表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラップハンター  作者: 長井 コレチカ
8/22

落とし穴作戦 始動!

毎週土曜日に更新する予定だったのですが、こちらの事情によりできませんでした!


お詫びとして、今回は少し長めです。


こういう習慣ができていないと人間って変わらないんですね……。


と、つぶやいてみる。


トラップハンター始まるゾウさん!



 暖かい。

 日の光がほのかにテントの中を暖めてくれている。


 すがすがしい気分。


 何の抵抗もなく、素直に目が覚めた。


 体を起こす。


 やはり、背骨が痛い。

 特に腰の近く……。


 この固い床はあまり寝るのには不向きである。


 実は昨日寝る前に、

「あぁ!寝袋がない!」


 とトムさんと叫んでいたのだ。


 仕方がなかったため、そのまま寝ることにした。疲れていたため寝つけは早かったが、それでも、体への負担は大きかった。


 動きづらい体を無理やり伸ばして、俺はテントの外に出た。


 テント前にはこの世界に来たときに着ていた服がたたんでそこに置いてあった。


(ああ、マアカさん。服を洗ってくれたんだなぁ。ありがとうございます)


 と感謝しつつ、俺はその服を着た。

 今日の作業でこの服が汚れなければいいのだが……


----------------------------------------


 トムさんは先に起きていた。

 毎日の日課である準備運動(?)は終え、もうすでに落とし穴の作業に入っていた。


(第四部隊がまだ来ていないのに、あんなに早くから……)


 俺は自分がたるんでいると思い、また、トムさんこそリーダーに向いていると思った。


「おはようございます。トムさん!」

「おあぉ。おはよぉ。」

 安定のナイスボイスである。

「第四部隊が来るのは何時ごろですかねぇ」

「まあ、あの子たちを見ると朝は苦手なように見えるが……」

「そうっすよねー……」

「でも、あのぐらい力がないと、この作業は進まないからな」

「そうっすよねぇー……」

「日本ぐらいだよ、こうやって時間に厳しいのは……」

「そうなんすかー……」

「あれだけ規制を緩くしないと、こんな作業なんてやってられないからなあ……」

「そうっすよねー……」

「でも、ほんとにこんなことをしていて帰れるのか……実は俺だって不安なんだよ」


 リーダーらしからぬ言葉だった。

 でもその言葉には共感できた。

 『不安』

 そう、いま俺たちは目の前の土を、第六部隊から借りてきたスコップを使って掘っている。

 いがいと時間がかかる。

 単純(たんじゅん)な作業。

 青い快晴な空の下。

 俺たちは穴を掘っている。


 こんなことやっていても何か役に立つのか。

 本当は一生、元の世界に帰れないのではないのか。

 そう思うと、これは、異世界転移(いせかいてんい)というより、異世界転生(てんせい)と言えなくもない。

 嫌な雰囲気がした




――――――……………だよな」

「はい?」

 トムさんの言葉を聞いていなかった。

「だから、お前にも元の世界で心配してくれている人はいるんだよな」

「あっ、まあ、いると、思いますけど……」


 あまり、考えていなかった。

 自分を心配してくれている人って誰だろう。

 親か、先生か、

 寮の先輩方か、クラスの仲間たちか、

 自分を知っている人か、はたまた、知らないけれどもすごく人に気を(つか)う人か……。


 でも、帰ってきたらどうなるのだろうか……。

 また、あの教室で勉強をさせられるのだろうか……。

 また、先輩から無理やりしごかれるのか……。

 どうせ、頑張ったところで成績は変わらない……。

 親もまた愚痴(ぐち)をこぼすだろう……。

 自分がやりたいことは、あの寮では規制されるに違いない……。

 だいたい、自分は一つのことに長続きしない性格である……。

 また下を見つめながら歩く生活が訪れるだろう……。

 そしてそのことについて相談しても……、

 そんなの「ああ、自分はなんてかわいそうな人間なんだろう」って甘えているだけだと言われるはずだ……。


(そうかぁ……、もしかしたら、ここにいた方が何かと自分にとって好都合なのかも……)



 黙々(もくもく)と作業を行った。




 そうこうしているうちに、かえでちゃんがやってきた。

 実を言うと、かえでちゃんはあまり力にならない。

 いま来たところでのメリットはだいぶ考えて、「健在していること」くらいしかわからない。

 こんなに、か弱い女の子に土木作業をするわけにはいかない。

 昨日みたいにフラフラになったらどうするのか。

 そんなことを思ってしまう。

 説得したいが勇気が無いので、できない。

 自分は無視することしかできない……


(ああ、ああ、参加しなくていいのに!迷惑だからじゃない!かえでちゃんのことを思って(こば)んでいるの!


