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トラップハンター  作者: 長井 コレチカ
9/22

深さ5メートルの落とし穴

また土曜日にできなかった……。

だからこうやって朝早くから小説を書いた。

早起きは苦手だ。


というか、海君大丈夫なの!?

みんなが心配してるよ!


どうなる!?海君!?



トラップハンター始まるざます。







『ボキッ!』

 俺は崖の上に登るため、はしごに手をかけた。


 しかし、そのはしごは数時間で完成したものだったらしい。

 この「おとり作戦」はほんの少し前に決まったことだったからだ。

 第四部隊の一人がパパっと作ったものだった。


 第四部隊は木を使った製品を作ることが得意と聞いた。

 でも、たった数時間ではしごを作ったなんて……。


 今思えば、そりゃ、そうなると感じる。






 自分の体が崖の下へと落ちていく……。

 寄りにもよって、中途半端(ちゅうとはんぱ)な高さから……。


 俺は必死にもがくことしかできなかった。






「うわっ!」

 思っているより早く、俺は地面に着いた。


 しりもちをついてしまったのか、おしりがジンジン痛む。


 でも、そんなことを(なげ)いているヒマはない。



 俺は目の前にあった、「洞穴(ほらあな)」に気づいた。


 すぐ入った!


(さっき崖の上から叫び声が聞こえたような…………。そんなことより「ダウン」は!?)


 後ろを振り返ったら、そこには何もいなかった。


「えっ」




 すぐに、上から何人か降りてきた。

 第四部隊の数人やトムさん、

 後からミーナを含む第六部隊の人たち


 ミーナが俺が洞穴にいることを気づき、安堵(あんど)な表情をした。


「おーい!海は無事(ぶじ)みたいだよー!」

 ミーナさんが崖の上にいるシーアたちに知らせた。



 俺は洞穴から出ようしたが、どうも、おしりが痛くて動くことができなかった。


「お?大丈夫?」

 ミーナさんが心配してくれた。

「はい、なんとか」

 と言いつつ、俺はヒリヒリ痛むおしりをさすっていた。


「ああ、やっぱり尻から落ちたのかぁー……」

 トムさんが俺のそばにやってきた。


「あ、ダウンは!?あの後ダウンはどうなったのですか!?」

「ああ、安心しろ。ダウンは全部あの落とし穴に引っかかった。まさか5匹もくるなんて、思ってなかった」

「いやいや、思ってくださいよ!」

「すまんすまん。でもちゃんと5匹とももう動かないから。」

「はあ……」


 俺は

 一生

 おとりには

 なりたくない。


 と心から(ちか)った。


--------------------------------------------------



 まだ痛むおしりをさすりながら落とし穴を覗くと、確かに5匹ともいて、瀕死状態だった。

 第四部隊たちが「スコップ」を使って、とどめをさす光景は強烈(きょうれつ)だった。


「で、これからどうするんでしたっけ……」

 俺はトムさんに聞いた。

「えっと、この落とし穴の四方(しほう)にある(ひも)を引っ張るんだ。そうすれば、底に()いた木の板が杭ごと持ち上げる」

「へぇー」

 なんだかよくできてるなぁ、と俺は感心した。これも第四部隊のおかげかなのだろうか。




 俺たちは落とし穴の角にあるロープを持ち上げた。


「よし、いくぞー!!!」

 トムさんの声が響く。


「「「せーーーーーのっ!!!!!」」」



「はぁぁぁぁ~~~んっ!」


 俺の口から変な声が出た。


 恥ずかしいし、何より重い!


「がぁぁぁー!!!」

 トムさんの顔が真っ赤になってきた。


「ひぃぃぃぃー!!!」

「うがーーーーー!!!」

「おりゃーーー!!!」

「うぅんーーーっ!」

 みんな変な声をあげていた。




 それでもダウンは重かった。


 小さい頃読んだ「おおきなかぶ」を思い出した。


「い、一旦休憩!!!」






「あーあ!上に持ち上げれないとなれば、ダウンの肉がゲットできないじゃないか!」

 俺は空を見上げながら、やわらかい草が生えた地面に座っていた。

「そういえば、海、あの時大丈夫だった?」

 となりに座ってきたシーアが聞いてきた。


(思っているより近いな……)

「ああ、まあ、その、なんとか……」

(う~何ドキドキしているんだ、俺!)


「ふ~ん。でもまあ、無事でいてよかった!」

シーアの笑顔がかわいく見えて、俺は複雑な気持ちになった。


(でもこうやって作戦が止まってしまうとは……。なんだか、悔しいなぁ)


トムさんが一番悔しがっていると思う。

なぜなら、この作戦の考案者かつリーダーはトムさんだったからだ。



「あーあ」

 俺は空に向かってため息をした。


(こんなので元の世界に帰れるのだろうか……)



「海さん!お茶持ってきましたよ!」

 この美しい声はマアカさんで間違いない。


 マアカさんとかえでちゃんがみんなの分のお茶、ジュース、そしてお菓子を持ってきてくれた。

 どおりでさっきから見かけないわけだった。


 俺はジュースをごくごく飲んだ。

「ぷはぁぁぁ!生き返る!極楽(ごくらく)だぁー!!!」


「大げさすぎですよ、海さんっ!」

 マアカさんは俺を見て笑っていた。

 それでも、お茶係というのは重要な役割であり、会社(つと)めのおじさんたちがOLを好きになる理由もわかったような気がした。(本当にそうかは知らないが……)


「ああ!」

 かえでちゃんが崖の上に何か気になったものを発見した。

「どうした?」

「さっき向こうから声が……」

「声?」


 すると、人の頭が見えた。

 一人だけではない、何十人もだ!

