4話 婚約話とリリアナの過去
次回は火曜日に投稿します!
「お邪魔しますー」
ロイスの仕事部屋に入ると今日も汚れていました。本や書類が散らばっていたり、
テーブルにも無造作にものが置かれているのでせっかく立派な部屋が台無しですね。
ロイスが今テーブルを片付けるからソファーに座って待っててと言われたので、
のんびり座ることにしました。
部屋の片付けを済ますと、ロイスが私と向かい合うように座り、
真剣な眼差しで私を見ていました。
「今日呼んだのは前の話の続きをする為だ。
担当直入に聞く、リリアナが結婚したいと思う相手は決まったか?
もし、来週行う舞踏会で良い相手がいなかったら・・・俺と婚約してくれないか?」
私は頭の上にクエッションマークが出そうなほど首を傾げ、聞き返してしまいました。
「え!? 婚約の話!?」
前の話の続きって婚約話なんですね。
いきなりだったのでびっくりしていると、
ロイスに「忘れたのか? いや、ボケたのか」と言われてしまった。
んー・・・私は少し考えました。
このまま何事も無くイベントが進むと、ロイスと婚約する感じになりますよね。
もしかして・・・ロイスの攻略ルートに入っちゃってる?そう思っていると、ロイスがリリアナのことを話してくれました。
「お前が前に『ロイスの事は嫌いじゃないけど、幼馴染って感じだから結婚相手とは想像つかないんだよねー。他にもイケメンがいるかもしんないからちょっと待っててね』と言っただろう」
あー全く言った記憶がありません。
そう思っているとロイスが言葉を付け加えてました。
「まぁ、うちの母上と父上もリリアナを拾った当時は、
俺と結婚させる為に妹としては育てていなかったが、
前にも言った通りに今はそんな事を気にしてないからな。
リリアナが幸せに暮らせたら誰でもいいと思ってるから気楽に考えていいさ」と言われた。
え? リリアナってこんなキャラ設定なの?
それに拾われたって何? 私はロイスに質問をしました。
「え、私って何歳の時に拾われたの? 何処で?」
そう言うと、ロイスが教えてくれました。
「身寄りがないお前を公園で見つけて拾ったんじゃなかったっけ? まだ5歳の時だったかな?」
まじか!! 驚いてしまいました。ロイスは過去の話を続けました。
「当時のお前は養子になるのを嫌がって孤独に死にそうだったから、
母上が機転を効かせて『うちに来たらイケメンの王子がいるわよ。将来結婚出来るかもよ?
お姫様になりたくない?』と言ったらしくて、お前が即答で『なりたい!』と答えて拾ったらしい」
そう言われました。なんか・・・イケメン好きな所は私と性格が似てるかも。
だからロイスと私は兄妹関係ではないみたいです。
確かにロイスは私の事を優しくしてくれるけど、
お兄ちゃんって言う感じではなく幼馴染感があったので、
血は繋がってないとは思っていましたがそういうことでしたか。
いつも微妙な距離感がありますもんね。
それに、名前で呼びあっているのに違和感がありました。
普通なら私が兄上やお兄様とか言いますもんね。
頭の中を整理しているとロイスが「ゆっくり考えて置いてくれ。
俺はお前のことが好きだから後はお前次第だ」そう捨て台詞を言われました。
何それキュンとしちゃうんですけど!!
こんな超絶イケメンのキャラクターに求婚されたら、
現実にいた私なら即オッケーしますね。
しかし、他のイケメンキャラも気になるので返事はまだしませんでした。
わくわく楽しみに考えているとロイスに言われました。
「そういえば、お前ボケてからダンスは忘れていないだろうな?」
と馬鹿にするような笑みを向けられました。
「え? ダンス?」
少しだけその場が静まり、ロイスが顔に手を当てて呆れていました。
「舞踏会で踊るダンスだ・・・まさかとは思うが、忘れたのか?」
私は固まってしまいました。
「忘れましたわ」
「お前、まじか」
「うん、まじです」
翌日私は舞踏会に向けて、ダンスの練習をさせられました。