第六部隊参上!
こんなよる遅くに仕上げるなんて聞いてないぞ!
スートを一瞬にして倒した!一体誰だ!?
トラップハンター第4話始まるぞい!
「ス……スートを一瞬で倒したっていうの?」
マアカが口をぽっかり開けながら言った。
スートはかなり上空を飛行する怪物だ。ダウンのように地面に足をついて動くものなら、壁があればそこから先には進めない。しかし、スートは空を飛ぶので軽々と越えてしまう。恐竜のプテラノドンをイメージするといいだろう。しかし、スートは一回り小さい。
スートが国の領土の中に入ると処置が大変である。上に向かって投げたものが、下に落ちてくる危険がある。それで被害がでてしまったら、その部隊の評価が落ちることには間違いない。
そんな厄介な怪物を倒す勇気、そして一発で仕留める正確さ、まさに誇り高き部隊がそこにいた。こんな部隊を目指したい!マアカは心の中で思ったのであろう。
「す、すげぇ……」俺も驚いていた。
「ねえ、ミーナちゃんだよね!?」
シイアが言った。
「そ、そういうお前はシイア!何ボサっとしているんだ!早くその厄介なものを仕留めろ!」
「仕留めるもなにも私たち、武器がないから……」
「な、なんだって!」
シイアがあまりにも目の前のたくましい女性に馴れ馴れしく話すものだから、俺は疑った。
「なあ、あの人ってお前の知り合いなのか?」
「知り合いもなにも、クラスメイトだよ、同じ学園の」
「はあ」
俺たちが話し合っている間にその弓矢を持った女性たちは崖の下にいるダウンに向かって矢を射る。
「あの子は『ミーナ・ジースン』っていう名前でね、学園の守護クラブの部長なんだよ!」
「へ~」
「あれは、また別の部隊なのか?」トムさんが尋ねる。
「うん。そう。『第六部隊』通称:アーロースレイヤー」
「スレイヤーって人殺しじゃないか」
「誰が言ったのかは知らないわよ!でもかっこいいでしょ、ミーナちゃん」
(確かにかっこいい)
トムさんがマアカが作ったランキングパネルを見た。
「第七位 第六部隊 千二百点」自分たちより一つ順位が上である。
(あんなに強そうなのに!?)
そして、自分たち零点との差が大きいことに、俺はこの第七部隊に呆れてしまう。
そうこうしているうちに、彼女たちはダウンをすべて倒してしまった。
「ったく。こんなものも倒せないのかよ」
ミーナはこっちに向かって歩いてくる。
「ん!?」急にミーナが顔を変えた。
そしてこっちにスタスタと来た。
「うぇ、え?」戸惑う俺。
「なんか雰囲気変わった奴だなー。お前、何か病気を持っているのか?」
(いきなりなにを言うのか!?)
「ああ、海くんね、これでも健康だよ。初めて見る人は少し怪しむけど……」
(シーアも何を言っている!?)
「そちらの方も?」
「うん。そうだよねトムさん」
「あ、ああ」トムさん答える。
と同時に「ひ、ひい!」とミーナがオーバーリアクションをした。
「ど、どうした!?」トムさんが焦る。
「い、いや、ただあまりにも声の低さに、驚いてしまって……。すみません、失礼しました」
なぜそんなに驚くのか俺もトムさんもわからなかった。
「シーアさんっ。お二方にお伝えしておりませんでしたか?あの事を」
マアカがシーアの耳元でこそこそ話す。
「ごめん。多分伝え忘れてたみたい……」
一体どういうことなのか。俺はさっぱり分からなかった。
いつの間にか、ミーナはかえでちゃんのところにいた。
「あれー、こんな小さな子が戦場にー。そんな貧弱なお体では持ちませんよー。私が鍛えてあげましょうかー?」
「ひゃっ、ひゃい!」かえでちゃんが震えていた。
その光景を見て、俺はかえでちゃんのことをかわいい……じゃなかった、可哀想だなあと一瞬思った。
グ~~~
「あのお~すみませ~んミーナ様」シーアがお腹をさすりながらしゃべる。
「なに?また馴れ馴れしく!」
「少しでもいいので……ごはん……おごってくれませんかね~……」
「はあぁ!?」
そういえば、俺もおなかが空いてきた。元の世界では夕食を食べたはずだが、こんなに動いたら、またお腹が空いてきた。汗ばんでいるから、出来ればシャワーも浴びたい。
「っ!仕方ないな~……。今晩だけ、宿舎に泊まらせてあげます!」
「「やったー!」」俺とシイアが一緒に声をあげた。
「ふんっ!感謝しなさい!」
「ミーナ様~!!!」
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町中のやや小さな宿舎にたどり着いた。ここまでくるまでに第六部隊の部員たちが「部長のおかげですからね!」「あなたたち感謝が足りてません!」といっぱい言われた。
中に入ると優しそうなおばさんが出向いて下さり、受付をミーナが済ませてくれた。
「今晩のメニューはシチューです」
(うほぉぉう!うまそぉうだぁ!)心躍る俺。
寝る部屋に入ると二段ベットにシーツがかぶさってあった。部屋割りを決めるとき、シーアがミーナに向かって、「海が!海が!」と俺の名前を連呼していたが、なぜなのかわからなかった。
まあ、結局トムさんと一緒になったのだが。
「バディだ!」トムさんが僕の肩に腕を組んだ。(すごい筋肉……)
晩御飯の前にシャワー室に入って体を洗った。なんか視線を感じたが、振り向いてもそこには誰もいなかったので気にしないことにした。「あそこについているあれ!アクセサリーかな?」「ちょっと不気味よね~」なんていう声が聞こえたような気がしたが……。
(おばけなんてなーいさ)と心の中で歌っていた。
シャワー室は簡素なつくりであったが、汗を流すには十分だった。ただ、シャワーではなくシャワー風のものだったのに少し違和感を抱いた。
