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ぼくはネット恋愛をした  作者: 木口 困
5/5

婚活パーティーに挑むなら、周りと同じくらいの結婚意識を持たなければ浮く

姉に頼まれて婚活パーティーに参加したことが何度かある。


「参加女性の数が足りないから、人助けと思ってお願い」

「何が出会いに繋がるか解らないから、とりあえず可能性だけはちょうだい」

「来てくれるだけで良いの!女性が少なすぎるのは男性陣だって辛いから。ご飯食べにくるのがメインで、出会いはついでみたいな軽い気持ちで、ね?」


こういう誘い文句だった。

因みに、姉は幹事に頼まれてともかく人を集めたかったらしい。

姉も結婚の意思はないが行くとのことで、ではぼくもと人助けと思い、軽い気持ちで出掛けた。

結果、考え方に温度差のある男性にロックオンされることとなってしまった。


まず、流れを説明する。

大概は短時間の自己紹介が先にあり、男性が順番に女性の前を移動して軽く会話を交わした。

5分くらい話すと、司会の掛け声でまたローテーションとなる。

その後の流れは主催によってまちまちだったが、結局は食事やワインの試飲をしながら、気になった相手に声を掛けに行き仲を深める。

最後に、手渡された紙に自分の名前と「気になる人」の候補を3人ほど書き込み、司会に渡したり前方の箱に入れたりするのだった。

そして司会や運営側がそれらを集計し、閉会の挨拶前にカップル成立を宣言したりするのである。

因みにぼくはいつも白紙投票だった。

別に気になる相手が居なかったからだ。

姉もまた同様だった。


ぼくがその婚活パーティーで困ったことといったら、声を掛けてくる男性陣との温度差だった。

ぼくは軽い気持ちで来いと言われて赴いたのに、相手はガチのトーンだったのだ。

ぼくの中では、まず趣味の話をしたり、嗜好の確認、性格の一致等を話し合い、ライトにお互いを知る所からスタートだと思っていた。

しかし相手はそうではなかった。


「結婚したら親と同居して、面倒を見てもらいたいのだけどいいかな?」

「わたしはあまり家にいられないから、できたら家を守ってほしいんだけど」

「結婚式は親戚を呼んで盛大にしないといけないから、会場はもうだいたい決めてある」

「年内には母に会ってもらいたい」

「これを逃したら、僕はもう、こういったパーティーには参加しないことにしてる。会えるとしたら今日だけだよ」

「古い家だけど、一戸建てで庭つきで広いからいいよ。弟も居るから、是非紹介したい」


といった、何故かお互いのことを知りもしない内から、結婚を決定しているかのような発言を複数の男性から受けた。

酷い人は、自己紹介もない内から親との同居を切り出された。(別にぼくは親との同居に対して何の抵抗もないのですが、お互いを知りもしない内の開口一番だったので吃驚しました。)

ぼくは困惑した。

ぼくのことをよく知りもしないのに、何故もう二人の未来の話をしているのかな?と。

当時二十歳そこそこだったぼくは、参加したパーティーが年齢制限なしの催しだった為か三十代後半から五十代半ばまでの幅広い方々から、そういった話を向けられることになり首を傾げるばかりだった。

なぜこんな小娘相手に、そういった話を持ちかけるのか?

てっきり、ゆっくり知り合っていくものだと思っていたのに、性急すぎやしないか?

若さ故に憤りかけたりもしたが、一旦冷静になるとその原因も見えてきた。


これは婚活(・・)パーティーなのだ。

結婚する気のある人間を対象とした集まりであり、相手からは、参加している時点で結婚を視野に入れている人だと思われているのだ。

だから相手は、自分の結婚に対する条件を提示しているに過ぎないのだと。

そう理解してからは、ぼくは誰に頼まれても婚活パーティーに参加するのはやめることにした。

温度差が(つら)すぎて同じ会場に居るのが苦痛で、結婚意識の低いハズレくじである自分が参加するのは、真剣に取り組んでいるだろう男性陣に申し訳ないと思ったからだ。

さて、するといよいよ出会いの場が見つからない。どうすべきか。

ぼくはますます(せば)まる、好きな人探しの条件に頭を悩ませるのだった。




(好きになれるのなら年齢は特に気にしないことにはしていたのですが、さすがに父ほど年の離れた相手では両親も納得しづらいだろうと思いました。

できることなら、上は十歳差までにしておこうかと上限を気にした瞬間でもありました。

因みに街コンというのも断念しました。

多分婚活パーティーに比べればライトなのだろうとイメージしましたが、同じ轍を踏む可能性も考慮すると、自分にはまだ早いと判断したためです。)


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