 おばさん、二、三十代ぐらいの女性、子供

 メンツはさまざま。



「ああ、町のみなさん!」

 マアカさんが言った。

「え、どういうこと!?」


 トムさんがそれに気づいたらしく、急いで()け寄った。

「あの、どうして?」

 前に出てきたパーマのおばさんが喋った。

「あのね、いつも私たちはね、こうやって怪物から避難(ひなん)をしたあとにね、ここに来て確認するの、もう怪物はいないかなって。そしたらね、あなたたちがいてね、何か手伝うことはないかなって、思ったわけさ」


「ああ、ありがとうございます!」

 トムさんがペコペコ頭をさげる。

 すると今度は、がたいのよい方が腕を組みながら喋った。

「何か手伝えることない?」

「それなら―――」


 どうやらトムさんはこのロープを一緒に引っ張ってほしいと頼んでいるようだ。


 そして結局、町の方々と一丸(いちがん)となってダウンを持ち上げることにした。





「よーしっ!引っ張りますよー!!!」

 トムさんの声が響く。

 今度は広大な空まで届くくらい響いた。


「「「せーーーーーのっ!!!!!」」」


 ズザァ!


 ズザァ!


「うぉー!重いけど、さっきよりはまし!」

「ひぃぃぃー!」

 それでも女の子方は大変そうだった。



 俺たちは一生懸命に引っ張った。

 体育祭の綱引きの要領(ようりょう)で、上を向いて腰を低くして引っ張ったりしてみた。


 ズザァ!


 やっとダウンが地面の上に見えたときは嬉しかった。

 ダウンは鋭利(えいり)な木の杭に見事に刺さっていた。

 2匹はとくに刺さっていなかったが、第四部隊の人たちが先ほど殺していた。

(ちょっとこれはあまり見世物ではないなー)

 ダウンの(ひとみ)から光彩(こうさい)は見当たらなかった。





「よいしょーーーーー!!!!!」





----------------------------------



 ダウンのお肉は鶏肉(とりにく)のようだった。


 町のおばさんたちとマアカさんは肉をさばいていた。

 どうやらダウンの皮は硬そうに見えるが、包丁で切れるらしい。


 顔は肉がほぼなく、頭蓋骨(ずがいこつ)で固くなっているそうだ。

 どおりで俺とトムさんが石をぶつけてもびくともしないわけだ。


 さばかれたお肉の一部を使って「豚汁」ならぬ、「ダウン汁」を作ってくれた。

 よく見たらこの前泊まった宿泊施設(しせつ)のおばさんがいた。

 (すごいなあ。こうやって来てくれるなんて、なんて優しい方々なのだろうか!)




 お肉からあふれ出すダシはスープの深みへと連れていく。

 大きめに切られたニンジンやジャガイモはしっかり煮込まれており、中央まで(やわ)らかかった。

 そして、肉がうまい!

 じっくりトロトロな肉は舌が喜ばせてくれる。

 少し肌寒くなってきたこの時間に、暖かいスープがでてくることは、

 「感謝」の言葉しか思い浮かばなかった。

 白い湯気(ゆげ)の香りが俺たちを幸せにさせてくれた。


「おいしーーー!」






 「ダウン汁」を食べ終わったあと、親切な町の方が残ったすべての肉を俺たちにくれた。



 トムさんにいっぱい肉を渡すパーマのおばさん。

「い、いいんですか!?」

「ああ、これをとってきたのはあなたたちだからねぇ。私たちはボランティアできただけだからねぇ」

「いえいえ、ほんとに助かりました!」

 またペコペコするトムさん。

「いいっていいって、私たちはこの汁物もらっちゃったから。腐る前にさっさと食べておくんだよ」


 そう言って、

 みなさん

 お帰りになられました。













「ああっ!」

「どうされたのですか、海さん!?そんな声をあげて!」

 マアカさんが(たず)ねた。

「そもそもこの作戦は、狩った肉を売ってお金に変えるためにするものだった!」

「はあ……」

「この肉、お金にしないと!」


「でも、町のみなさんが手伝ってくれたのに、お肉を売るなんてできないよなあ」

 トムさんの言う通りだった。

「え、じゃあ……」


今晩(こんばん)、ここで、バーベキューしましょうか!」

 マアカさんの提案(ていあん)にみんなが賛成した。

 トムさんはガッツポーズをしていた。

 ミーナさんたち守護部の部員たちや第四部隊の猫娘らも大喜びしていた。

 かえでちゃんは食べれるかどうか不安そうな顔をしながら、お腹をさすっていた。


「よーし!今日はバーベキューパーティーだ!!!」

 俺はもう、やけくそになっていた。











--------------------------------------------------------



 一人の少女はある少年に思いを()せていた。


 彼女はパーティーと聞いて、

(これはチャンスじゃないのか)

 と気づいた…………。







海君が死んだら、このお話終わっちゃうでしょ!

バットエンドはあまり好きじゃないからねぇ……。



次回はみんなのアイドル!シーアのお話です!(アイドルかどうかはわからないけど……)


自信をもっておとどけするつもりです!

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