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■128 夏祭り②

今日はもう1話投稿します。

気づいてると思うけど、主人公達ってファンタジー(現実離れした)要素が混ざってるよ。

 会場には人だかりが出来ていた。

 たくさんの屋台が出来ていて、華やかな灯りがほとばしっていた。


「凄いね。流石都会!」

「いやそう言う問題じゃないと思うぞ」

「でも結構人が入り混じってるねー。屋台も凄い繁盛してるしさー」


 千夏ちゃんの言う通りだ。

 左右の通路には壁みたいに屋台が均等に並べられている。

 ほんの少しだけ間を開け、空気の通りを良くしている程度だった。


「えっとー。焼きそば屋、たこ焼き屋、綿飴屋、焼きそば屋、お好み焼き屋、りんご飴屋、焼きそば屋、焼きそば屋、焼きそば屋……焼きそば多くない?」

「いやいやあれはホルモン焼きそばだからねっ!」


 大河ちゃんに怒られちゃった。それにしても随分食べ物系が並んでいる。特に焼きそばが多い。


「で、でもあのお店とあのお店は同じだよね?」

「いや炒めているもやしの量がぱっと見10グラム差があるな」

「誤差ですね」

「それを言ったらあの店とあの店、それからあの店の看板はどうした」

「うーん。濁点の位置がちょーっとだけ高いのかな?」

「フォントの問題だろ」

「そ、そうだよね」


 とにかく焼きそばの屋台の数が比ではなかった。


「原価を考えるなら綿飴がダントツなんだがな」

「そう言う夢のないことは言わない方がいいよー」


 こっちには千夏ちゃんが対応する。

 でもあれって確かに安そうだよね。だって砂糖と割り箸だけだもん。まあ機械は別にしてだけどね。


「そう言えば皆んなご飯食べてきた?私は軽く済ませちゃったけど」

「私はまだかなー」

「私はバイトに行ってたから。その、(まかな)い出してもらっちゃった」

「喫茶店で賄い?」

「うん。オムライス美味しいから今度食べてみて。ウチの人気メニューの一つだから」

「うん、そうする」


 私は軽く頷き返した。

 それから話を聞くにノースと刀香ちゃんも軽く済ませて来たみたいだ。と言うことで千夏ちゃんはお腹を抑え出した。


「あーもう無理っぽい。ごめんねー、私なにか買ってくるから」

「あっちょっと千夏ちゃん!」


 千夏ちゃんは走り出してしまった。

 こんな人だかりではぐれちゃったら後で面倒なのに。でもでもスマホ持ってるから大丈夫か。


「私達もお祭りを楽しみませんか?」

「それもそうだね。皆んなはなにかしたいことってある?」


 刀香ちゃんそう提案したので乗っかることにした。

 するとノースは視線に入った屋台に目をつける。射的だ。


「射的か。コルク弾を撃って景品を倒す。まあ現実的に考えて大きめの商品を落とすことは不可能か」

「どうして?」

「内包する密度や重さによってバランスが取られているからな。まあそれを計算に入れた上でコルク一発当たりの質量と威力を角度を計算すれば……」


 そう言ってお金を払うとノースは銃にコルクを詰めた。

 ごくりと唾を飲む。

 するとノースは変な角度で銃を構えると斜めに撃ち始めた。そんなので取れるのかな?そう思い込む私をよそに、ノースは常人離れした速度で弾を詰め替えると続けて同じところに的確に撃ち続けた。ありえない。だけどそんな格闘がほんの数十秒のことだっけど、濃縮した時間になった。そうそれはノースが普通なら取れないような景品をあっさり取ってしまったからだ。


「な、なんだと!」

「景品貰えますか?」


 ノースは猫被って笑顔で尋ねる。

 お店の人は嫌ーな顔をして渋々渡した。


「ありがとうございます」

「クソ!なんでだ!」


 まさかと言う反応だ。苦渋を飲まされ落胆し、一番の景品を失ったお店は白く活気が薄れていく。

 何だが悪い光景を見てしまった。


「凄いねノース」

「ふん」

「どうやってあんな大きいの落としたの?」

「聞きたいか」

「う、うん」

「クロノア。アイツに教わった技術を取り込んだだけだ」

「クロノアさんに?」


 私は首を傾げる。


「クロノアさんってこの前ウチに来てくれた人だよね?」

「あれ?大河ちゃんの家にも来たんだ」

「う、うん。カッコいい人だったよ」

「だよね。でもどうして?」

「聞きたいか?」

「えっとー」

「聞きたいか?」


 ノースの気配が赤く色づいた。

 嫌な予感がする。聞いちゃマズい。と言うか聞かない方が身のためな気がしてならなかった。


「き、今日は聞かないでおこっかな」

「そうか」

「うん」


 ノースの気配がいつもの感じに戻っていく。

 だけどその反応は安心した反面、寂しそうでもあった。

 私はそれを肌に感じると、ノースの手を引いた。


「ねえねえノース。向こう行ってみよ!」

「はあ?」

「いいからいいから。今度は私も遊ぼーっと!」


 そう言って私はノースを連れて行く。


「お、おい!そんなに走るな」

「ほらほら」


 そんなはしゃぐ私の後ろでは刀香と大河ら楽しそうに微笑んでいた。


「愛佳さんらしいですね」

「う、うん。私も遊んでいいのかな?」

「いいはずですよ。私達も二人の後を追いましょうか」

「う、うん!」


 大河は頷き返した。

 それを受けて刀香も優しく笑顔を作ると、先を行く愛佳達を追うのだった。

 しかし置いて行かれた千夏はと言うとーー


「あれ?皆んないないじゃーん」


 焼きそばを頬張りながらごくごく自然体だった。

 

 


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