ顔でスノーは溜息を吐く。
しかしそんな彼女を差し置いて、私とちなっちは談話を進めた。
「あっそうだ!ねえスノー」
「なんだ」
「私達とパーティー組まない?それこそ、来週アプデ来るしさ噂じゃギルドもできるらしいじゃん」
「ギルド?」
また知らない単語だ。
しかしスノーは首を横に振った。
「悪いが私はパーティーを組む気もギルドに入る気もない」
「じゃあ作るの?」
「いいや私はソロだ。ただし」
「ただし?」
スノーの含みのある言い回し。
それにちなっちは引き込まれる。
「マナが私をリアルで見つけられれば、パーティーでもギルドでも入ってやる。ただし、その場合リーダーはお前達がやれ」
そう言った。
あれ?この間は誰でもいいみたいな言い方じゃなかったっけ?
しかしちなっちはそんな無理難題に立ちさて決してめげずに、私と同じで立ち向かった。
「オッケー!難しいぐらいがちょうどいいよ!」
「だね。私も諦めないよ」
「ふん。勝手にしろ」
そう言い残すとスノーは何処かに行ってしまった。
その背中は少し嬉しそうだったのが、私には分かった。




