5話 ダンスレッスンよりもイケメン騎士が好き
「アンドゥトロワ。アンドゥトロワ。はい、もう一度」
「えーっとアンドゥートロ・・・きゃっ!?」
幼い頃の時にダンスレッスンを教えてくれていたと思われる家庭教師に来てもらい、
私は舞踏会に向けてダンスレッスンをさせられています。
運動がそこまで得意では無い私は社交ダンスと言うのが難しくて何回も転んでしまいます。
私はつい弱音をはいてしまいました。
「もうー無理ー!」
家庭教師の先生はため息をつき、「少しだけ休憩しましょうか。数十分後に練習の続きをしますので外には出ないで下さいね」と言って先生は部屋から出ていかれました。私はようやくダンスレッスンと言う地獄の時間から解放された。
「はあー・・・社交ダンスなんてしたことないから難しいわ」
慣れないことをして体がくたくたです。ダンスって大変だわ。
気分を変えるために外に出て花壇見たり、
敷地の中にあるガーデンテーブルに座って休憩をしましょう。
うん、サボりました。
一息ついて休憩していると、何か物音が聞こえてきました。
「ん? 何かやっているのかしら」
気になった私はその場から立ち上がり、敷地内を歩きました。
お城の裏側に近づくにつれて物音がより多く聞こえてきました。
刃物と刃物がぶつかり合うような金属音と暑苦しい声が聞こえています。
木の影から隠れるように眺めると、騎士同士が剣技の練習をしていました。
なるほど。この時間帯にいつもお城の外が騒がしいと思っていたらこれをしていたんですね。
若い騎士達の練習を見ていると私が気になっていた男性が1人いました。
そう、イケメンのククルさんです。
超絶イケメンの黒髪をしているのですぐにわかりました。
やっぱりかっこいいなぁと思いながらククルさんの剣技を見ていると目が合ってしまいました。
もしかしてずっと観ていたのがバレた!?
隠れるために木影に隠れると誰かに声を掛けられました。
「やはりリリアナ姫でしたか、こんなところで何をやっているんですか?」
声をかけられたので振り向くと、ククルさんが目の前にいました。
えーっとなんて言い訳をしましょう。私は突然声をかけられたのであたふたしてしまいました。
「えっと、私は今サボっ・・・休憩中だわ」
そう言うと、ククルさんがくすりと笑っていました。
「なるほど、そういうことでしたら二人だけの秘密ですね。
リリアナ姫がサボっている事は誰にも言いふらしません。だからご安心を」
そう言って微笑み、剣技に練習に戻ろうとすると、私は小さな声で「ありがとう」とお礼をしました。
すると耳がいいのか聞こえたらしく、
私に振り向いて「どういたしまして」と言ってその場から離れました。
うん性格もイケメンでしたね。
それと、今どれぐらい時間が経ちましたかね。
懐中時計を見ると休憩時間は終わっていますので、
今頃お城の中で私を探しているでしょう。
これは素直に戻っても怒られるわよね・・・面倒くさくなったのでサボりましょう。
うん。敷地内にいるんだから今のうち逃げちゃおっかな。
私は裏口から誰にも気がつかれないように敷地から出て、
お出かけをすることにしました。
さて、どこから買い物をしようかなとのんきに考えている一方。
お城では大変なことになってるとは知る由もありませんでした。
「リリアナ姫ー。どこに居ますかー?」
「リリアナ姫ー。返事をしてくださいー!」
「リリアナー! 隠れてないで出てきてくれえー!」
家庭教師とメイド達とロイスがお城の中で探していました。
ロイスが機転を効かして外に居るのではないかと判断し、
メイド達に中庭を探すように言いましたが、
私はすでにお城から抜け出しているのですよ。
騒ぎが大きくなり、ロイスは騎士達にも私を探す事を命じ、
ククルさん達を仕切って総出で探す事になったらしいです。
「はあー・・・あのトラブルメーカーが、また事故に巻き込まれたらどうするんだ・・・」
ちょっと大袈裟かもしれないが、リリアナの身に何かあってからでは遅い。だから全力で探す事にした。