6話 サボり癖の姫と優秀な騎士
お待たせしました!ククル回になります!
ダンスレッスンをサボり、罪悪感がない私は楽しくお出掛けをしています。
「あっ! このローズヒップの茶葉は!!」
街中を歩いていたら、可愛らしい黄色のレンガの建物を見つけたので入ってみると、
ロイスが前に買って来てくれたローズヒップの茶葉を発見しました。
なるほど、この『リーフ』というお店で買ったんですね。覚えておきましょう。
私は蝶の刺繍が入っている白い財布を取り出して銀貨を一枚支払い、
ハーブティーを10袋買いました。
ふふっ、これがいわゆる大人買いってやつね。さて、次はどこに行こうかしら。
お洋服屋がありましたが、服お城にいっぱいありますので買う必要ないかしら。
何か変わっているお店の方がいいわね。
考えながら街中を歩いてたら公園を見つけました。
あ、もしかしてここでリリアナが拾われたのかな?
ふと思うと、公園内に一軒だけ開いている露店がありました。
人集りもあるので気になって近くに寄ると、
露店の看板にクレープ屋と書かれてました。
クレープ食べたいかも! 善は急げです。
私は後ろの列に並び、何の味を食べようかなと思って並びました。
数十分程並んでいるとついに私の番が来ました。
メニュー表を眺めると、色んな種類のクレープがありますね。
無難ないちごクレープにチョコバナナクレープ、キャラメルバニラクレープなどがあります。
うーん。どうしようかなぁー。いちごクレープが美味しそうかな。
「すいません。いちごクレープを1つお願いします」
「いちごクレープですかい。銅貨5枚になりまっせ」
独特な口調の店員さんに銅貨を5枚支払い、いちごクレープが作られているところを眺めて待ちました。
「はいどうぞお嬢ちゃん。落とさないように気をつけてな。
お嬢ちゃん、可愛いからクリームを多めに入れましたっせ」
「はい、ありがとうございます」
やった。おまけしてもらいました。空いていたベンチを探して座り、
クレープを上からパクリと食べると凄く美味しかったです。
「うん。美味しいわね」
クリームが多めに入っていますが甘さが控えめで食べやすく、
程良いイチゴの甘酸っぱさが合ってとても美味しいです。
ふふ、やはりこの世界のデザートも悪くないわね。
クレープを食べ終えた私は少しだけ休憩し、遊び尽くしたのでそろそろ帰りましょうか。
来た道を通った通りに帰ろうとすると、私はあることに気が付きました。
「あれ、ここはどこかしら?」
そう迷子になりました。うーまだこの世界に来て間もないので迷いました。
えーどうしようどうしよう。あたふたして行ったり来たりして困っていると誰かに声をかけられました。
「そこの美人さん、困った様子だね」
「どうしたんだい」
「何かあったんかい?」
いかにもモブキャラと言う感じの3人組ですね。
こーゆー時は関わらないほうがいいですよね。
私は無視をしてその場から離れようとすると手首を掴まれました。
「おい美人さん。俺達が話しかけてるのに無視は酷くないかい?」
「道に迷ってるんだったら俺達が案内してやるやるよ」
「いい所に連れて行ってやるぜ」
怖くなった私は声が震えてしまいました。
「あ、あの・・・私に関わらないで下さい・・・」
それでも手首を離してくれなかったので、私は助けてを呼ぶために大声で叫びました。
「いやっ!! 誰か助けて!!!!」
助けを呼んだ瞬間、横から飛んできた男性に一人のモブキャラが顔を殴られて飛ばされました。
「大丈夫ですか。リリアナ姫」
助けてくれた男性を見ると、黒上の超絶イケメンのククルさんでした。
ククルさんは優しく微笑んだ後、相手に対しては怖い表情して睨んでいました。
「お前ら何をしてるんだ。汚い手でその方に触れるな」
吹っ飛ばされた男性はイラつき、同じモブキャラに命令をして二人掛かりでククルさんをやっつけようとしましたが、返り討ちに遭ってました。
ククルさんが相手の腹に蹴りを入れたり、腕を掴んで投げ飛ばしてました。
「戦い方が素人同然だな」
さすが優秀な騎士です。一般の人には歯が立たない程強いです。
しかし懲りないモブキャラ達の怒りが増し、三人共ダガーナイフを持ち始めました。
「そのイケメン面が気に食わねえ!」
「ズタズタに切り裂いてやる!」
「くらいやがれ!」
相手がククルさんに向けて刃物を振りかざすと、
ククルさんが鞘にしまっている剣を取り出して振りかざしました。
「はあっ!!!」
すると、一瞬にして相手のダガーナイフを手からはじき飛ばしました。
は、速い・・・何が起きたのか分からない程の剣術でした。
ククルさんは相手の首に剣を向け、いつもよりと低い声で威圧してました。
「刃物は人を傷付ける為にあるのではない、守る為にあるんだ。
それが分からない奴には容赦はせんぞ・・・」
「くそう・・・お前ら退散だ!!」
モブキャラ達は怖気付いて逃げ出し、どこかに行ってしまいました。
安心した私はククルさんにお礼を言いました。
「あの、ククルさん。ありがとうございます! それからえと・・・迷惑を掛けてごめんなさい」
今のタイミングで助けに来てくれたのはきっと、私を探すためにここに来たんでしょう。
ダンスレッスンをサボった罪悪感と心配をかけてしまったので謝りました。
いくらお姫様とは言え怒られると思っていましたがククルさんは微笑み、
いつもの優しい声で手を差し伸べてくれました。
「リリアナ姫がご無事で何よりです。さて、それでは帰りますよ。私が送ってあげます」
やっぱりククルさんは顔だけではなく性格もイケメンでした。
お城に帰るとロイスも物凄く心配していて、突然抱きつかれました。
「ちょっとロイス! 恥ずかしいんだけど!」
メイドさんや騎士さんも周りにいて恥ずかしかったのですが離してくれませんでした。
「このトラブルメーカーめ・・・お前が無事で良かったよ」
そう言われたので私も応えました。
「もう心配性なんだから・・・でも心配かけてごめんね」
皆には怒られませんでしたが、家庭教師の先生にはめっちゃ怒られました。
うん反省します。深く反省をしているとあることに気が付きました。
あ、そういえば私の買った荷物はどこかしら?
もしかして公園のベンチに置きっぱなし?
そのことをロイスに伝えると、ロイスがベテラン運転手を連れて公園の方に探しに行ってくれたので、
私は素直にダンスレッスンをしながら待ちました。
その数分後にロイスが帰って来て、ハーブティーの無事を確認できました。ふーよかったです。
その日の夜は助けてくれたククルさんにお礼をする為、
ハーブティーの茶葉を分けてあげました。
初めは受け取れないと言われましたが、強引に渡して来ました。
自分の部屋に戻って天井付ベッドの上に横になると、
今日あった出来事を思い出していました。
色々ありましたがかっこいい姿のククルさんも見れて、
楽しい買い物もできたので充実した一日でしたね。
明日からはまじめにダンスレッスンをしようと思います。