「……あ、あの…………私…………」

 小さな声で喋るかえでちゃん。

 トムさんがのんきな声で言った。

「かえでちゃん、ちょっと喉乾いたから水もってくれない」

「は、はいっ!」

 かえでちゃんの返事は元気がよかった。


(ああ、さすがだなぁ、トムさんは……。それに比べて自分って……)

 自分は本当に(なさけ)けない人間だった。

 かえでちゃんを困らせ、シーアとは喧嘩する。

 トムさんに頼っているばかりで、よく考えたら自分だって何も力になっていない。

 挙句(あげく)の果てには、「もうこの世界で暮らすままでいい」だなんて思ってしまっている。

 自分が恥ずかしい!


「…………」

「おい、手が止まっているぞ!」

「あ、す、すみません……」

「はは、ちょっと休憩するか。昨日の疲れもまだ取れていないようだしな」


 そういったトムさんは本当に紳士(しんし)であった。


 俺は木陰(こかげ)に休む。

 トムさんが俺の肩を()んでくれていることが、なんか申し訳ない感じがした。

 かえでちゃんがちょうど水の入ったコップを持ってきてくれて、うれしかった。



(ごめんなさい。俺が間違っていた。かえでちゃんは力になれないだなんて、ひどいよな。本当にごめんなさい)

 それを直接、本人に言えない自分がいた。

 俺は無意識にかえでちゃんを見ていた。


「おーい、大丈夫なのか?やっぱりこの暑さにやられたのか?」

 トムさんが心配してくれた。


 そういえば、暑い。夏のようだ。

 元の世界では冬の季節だった。


 だから俺は長そでのシャツを着ていた。

 でも周りをみたら、長そで着ているのは俺だけだった。

 トムさんはタンクトップのインナー。

 かえでちゃんは半そでであり、袖口にはフリフリが付いていた。


「はぁぁぁ………」

 息苦しかった。


「海、お前ここで休んでろ!あとは俺が何とかするから!」

「す、すみません…………」

 俺は、一度横になったらもう体は動けなくなった。

 床からくるじわじわとした熱。

 それがとてもしつこい。


 寝返ってもまだ暑い。

 うなされているだけで精一杯だった。


「おーい」

 と、いう声が聞こえた。

(ああ、第四部隊が来たのか……)

 彼女らは帽子をかぶっていた。

 暑さ対策がちゃんとされていた。


(ああ、)

だんだんと、理解が、出来なく、なる。


何人かこっちに来た……。


辛そうな顔をして俺を見ていた……。


頭の下に何か置かれた。


それはとてもひんやりしていた。


脇や太ももにもなにかひんやりしているものが置かれた。


「ありがとうございます。」と言いたいけど、口が動かない。

喋る気力がないのか……。


そのまま、


気分よく、


寝た…………


…………………………














-----------------------------------------------



 ああ、気分がいい。


 背骨への負担がない。

 これは床がふわふわだからだと思う。


 でも、俺はさっきまで外で寝ていたはず。

 いいかんじのサイズの木の下で……。


 でもなんでこんなにふわふわなのだろうか。


 俺はゆっくり目を開けた。


 薄いクリーム色の壁、水玉模様であった。

 周りを見渡すと、さまざまなぬいぐるみや白いタンスなどがある。

 水色のカーペットや薄いピンク色のカーテンは、

 この部屋の清潔(せいけつ)感を漂わせる。


「ここは…………」


 明らかに()()()()()という感じだった。

 自分の寮の部屋と比べると月とすっぽんに相当する。


 すると、静かにドアが開いた。

「あら、目が覚めました?」

 そこにはマアカさんがいた。

 確かにこの部屋はマアカさんっぽい部屋である。この整理整頓さから見て……。


「俺は一体……」

「第四部隊のみなさんがここに運んでくださったのですよ」

「はあ」

「海さん、熱中症で倒れたそうで、外にいるのはかわいそうだと、トムさんが……」


(トムさんっ!やはりあなたは紳士な人です!)


「あ、そういえば、今日、学校じゃなかった?」

「ええ、今こうして帰ってきたのですよ。学校にいるときに『あなたのおうちに休ませていいかぁ~』って連絡が……」

 マアカさんは静かに笑っていた。

「ご、ごめんなさい。迷惑をかけてしまって……」

「いいですよ。私たちがあなたたちをここに連れてきてしまったのが元々の原因ですし……」

「はあぁ……」

「あ、あの、起きたのなら、少しこの部屋から出てもらうことはできますか?」

「?」


 下をみると、きれいなベット。

(ああ!これ、マアカさんのものじゃっ!)