全員が体を洗い終わったころ、ちょうどご飯の支度も終わった。みんなが大部屋に集まり、テーブルを囲んだ。
出てきたシチューは見ただけでおいしいことが分かった。
トムさんが「子供の頃が懐かしいなあ」なんて言っていた。
「いぃいっただきまあすぅ!」
俺は勢いよく食べた。この世界の時間的には晩御飯だが、寮の食堂で夕飯を済ませてきた自分にとっては夜食に匹敵する。しかし、躊躇なく食べ進んでいった。
(うう、うまいぃぃぃ!ジャガイモとニンジンがトロトロに溶けていて、ブロッコリーはシチューがよく染みてて……。お、お肉が大きい!そしてこの滑らかなシチューはコンソメが効いていて、生クリームが食材をなめらかにしてくれて……)涙がでてきそうだ。
俺はおかわりを3回もした。
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ベットの部屋に戻ったら急に眠気が襲ってきた。俺の世界での時間だと多分夜更けだと思う。
「しまった!歯ブラシがない!」とトムさんが言っていた。
そんなことをさておいて、
ぼくは、
ベットの、
上で、
すぐに、
バタン、
キューーー……。
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なんかわからんが夜中に目が覚めてしまった。
(トムさんのいびきすごい……)
そろりとベットのはしごを降りて、俺は部屋から出て行った。
(とりあえず、便所行こ)
便所を探して3分、やっと見つけた後、用をたし、自分の部屋に戻ろうとした。
奥の部屋の灯りがついていた。
大部屋に隣接しているロビーのところだ。
多分、ランプの灯りだろう。
俺はそこに行った。
やっぱりランプの灯りだった。
そしてそこには、かえでちゃんがいた。
「ね、眠れないの?」
僕が声をかけた瞬間、かえでちゃんはビクッとした。
そして、すぐに落ち着き、うつむいた。
「……うん」
「こ、こわいのか?」
「……うん」
「寒くない?」
「……大丈夫」
「あ、あの~……ごめんな。なんだか迷惑だったようで……」
「……いえ、気にしてないです」
なぜ敬語で!?と一瞬思った。
「……あの、その、平気なの?こんな世界に勝手に連れられてきて、戦えって……」
「……。」わずかだが、首を振っているように見えた。
「……そ、そう、だよな……。俺も同じだよ……。怖いよ。早く帰りたいよ。でもなんかまだ実感が湧かないっていうのか……、危機感が持てないっていうのか……」
(とりあえず、宿直の人や階長さんが怒っていないのか……)余計なことかもしれないが、こんな状況に限ってそんなことに心配してしまうのだ……。
「……怖い」かえでちゃんがボソッと言った。
(えっ……)少し戸惑った。
「……帰りたい」
(……)
「あ、あの~……やっぱり大事な用事があるからだとか……」どきどきしながら聞いてみた。
「……うん。みやびちゃんと遊ぶ約束してた……」
(みやびちゃんってかえでちゃんの友達かな?)
「……でも、出来なかった。ここに引っ張られた……」
(うっうう……ますます可哀想に思えてきた……)
俺はだんだんと怒りが湧いてきた。多分奴に向けての怒りだろう。
(人の事情も知らないで!自分中心の行動をして!あんなにかわいい姿なのに……!中身はこのザマか……!せっかく出会えた美少女は、こんな人間だったのかあー!)
「……あの、その……。何か俺に手伝えることがあればー……」
「今は特にないです。ありがとうございます」
「あっはい」
そして、俺は「おやすみなさい」と言って去った。
……嘘、ちょっと見えないところで隠れた。
「……」
かえでちゃんが机に伏せていた。
(あぁ、かえでちゃん、泣いているんじゃないのか!もうあの女は~!!!)
シーアがに対する怒りが湧き出てきたころ、いつの間にかかえでちゃんは俺の方を向いていた。
(げっ…っ!)かえでちゃんはこっちを向いたときには泣き止んでいた。
「あの!なんですか!」
「いや、その、……すみません」
「さっさと戻ってください」
「あっはい」
今度こそ本当に戻ることにした。
戻ろうとした。
でも、背中から服を引っ張られていたため、戻れない。
「うぇ…?」
振り返ると、かえでちゃんが後ろにいた。俺のシャツをつまんでいた。
「………………あ、…………ありがと、ございま……す……。」
よく分からなかった。
「……」
「……」
(ちょっとちょっとかえでさんっ!これじゃあ動けないんですけど!
っておいおいおい、どこ連れて行く気なの!そこ別の人の部屋でしょ!)
かえでちゃんががドアを開けるとマアカさんがスースー音を立てながら寝ていた。
俺はできるだけ足音を立てないようにしながら部屋に入った。
そこにあった椅子に座らされ、かえでちゃんが隣で座る。
そして、無言で、机に伏せて、眠り始めた。
なにかのテンプレを感じたのか、俺は、そこに落ちていた上着をかえでちゃんにかけた。
そこから先はよく覚えていない……。
マアカさんの存在を忘れていなければよかったのに……。
「……」を打つのが嫌になった。
あとシチューくれ。
女子の性格まで美化する、よくある少年向けの漫画。現実では違うと察したとたん、怒りだす人がいる。
多分女の子だって人間だから、中身ブスだっている。(言い方失礼)
そんなプレッシャーがあったら女の子が可哀想じゃないか!(お前が与えている)
だいたい、そんな考えの人間が中身ブス!(お前)
……って俺のことやないかーい!!!(せや、お前や。あと海くん。)




