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■114 夜の歪み

新年一発目!

今回はスノーが活躍するよ。

「じゃあ、行くよ!」

「わかったー!」


 ちなっちと私は砂浜で手を振り合う。

 真上にはドラピューズの姿。今は襲ってこないけど、警戒はしているみたいでぐるぐる同じところを回っている。


「今度は負けないよ」


 私達はもう一回ドラピューズに再戦を挑んだ。

 見れば少しずつHPが回復している。だけどまだ完全には回復していないので、さっきの攻撃によるダメージはまだ生きていた。ここは積極的な攻める。


「Katana準備はいい?」

「はい」

「じゃあやろっか。ちなっちが注意を引いてる間に私達である程度撹乱(かくらん)しよ」

「心得ています。では、参ります!」


 早速やる気だ。刀を構えて姿勢を低くするKatana。

 私は前を開け、ドラピューズを観察した。


「龍蒼寺流剣術陸ノ型“辻風”!」


 鞘から抜刀までの動きに無駄がない。洗練された技が空気を叩いて衝撃波を生み出すと、風の刃が鋭さと圧力を生み出してドラピューズを襲った。


 グギャン!


 短い残響が混じる。それはドラピューズの悲痛な鳴き声であった。

 それを聞いて少しびくつく私だけど、他の皆んなはそんなこと構いやしない。それぞれが役目を果たすべか一瞬不乱に攻撃を開始した。


「じゃあ行くぜ!せーのっ!」


 タイガーはまず岩場から適当に転がっていた小さくて尖った投げやすい形をした石を幾つか拾ってきていた。

 それを如何するのか。答えは簡単だ。タイガーは砂浜から思いっきりドラピューズに向かって投げつけた。


 グッ!

 ドラピューズの皮膚が若干凹んだ。私はスノーから借りていた単眼鏡を使ってヒットしたことを確認すると、タイガーにその旨を伝える。


「おっ、ヒットか。じゃあまだまだ行くぜ!」


 タイガーはノリノリだ石ころを投げつけた。たっくさん拾い集めていていたので弾丸には困らない。

 グッ、ドッ、ガッ!ーー何発も何発もぶつけられて流石にイラついたのかドラピューズは砂浜にいる私達を睨みつける。

 ギョロっとこちらに眼球の焦点が動いたのを間近に捉えて肩がピクッと動いて私を見てタイガーは唇を曲げた。


「マジかよ。もう来んのか」


 タイガーは渋い成果に不満げだ。

 だけどそんなタイガーをサポートすべくKatanaも全力で技を繰り出す。


「陸ノ型“辻風”二連!」


 巧みな動き。それから真逆の振りで放った“辻風”が時間差の衝撃波となってドラピューズの腹を抉った。めちゃくちゃに痛そうだ。自然と舌を噛む私。


「あまり効果ありませんか」

「おいおい来るぜ!」

「退避退避!皆んな逃げて!」


 ドラピューズは私達に狙いを定めお得意のエアブレスを放った。

 砂浜にまたしても凹みが生まれる。

 私達はそれをギリギリで躱すと、ここからが一番大変。ちなっちにバトンタッチだ。


「ちなっち後はお願い!」

「OK!じゃあ早速行くよ、《ブレイジング・ロード》!」


 ちなっちは上空に向かって《ブレイジング・ロード》を使った。すると炎で作られた壁が空中に浮かび上がり、ドラピューズを問答無用で炎の中に閉じ込める。

 熱さと急な視界の変化に驚いたのか、ドラピューズはちなっちを睨みつける。


「OK、かかったー」


 ちなっちは私にわかるように伝えると、自分の役目を果たすためさらにドラピューズを(あお)る。


「じゃあ次は新技行ってみよっか。《クロスファイア》!」


 ちなっちは剣を交差させるとMPと引き換えに剣に炎が灯る。さらにそれだけではなく、剣を振るたびに炎が刀身から放たれドラピューズの翼を的確に狙う。

 流石に悶絶したのかドラピューズも乱雑なエアブレスを何発も砂浜に向かって咆哮するが、【加速】待ちのちなっちは短いステップと最小の動きだけでエアブレスを躱し続けた。


「当たんないってそんなのー」


 流石にドラピューズも分が悪いと悟ったのか上空に逃げようとするけれどそこを蓋するようにKatanaの剣技が襲う。


「“辻風”!」


 炎の壁を切り裂いて襲い掛かる刃。見えていない死角からの攻撃に煽られたドラピューズはそのまま砂浜に転落する。

 落ちて来たところを見逃さず、すかさず【跳躍】で地面を蹴り上げたタイガーはドラピューズの背中から技を掛けた。


「《タイガー・インパクト》!」


 【攻防一体】による加算効果、【連撃】による二倍効果、さらに【孤軍奮闘】による超過ダメージ。それらを乗せた魔法の一撃がドラピューズを完全に打ちのめした。


「おらっぁ!」


 二倍によるダメージは流石に答えたのか、ドラピューズの硬い鱗を剥ぎ落とし、HPもごっそり削った。

 残りは私の魔法とスノーの魔法を組み合わせれば何とかなるかも。


「マナ!スノー!」

「うん」

「わかっている」


 私は〈麒麟の星雫〉を構え肩にかける。

 その隣ではスノーが大鎌を体全体を捻るような体勢で構えていた。


「スノー?」

「気にするな。いいから集中しろ」

「う、うん」


 私は軽く頷く。この魔法は発動までのチャージ時間に少しの時間を要する技。でもその代わり与えるダメージ量は桁違いだ。

 それがわかっているから私は気にせず構えているが、ドラピューズもただではやらせてくれず残った力で再び飛び立とうとする。


「うわぁ!」


 背中に乗るタイガーを振り払い砂浜に落下するタイガー。【受け身】で体勢を立て直すが、既にドラピューズはちなっち達の範囲外だ。


「あっ、逃げる!」

「気にするな。ここで落とす!」

「うん。《スターライト・エンド》!」


 私は充填された星の光のエネルギーをドラピューズに向かって放った。

 だけどそれでは足りず、攻撃はドラピューズの左翼を削るだけに過ぎない。


「あっ!?」


 外したことを後から後悔した。でも後悔を取り戻すためのMPはもう残っていない。一発勝負の一撃を外したのだ。

 奥歯を噛み締める私。だけどその隣でスノーが不敵な笑みを浮かべてこう言った。


「その角度、計算済みだ」

「えっ!?」


 それってまるで私が外すのを予測したたみたい……


「《ナイト・ディストーション》!」


 スノーは体を捻りながら大鎌を激しく振り切る。

 すると大鎌の鎌の部分が禍々しく黒に染まる。むしろ紫の火の玉を宿したような怪しいエフェクト共に放たれた一撃は、渦を巻きながら空間を捻り歪んだ一撃がドラピューズを捉えると、そのまま問答無用に引き裂いたのだった。

 つまりそれはドラピューズの消滅を意味する。


「えっ!?」


 呆気ない幕引き。だけどそれが今こうして目の前で起きた時、私は体力切れで力尽き倒れる。さらにその横ではスノーが膝をついていたのを私の目は捉えていたのだった。

 今のがスノーの必殺技?強い。私の《スターライト・エンド》と似ている。その光景は達観出来る域を当に超え、全員が力を前回まで出し尽くす結果と終わったのだった。

 

 

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