 マアカさんは服を持っていた。

「あ、あのー……、私ここで、着替えたいのですが…………」

「あ、あぁぁぁ!ごめんなさい!」


 俺はすぐにこの部屋から出て行った。

 心臓がバクバクする。

(で、でも、もし俺が目を覚まさなかったら、マアカさんはどうしたんだろう……)

 変なことを考えだしたので、いかん、いかんと頭を振る。



 数分後、

「すみませーん。着替え終わりましたのでいいですよー」

 マアカさんが部屋からぴょこんと顔を出した。


「い、いや、俺がここに長くいるわけには……あ、そうだ!トムさんっ、トムさんは?」

「トムさんは今も頑張って作業中です。私、そこにお茶を運びたいので一緒にいきませんか?」

「も、もちろん!僕にできることならなんでもしますっ!」

「病み上がりなのですから、あまり無茶はしないようにしてくださいね」


は、はーい、と俺は立ち上がった。

さっき自分を「僕」と言ってしまったが、気にしないことにした。


---------------------------------------------------



「おーい平気か!?」

 トムさんは俺に気づき、手を振ってくれた。

「はーい!何とか!」


「よかった。ちゃんと無事でいて……」

「たくさんの方にお世話になりました……」

「でもよく『マアカちゃん』は断らなかったねぇ」


(た・し・か・に)


「落とし穴はどこまで進みましたか?」

「ああ、実はな、第四部隊のおかげでだいぶ進んだ!もしかしたら、明日で完成しそうだ」

 マアカさんがなんかのリストを見ながら答える。

「一応、ダウンが襲ってくる予想日は3日後ですが、早めに作り終わっても悪くないと思います」

「あにょー……しょのことですがぁー……」

 トムさんの後ろから第四部隊の方が一人(一匹?)来た。

「ん?」

「やひゃり考えて見たのですが、これあと2メートル掘りしゃげたほうがいいとぉ……」

「ど、ど、ど、どうしてだ?」

「ダウンはほぼ、2,3メートルでして、今の3メートルじゃもしかしたら危険だと……」

「ほぉ」

「あと、これはこちらで考えたことなんですがニャー……」

「ん?」

「この落とし穴に(くい)を刺したほうがいいかと……」

「というと?」

「ダウンを落とした勢いで、杭に、グサッっと……」


「「「おーーーー!」」」

 これを聞いた俺たちはすごいアイデアだと思った。

「よし、さっそくやるぞー!」

 トムさんが声を張り上げた!

 第四部隊はこういった土木関係には知識が豊富である。

 とても心強かった。

(そういえば、シーアが見当たらない……どうしたのか?)



--------------------------------------------


 そこからというもの、様々な人に迷惑をかけつつ、作業を続けた。

 特に服や食事には迷惑をかけた。

 食事は、ご近所さんからいろいろ差し入れをもらってまかなえた。

 でも、服は誰かに洗ってもらわなくてはならない。

 最初の方はマアカさんが洗ってくれた。

(マアカさん、ありがとうございます!)


 でも、2回連続は難しかったらしく、作業開始3日目(俺が倒れた次の日)にテントの前に置いていたのはジャージに似た服と、どう見ても女ものの下着だった……。

 このフリフリしたものは胸のところがヨレヨレであり、リボンのついた紐みたいなパンツは俺のあそこがこんにちはしてしまう。

 でも、そのままジャージを着るのは申し訳なくて…………。

 トムさんに相談したところ、なんだかよく分からない布を取り出した。

「これをパンツにしろ」

 と言ってきた。


(仕方がない。はきますかぁぁぁ!!!)


 その日の夕方、マアカさんの赤面した顔は今でも覚えている。まさか自分用と俺用で間違っていたとは……。

(まあ、でも下着は着ていないので安心してください、マアカさん!)


 作業開始4日目、朝テント前にはシーアがいた。

 久しぶりに会った気分だ。

「や、やあ、おはよう」

「……これ、洗っておいたから……」

「え」

 シーアから差し出されたものは、見たことがあるジャージだった。


(え、シーアが持ってきたということは……?)

