怪物ダウン
不定期になりそうですが、頑張らないといけませんよね……
基本的に1週間に1本を目指しています。
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怪物を倒さなくては帰れない……。その怪物、いったいどんな生き物なのだろうのか……!
海くん気を付けて!
「ス……スート?ダウン???」
俺は何のことだかさっぱり分からなくなっていた。
「そう、私たちサーリ王国を狙う怪物!」
シーアが笑顔でしゃべる。
(怪物が国を狙う?そんなことがあるのか?だいたい、怪物ってなんだよ)
俺はそんなもの見たことがない。だから、本当に実在するのかどうか今でも疑心暗鬼である。
「まあ、そこまで疑うのなら、実際に見た方が早いですね」
マアカが笑顔でしゃべる。
「では、そのスートとやらを見ようじゃないか!」
トムが言う。
「残念ですが、本日はスートは来られません」
「「えぇ!?」」
「本日お越しになる怪物は、ダウンです」
「どっちでもいい、早くそのダウーとやらを見せてくれ」
「ダウンです」
「あ……ああ」
「さあ、みんなこっちだよ!」
シーアが張り切って、公園の奥のほうへ進んだ。
4人はシーアについていく。
俺は子供たちにまじまじと見られたため、少し恥ずかしくなった。
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森か林か、
どっちでもいい。
木で囲まれた、場所。
公園の奥にあった階段を下ると、そこには小規模な崖となっており、崖の下あたりから道ができている。
その道は、森へとつながっているように見える。
(この森から怪物が出てくるというのか!?)
崖の下に頑張れば飛び降りることができそうだが、やめておく。
「えっと~……どこっすかここ?」俺はシーアに聞いてみた。
「どこって、怪物出現スポットだよ」
「はい?」
「この森から怪物たちがやってくるの。そしてこの崖を通って王国に侵入しようとするわけ」
「ははあ……」
「バカな怪物がこの崖の壁面にぶつかって穴をあけてしまうの!ほら、ここ!洞窟みたいになっているでしょ!」
シーアが崖の下を指でさした。そこには確かに洞窟らしきものがあった。
「この穴がたくさんの怪物が何度も突進してできた穴なの。お姉ちゃんが言ってた」
(シーアに姉がいるんだ~。)とどうでもいいことを思いつつ、俺はうなずいた。
マアカが作ったパネルをトムが見ていた。
それを不思議そうにマアカとかえでちゃんが見ていた。
「なあ」トムの口が開いた。
「さっきから気になっているのだが、この文字、なんで「漢字」と「カタカナ」で書いているんだ?」
「えっ?」マアカは目を丸くした。そんなに素っ頓狂なことをトムさんがいったわけではないのに。
俺も確認してみると、確かにそうだった。
そういえばさっき住宅街を通った時もそんな風だった。
「マツモトビル」「スーパー安藤」「ゴ飯ガオイシイ!」「ゴ案内」「ゴ自由ニドウゾ。」
しかし、読めるためか、訝しく思わなかった。
パネルには「サーリ王国ノ護衛隊ニ対スル評価」、「オ問イ合ワセハ……」
……明らかに変であると感じてもおかしくはない。
「そのパネルになにか間違えでも?」
「いや、そうではなく、なぜ『ひらがな』を使わないのかということだ」
「ひ……ひらがな?」
「え!?ひらがな分からないの!?」俺はびっくりしていた。
「すみません……。勉強不足で……。」
「ひらがな!こういうの!知らない!?」
俺は地面に「あ」と書いた。
「「…………」」
シーアとマアカは首をかしげていた。
「「「え~~~!!!」」」
さすがに、かえでちゃんすら声をあげてしまうほどであった。
「あと~、この第9位の第2部隊っていうのは……」トムが再び質問をする。
第9位、つまり最下位。
自分たち第7部隊よりも低い。
「はは、それはね~え、王国に背いたからだって言われてるんだよ~」
シーアが高らかに声を張り上げて言う。すこしうざく感じた。
「でも、実際は今第1位の第1部隊が仕掛けたとも、噂されているんだけどね~」
「第1部隊」という言葉にすごく強そうなイメージがした。
「まあ、第1部隊は1000人を超す企業みたいなもんだから。ほとんど上位にいる部隊はそのくらいの人数だね」
(……えっ)
「えっ、それじゃあ俺たち、なおさら2位以上になる可能性が少なくなったじゃん!」
「あ、でも3人で第2位になった部隊もあるよ。ひとりひとりが強いんだね」
「おい、俺たちそんなに強いか!?」(トムさんを除いて)
「これからだよ。これから成長するんだよ」
(な~に言ってんだか)呆れた俺。心の片隅で、焦りを感じた。
「さあ、来ますわよ」
マアカが森へと続く道を指す。
すると、ウ~ンウ~ンウ~ンウ~ンとサイレンが鳴った。
「来た来たぁ!」シーアが叫ぶ。
確かに何か来てるような気がした。
