表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/266

■106 ノースが家にやって来た!

今回はいわゆる閑話です。

閑話かんわとは、無駄話のこと。

 その日、私は一つ唐突な問題に悩まされていた。


「どうしよう……」


 ポツポツと時間だけが経過していく。

 私は腕を組んで目の前の惨状を目の当たりにする。現実を受け入れるのだ。何て堅くは言ってみたものの、メチャ簡単な事でパソコンが壊れたのだ。

 どうして壊れたのかはわからない。ただ単に電源が入らないのだ。

 埃を掃除してみたけどなんの変化もない。コンセントを見てみたけど何ともない。もうお手上げ状態だった。


「うーん、どうしよ。私あんまりパソコンとか詳しくないもんなー」


 考えに考え抜いた結果思いついたのはたった一つだけ。

 他力本願だった。


「こう言う時、一番頼りになる友達と言ったらノースしかいないよね!」


 と言うわけでいつも通り私はノースに連絡した。

 今回はメッセじゃなくて電話だ。


「なんだ」

「あっノース、今暇?」

「暇かと言われればそうだな。で、なんの話だ?」


 スマホの向こうからピカピカと激しい電子音が聞こえてくる。多分ゲームしながら通話してるんだと思うけど、まあいいや。

 私はいつも通りのノースの生活リズムにあまり深く関与せず自然に話を進める。


「ごめんねゲーム中に」

「気にするな。で、なんだ」

「うん。それがねパソコンが動かなくなっちゃって」

「はぁ?」


 私はことの次第を説明した。

 するとノースは呆れたような声を上げる。


「そんなことで私にいちいち相談するな。修理に出せばいいだろ」

「まあそうなんだけどね」


 正直その線はあった。

 だけどしなかったのはなーんとなくノースに相談すればいい具合に転ぶんじゃないかと思ったからだ。ほんとなんで何だろうね。私の直感ってやつかも。


「ノース……」

「はぁ。わかった。明日時間あるか」

「えっ、うん。あるけど」

「私が明日愛佳の家に行く。ちょうど使っていない余ったPCがなん台かあるからな」

「いいの?」

「そう言うことだろ」

「どう言うこと?」


 私はポカンとしていたけど如何言う訳かそう言う流れになった。

 と言うわけで私は一人取り残されたような状態のまま次の日になるのを待つのだった。

 で、時は流れた。



 ピンポーン!


 家のチャイムが鳴った。

 私は玄関先に出て誰が来たのか確認する。さっき車の音がしたし、もしかしたら宅配か何かかも。そう思った矢先、現れたのは見知った銀にたなびく白髪の少女。


「ノース、本当に来たんだ」

「当たり前だ。入るぞ」

「うん。いいよって、えっ、なに!?」


 私の目は自然とノースの背後へと視線が移動する。

 そこにあったのはリムジン。狭い住宅路に堂々と停められたそれは見るに耐えない。と言うか、場違い感がただならなかった。


「ん?ああパソコンを運んだからな。すぐに避けさせる」

「う、うん。そうした方がいいかも」


 私もコクコクと首を縦に振る。

 するとリムジンを運転していた女性が目配せする。


「その前に中身を下ろしてからだ」

「そうだね。私も手伝うよ」


 そう言って私も手伝おうとした時だ。

 既に中身のものが玄関先に鎮座していた。私を目を丸くして呆然と立ち尽くし、ノースも短い溜息を吐く。


「ノア」

「はい、ノース様」

「ノースでいい」

「いえノース様。こちらに荷物の方は先んじて運ばせていただきました」

「ああ助かる。後でノアも手伝ってくれ」

「はい!お任せください」


 丁寧な口調だ。

 でもあれ?このの絵どこかで聞いたことあるような。

 私が尋ねようとした時に、既にさっきの女性の姿はなくリムジンに乗り込み、緩やかにスピードを上げずに何処かに走り去ってしまった。


「ねえノース。さっきの人って?」

「ん?前にもあったことがあっただろ」

「そうなの?」

「ああ。後で紹介してやる。とにかくまずはこれを運び込むぞ。精密機器だ。絶対にぶつけるなよ」

「わかってるよ」


 フリとかじゃない。

 と言うかそんな十八番(おはこ)とか義務意識は特にない。

 だからメチャメチャ早く箱に入った荷物を家の中に運び込む。

 何とか二階にまで上げると、そこでノースが一言。


「余っている部屋はあるか?」

「うん。あるよ」


 昨日の電話でも同じことを言われた。

 でも何でだろ?普通に自分の部屋に置けばいいだけじゃないのかな?

 そう不思議がる私。しかしノースに言われた通り私は家の中で使っていない部屋に案内した。両親は今いないし、居ても居なくても結局関係なく使っていない部屋はあるので。そこにする。


「ここだよ」

「わかった。コンセントはあるな」

「うん」

「よし、じゃあここにするか」


 ノースは力強く宣言する。

 私にはよくわからなかったけど、運び込んだものを見て気づいた。


(あれ?これってモニターだよね?そう言えば随分重かったけど……)


 私は嫌な予感と言うより不安とかの方がいっぱいだった。

【ちなみに設定①】

この世界の地名は現実にあるものが使われている場合がありますが、作品の設定上グローバル化に先駆けて主に日本全国で改修工事が5年前からされているので実際の地形や建物とはまるで違うんですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=446623083&size=300
― 新着の感想 ―
[一言] そりゃぁ...ノースのお家の話は前にもあったし...そうなりますよねぇ... 普通の家は何台も動くPCを余らせるなんてことないし
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