 よく見たらそのジャージには「シーア・ヨルダータ」と書いてあった。

「ま、まさか、これ、お前の……」

「何!?悪い!?いいから、はい」

 俺はシーアから、シーアのジャージを受け取った。


 着替えてみるといい香りがした。

 アロマの香りって言うのだろうか。


「……ありがとう」

 ちょっと溜めてその言葉を言った。

 ぴくっとシーアが動いたような気がした。

 そして視線を外したかと思うと、すぐさま去っていった。


 このジャージは汚したくなかった。

 でも、土作業だから、しょうがなかった。

 それでも、破れたり、穴が開かないように気を付けた。


 順調に穴が掘られていく。

 第四部隊のおかげだ。

 俺は土を下から上に運ぶ作業をしていた。

(けっこう土っておもいんだな)

 バケツに入った土がこぼれないように慎重(しんちょう)に持ち上げた。



 木の杭が刺されていく。

 第四部隊が作ってくれていたらしい。

 とがった木の先はすこし恐怖を感じた。


 ああ、「狩り」ってこういうことなんだな。




 そうして、時は過ぎていった。


 その日の太陽が沈む直前、

 ついに完成した!


「鮮やかな、時を(きざ)む、夕陽(ゆうひ)かな。」


 だなあんて、すがすがしい気分のなか、しゃれているのかよくわからない言葉をつぶやいてみた。

 そばにいたかえでちゃんが俺を怪しそうに睨んでいた。



「ああ、いよいよ明日か……成功してほしいな。」

 誰しもがそう思っているに違いない。

 かえでちゃんが大きく縦に首を振った。


-----------------------------------------------


 その日の夜は結構冷え込んだ。

 日中は暑いのに夜は寒いなんて、体を壊してしまいそうだ。


 暖かいスープを作って、テントまで持ってきてくれたマアカさんとかえでちゃんには感謝の言葉しか見当たらなかった。

 せめて「おいしい」の一言ぐらい言っておけばよかったと後悔している。

 でも、俺の顔を見て、おいしいと思っていることを感じ取れたのか、マアカさんらは満足そうな笑みをしながら帰って行った。


 テントの中で、第六部隊から借りている毛布にくるまった。

(暖かい)

 わずかに聞こえる自然の音楽はとても心にやすらぎを与えてくれた。


「………………」



----------------------------------------------





 いつの間にか眠っていたらしい。

(今日もシーアとマアカさんは学校か……)

 そう思いつつ、テントの外に出た。

 朝日はまぶしかったが、空気が新鮮で気分がよかった。


「お、今日はいつもの俺の服か。下着も……、うん、間違っていないな」

「おーい海ー!」

 トムさんの声がする。

「はい!」

「早く来い!作戦会議だ!」


(あれ、第四部隊たちがいる。

 そういえば今日は午前中に会議をするって昨日言ってたっけ……)

 眠ってすっかり忘れていた。


 どこからか持ってきた木の机を囲むように、第四部隊たちとトムさんが小さな木の椅子に座っていた。

 第四部隊の猫娘たちは眠そうだった。

 3秒に1回は誰かが目をゴシゴシこすっている。

 やはり、朝は苦手で間違いないようだ。

 目の前に座った第四部隊の中で一番背が低い子は、服装があまり良くなかった。

 というのは、露出(ろしゅつ)が多くて、小さな谷間とすべすべしたきめ細かい肌が見えていたからだ。

(あぶないよ!横から大事なところが見えちゃうよ!)

 でも気にしていることはなかった。周りの人たちも……。

(自分だけか、そんなスケベなことを考えているのは……)

 俺が見つめていることに気づいたのか、その子は俺を見て、首をかしげた。


 今気づいたのだが、このケモ耳はアクセサリーではなくて本当の耳らしい。

 髪をたくし上げた子がいる。

 人間の耳が本来付いているところには何も無かったのだ!

(うわぁぁぁ……)

 ちょっとビックリした。


 俺がここに来たときと同じタイミングでかえでちゃんが、バレないようにあくびをしながらやって来た。

 眠そうなかえでちゃんが隣に座った。

 ここの椅子は狭く結構近くに座ってきた。


(抵抗しないのか!?かえでちゃんは!?)

 いい香りがした。嗅いだことがあるにおいだった。


「さて、みんなにはこうして集まってもらったのだが……」

 トムさんのリーダーシップ能力が発揮される!

「みんなもご存じのとおり、この落とし穴は杭が刺さっており、この上を怪物ダウンが通ることにより穴に落ちて、そのままグサッと刺さる仕組みだ」

 みんながうなずく。

「この落とし穴には最大3匹落とすことができる」

(うん)

「引っかかったダウンが息していないことを確認したあと、四方につながったロープを引っ張る。そうすると杭ごと持ちあがり、ダウンを回収するという仕組みだ」

(ほお、そんな工夫がされていたのか!さすがだ!)


