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■140 星来島

今日はちょい早め。

前後編的な感じで結構な伏線。

 暴れ鰹をどうにかこうにか手に入れた私達は島に戻ってきた。

 この島には幾つもの謎がある。それもそのはずで、この島の名前が意味深だったからだ。


星来島(せいらいとう)って……なんなんだろうね」

「さっきからなにぶつぶつ言ってるの、マナ?」

「倒置法で返さなくてもいいよ。でもやっぱりこの島って不思議だよね。色んなものが揃いすぎてる」

「それは同感だ。この島は気候といい生態系と言い適しすぎている節がある。それに……」

「それに?」

「“この島は(・・・・)不思議と(・・・・)感覚に身に覚えがある(・・・・・・・・・・)”」


 スノーのそんな言葉を受けてここにいる全員が同じ気持ちになった。確かに一理ある。と言うより同感だ。

 私も前から感じていたけど、このゲーム(・・・・・)は妙に体に馴染む(・・・・・・・・)だけじゃなくて(・・・・・・・)、もっとこう内側から共鳴する(・・・・・・・・)的な感じだ。的なって言ったら信憑性はなくなるけど、まさしく漫画みたいな展開を期待してしまう。


「でも今はそんなことより鰹の鮮度だよね」

「それはそうだぜ!魚は新鮮さが命だからな」


 確かにただ保存してるだけだと鮮度は落ちる。

 鉱石とか違って生き物相手だから仕方ない。インベントリの中にはさっき釣り上げたBQ(最高品質)の暴れ鰹が眠っている。


「マナのおかげで品質も最高だからな。多分美味いぜ!」

「なににするの?刺身、それともたたき」 

「たたきにするなら最初は焼かねぇとな」

「火力足りなかったら任せてよー」


 ちなっちはにっこり笑顔で拳を突き出した。

 えっ!?魔法って戦闘以外でも使えるんだ。知らなかった。スキルは使えるけど……。

 まだまだ出てくる知らないことに呆気にとられながらも、私達は来た道を戻ってぐんぐん進む。しかしーー


「あれ?ねえなちなっち」

「なーにーマナー」

「私達ってさ、さっきまで海岸沿いを歩いて岩場に出て、それから森に入ってんだよね?」

「そうだよー。海底洞窟は反対側の海岸だし、ポータルもちょっと距離あるからねー」

「じゃあさなんで私達、砂漠の真ん中にいるのかな?」

「わかんなーい」


 ちなっちは愉快そうに笑ってはいるが、多分本心では自分も理解出来ずにパニックになっているはずだ。それを私達に見せまいと必死に表情をあどけてみせた。


「やはりこの島は不思議だ。さっきは気候が適していると評したが、この島の地図を見てもほとんどが森と海岸しかない。にも拘らずこの中央にあるいかにも人為的に造られたと思しき建造物。加えて砂漠や滝、火山に雪原が一つの島で起きているなどあり得ないはずだ……」

「一理あります。この島はまるであらゆる環境を再現(・・・・・・・・・)したみたいです」

「おまけに地下とかもあんだろ?そのくせ全然モンスターに出会わねぇし」

「レベル上げには向かないよね」


 次から次へと愚痴みたいに溢れでる。

 だけど文句なんかいつまでも言ってたら切りがない。


「でもそのうち真ん中の建物には行ってみたいよね」

「それはそうだな。この島のこの不可解な謎を解くためには必須事項だ」

「でもマナが道に迷うんじゃ今日は無理じゃね?」

「それもそうですね」


 何?もしかして私を犬か何かと同列で扱ってるってこと。それはちょっと酷くないですか。

 少しばかりの不満を抱いてしまったけれども、それでも着実に足取りは軽く。私達は帰り道を目指した。

 その結果私達が辿り着いたのはーー


「また森の中」

「でもさっきの砂漠よりはマシだよー」

「そうだけど……この島ってやっぱり不思議だよね」

「言えてる」


 ちなっちが乗ってくる。

 砂漠を歩いていたはずなのに、いつの間にか目の前には森が現れた。だだっ広い砂漠を彷徨うより森の中の方がまだ可能性があると、私達は森の中に入ったのだ。

 その結果おおよそ30分が過ぎようとしているけど、そんな中やっと目ぼしいものが見えて来た。しかもそれはさっき話題に出ていたものだった。


「ん?あれなにかなー」

「なにあれ!?ドームみたいなものが見えるよ!」


 ちなっちとタイガーが揃って声を上げた。

 確かに視線の少し先、木々の合間を通って先に見えて来たのは明らかに人工物の半球状の何か。いわゆるドームみたいなものがコンクリートみたいな色をしてそこに浮いていた。


「もしかしてここってこの島の中央?結構歩いたと思ったけどホントに着いちゃうなんて」

「チャンスだな。中央エリアと言うことはポータル間を繋ぐ何かがあるかもしれない」

「太陽の位置関係もわかりやすいですね。上手くすれば例えあの場所になにもなかったとしても帰り道は困りませんね」

「よーし、じゃあ早く行こっかー!」


 ちなっちは張り切って私とスノーの背中を押した。


「うわぁ!?ちょっとちなっち早いよ!」

「くっ。【加速】を使うな!」

「はいはいーい。ビュビューン!」

「「ビビューンじゃない!」」


 とんでもない圧だ。押し潰されそうになるが、放置されたKatanaとタイガーも呆れるほどだった。

 二人は呆然と立ち尽くしていたものの、すぐさま走って追いかけてくる。しかし【加速】を使ったちなっちにはそう簡単に追いつくことはなく、途中タイガーの【烈風】を追い風に利用して飛ばされて来た。

 そんなこんなでめちゃくちゃなことがあったけど、どうやら私達は島の中央に着いたらしい。そこにあったものはーー


「痛たたたぁ。まさかちなっちに押されただけで着いちゃうなんて」

「全くだ。だがこれで時間が短縮できた。見てみろマナ」

「うん。これってやっぱり……」

「ああ、明らかに人な手によって造られたものだ」


 スノーは見解は正しかった。それは誰が見ても一発でわかることで、何だろ。廃墟みたいになってるけど、まるでこの場所だけ時が止まっているみたいに綺麗で、その上この建物の形から展望台みたいに思ったのは私だけかもしれないね。

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