(あれが怪物ダウー……ん?ダン?…………名前忘れた。まあいいっか)
「あれがそうか……」トムが言う。
トムは冷静な態度だった。
ドカドカと音が鳴る。
怖くなったのか、かえでちゃんはマアカのそばに寄る。
「大丈夫ですよ、かえでちゃん。ここは崖になっていてここまで登れません。たぶんですが、ダウンたちはここに道があるから、通ろうとするのです」
マアカが説明する。
(なんか名言みたい。と、すると、あの怪物たちは知能が低いのだな)
よく見たら、怪物は某有名恐竜映画や博覧会で見たことがある「ラプトル」にとても似ている。
「ラプトルじゃん」思わず言葉が出てしまった。
「で、この怪物を今からどうやって倒すのだ?」トムさんが尋ねる。やっぱり冷静だった。
「え!?見るだけだけど」
「「は?」」俺も一緒に言う。
「武器は!?何か攻撃するもの!」
「そんなもんないよ」
「なんでだよ!」
「だってお金ないもん」
「は~!?」
「部隊の維持費は国からもらえるのです」マアカが俺たちの話し合いに割り込む。
「じゃあそのお金を使って……」
「それが、さきほど申したとおり、できないのです。私たち第7部隊はワースト2位です。宿泊代と食事代だけで精一杯なのです」
「あんたたちが増えたせいで宿泊代はパーよ!」
「じゃあ呼ぶなよ!」
「だって、こうでもしないと評価上がらないんだもん」
「じゃあ俺らじゃなくてもよかっただろ!近所や町中で呼びかけを行うとか」
「それは……、少しやったもん……。でも……、だめだったの……。だから……グスン……」
よく見たらシーアは涙を浮かべていた。
俺は少し引いた。そして、自分はどうすればいいのか分からなくなってしまった。
「海さんっ!シーアさんをいじめないでくださいっ!」
「……いや、……あの、わざとじゃないんだってば……」
素直に謝ればいいのだが、それができない。シーアから引くことで精一杯だった。
できない自分が少し情けなく思えた。
シーアは手で涙を拭う。涙が止まらないのだ。
「おい、お前ら!けんかしている場合じゃないぞ!今はあのダウンたちをどうするかが大事だろ!」
トムが悪い空気を切った。(ありがとう!トムさんっ!)
ラプトル……じゃなかった、ダウンはもうすぐそこまで来ていた。
「大丈夫ですよ。ここは壁になっていますから」マアカが周りを落ち着かせる。
「とりあえず、ここまできたら、そこらへんに落ちている石を当てよう」トムさんが提案をする。
みんなはうなずき、怪物が来るのを緊張して待った。
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「今!」
気を取り直したシーアの掛け声とともに、一斉に石を投げつけた。
(といっても男2人だが……)
俺は手ごろな大きさの石を投げた。それでも大変だった。
トムさんは大きな石を見つけて上から落とした。
(さすがトムさん!力持ち!)
それでもあまり効果はないようだった。
せいぜい、トムさんが投げた石に当たった瞬間
「キエェェェー!!!」
みたいな鳴き声をしたぐらいだ。
さすがに、疲れてきた。
怪物たちは崖の下で戯れている。3~4匹くらいだ。
そのとき、
「あ」
かえでちゃんが上空に向かって指をさした。
そこには、プテラノドンらしきものがいた。
マアカの顔色が変わった。
「え、おかしいです……。確か今日はダウンだけだと……」
「そういえば、サイレン3回じゃなく4回だったよ」
シーアがマアカに呼びかける。
「『危険度』が変わったのかしら……」
2人でおしゃべりが始まった。
「おい、どうするんだよ!これじゃあ崖の意味がないじゃん!余裕で侵入されてしまうよ!」
「でも私たちは武器なんかないじゃん!」
「じゃあどうすればいいんだよ!」
「何もできないよ!」
「何だよそれ!」
「何よ!」
俺たちのけんかにトムさんは呆れたらしい。
俺たちは何もすることができない。
こんなに高いところじゃ、石を当ててみようが当たらない。
俺たちは、評価をあげることもできないのだろうか。
みんなしょげているそのとき、
「弓矢構え!」
たくましい女性の声がした。
「放て!!!」
その瞬間、
後ろの方から太陽の光を反射しながら矢が飛んできた。
そして、5本くらい空飛ぶ怪物に突き刺さった。
その怪物は落ちてきた。
何も鳴き声をあげずに……。
「ス……スートを一瞬で倒したの?」
マアカが口をぽっかり開けて、漏らすように喋った。
みんなも同様、口を開けたまま見ているだけであった。
女の子とけんかするのは厄介なことです。
女の子は相手から謝らない限り、許してくれないことが多いです……。
さっさと「ごめんなさい。」の言葉がでるのならいいのですが……。なかなかできませんよね。
悔しいですよね。
女の子に気を使ってほしくないので(男のプライドか?)けんかだけは避けましょう。
女の子に気軽に話せる人ってすごいと思います。