「そこで、相談なのだが、この持ち上げる作業、これをどうするかだ。ダウンは思っているより重いからな、ここにいるみんなが持ち上げることができればいいのだが……」


 俺は口からこぼれたように喋った。

「やっぱり重機をつかうしかないのかな」

「重機って?」

 第四部隊の一人の子が尋ねる。

「あの、あれだよ、大きな車」

「くるまって……あああ、馬にゃ!」

「う、うま!?」


 そういえばこの世界に自動車は見かけない。

 まさかの馬車ですかぁ!?

 よくこんなに設備(せつび)が整えられたなあ……


「でも、ここに馬なんて持ってこれないニャー」

(そうかぁー)


「とりあえず、ダウンが3匹落ちてくれるとは限らないしな、そのときはもう授業は終わっていると思うから、第六部隊に頼んで倒してもらおう」

「そ、そうですね」

 俺は座り直しながら返事をした。


「まっすぐ道にそって走ってくればいいのにニャー……」

「たしかにそうだな。やはりおとりが必要か」


 トムさんはおとりのことについて説明してくれた。

「この崖の下にいて大きな声で叫ぶんだ。ダウンが近づき次第、はしごにのぼって崖の上に避難する」

「はあ」

「どうだ海、やってみたいか」

「え……?」

 みんなが俺を見つめてくる。目をキラキラさせて。どんだけ俺がおとりになるのを楽しみにしているのか……。特にさっきの背の低い子!その子立ち上がってまで見つめてくる。

 どんだけ純粋(じゅんすい)なこころなんだよ。


「は、はいはいわかった、俺がやるよ!」

 歓声(かんせい)があがった。

 やれやれ。


--------------------------------------------




『ウーウーウー!!!』


 ひどくなるサイレン。

 第七部隊と第四部隊は崖の上で待ち構えていた。

 おーい、と大声をだしながら、シーアがやってきた。

 ミーナさんもいる。何人か第六部隊の女性たちもいる。

 この落とし穴計画が気になっているらしい……。

 あとここの出現スポットが気に入ったというわけもあるとおもうが……。


「来た!」

 いち早く気づいたのはかえでちゃんだった。

 みんなキョロキョロ探してたが、すぐに気づき始めた。

「さー来たぞ!」

 トムさん張り切る。

「ねえ、海は?」

 シーアがかえでちゃんに尋ねる。

「……海君は下にいる」

 かえでちゃんが答えた。


 そう、俺は今崖の下にいる。

 いま、まさに、緊張で震えている。

 足が動かない……。


「おーい、大声を上げろ!」

 トムさんが叫ぶ。

 今思うと、崖の上からでも、トムさんのほうが大きな声出せるのに……。

(なんで俺が!)


「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」



(こ、声裏返ったー!恥ずかしー!)


 笑い声が崖の上から聞こえた。

(笑うなー!)



 ダウンがこっちに向かってきた!


 やばい


 やばい


 やばいやばいやばいーーーーーー!!!




「海、もうすぐだ!合図したら崖の上に登れ!」







「あー!あー!」






 声を張る!!!






「あー!あー!」





 ダウンの勢いは止まらない!






「あ゛ーー!!!あ゛ーー!!!」






 喉が痛い!






「あ゛ーー!!!あ゛ーー!!!」





 (すさ)まじい音!何匹だ!?






「あ゛ぁぁぁーーーー!!!あ゛ぁぁぁーーーー!!!」





 え、5匹!?

 だ、だめだ!!!これじゃあ容量オーバーだっ!!!



「あ゛ああああーーー!!!」







「今だ!!!逃げろ!!!!!」






「うわぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」




 はしごにてをかけて、




 登る、




 登る、




 登る、




 登r…


『ボキッ!』



 嫌な音がした。



 その音を聞いた、



 人達は、



 すぐに、



 顔の血相(けっそう)を変えた。




「カ・イィィィーーーー!!!!!」


 シーアが叫ぶ!





 ああ、



 落ちる




 落ちていく…………




 下は、






 容量オーバーしたダウンがいるのだろうか……



 落とし穴作戦が成功したかどうかなんて





 どうでもよくなった……。













































シーアをいつの間にかシイアと書いていた。いつか直そう。

あと、ミーナさんの性格がよくわからない……。

第四部隊の言動も書くのがめんどくさくなった。


今回めっちゃ改行を使いました。

最後のシーンでみんなが

「えぇぇ!どうなっちゃうの!?」

って思ってくれれば幸いです。

「こんな演出の後にしょうもないあとがきで気分がよくない!」

と思った人は、毎週みてくれてありがとうございます!



いつか、トラップハンターの絵を描きたいと思っています。

それができるのは、いつの日やら……。


(追記2019/08/29:シイアをシーアに変更するなど直しました)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