セウト狩り大会
どうもこのお話は多くの方が見るとは思わないから、エッチ要素をプラスしても、平気そうだ。
物語にはエッチがないとつまらないもんね♪
「うっふ~ん。いや~ん。あっ、あっ、あっ、あっ、トラップハンターが、はあ、はあ、始まっちゃうぅぅ~!!!ううぅ~んっ!!!」
「うおーー…。」
広大な敷地がそこには広がっていた。
芝生の草が風で揺れる。
第四部隊、第六部隊、そして、第七部隊は第五部隊が経営している牧場へやってきた。第五部隊は国のための怪物退治のみならず、家畜仕事も行っている。これをすることで、たとえ国からの資金が少なくても、人数が多くなってしまっても、食費などのお金に関わる問題を解決してくれるそうだ。実際、第五部隊は第一部隊に続けて人数が多く、みなエキスパートな人材である。いずれか第五部隊が評価ランキング一位になるかもしれない。
牧場にはさまざまな動物(豚、馬っぽい動物、やぎっぽい動物)がいる。そしてダウンやスートを改良させて、家畜化させる研究も行っている。今回はその研究成果の一つの、家畜用ダウンを見せてもらった。
見た目はダウンと変わらないが、あのときのように突然暴走したり、壁に向かってぶつかったりなどは一切しないと言っていた。
「こんな怖い顔の動物をよく育てようとするよね…。」シーアがボソッと言った。
「まだこの子には餌をやっていないんだ。どう?やってみる?」飼育員の方がシーアに聞いてみる。恐る恐る挑戦してみることにした。
飼育員は桶を持ってきて、その中には何かミンチにされた物体があった。
「これは、近くにある川で取ってきた魚をすりつぶしたものです。これをあそこの隅に置いてきてくださいね!」と言いながら、シーアに餌が入った桶を渡した。
「ね、ねえ、私一人じゃ怖いから、一緒に行ってくれない?」
「えっ?俺!?」シーアは海を誘った。どうも、シーアは昔から怪物などの大きな動物は苦手であるそうだ。今まで強気にいたのに急に弱々しく見えてきた。
海とシーアは飼育員が指定したところに行った。シーアの足取りが鈍いので、海は背中を押してあげた。イヤイヤだったシーアもその場所に来れた。
「さ、さ、さっさと置いて逃げましょ!」
「さっき行っていたじゃないか。急に突進はしないよって。」
「で、でも~…。」
グダグダ言っているシーアの後ろのほうで、ダウンがのそのそと歩いてきた。
「あ、ほら来たよ!」近くにいたミライさんが声を上げた。
「ギヤァァ!」
「そ、そんなに怖いの!?」
「だって気持ち悪いじゃん!あのダウンだよ!」
「これは家畜用ダウンだよ。おとなしいから安心して。」
まるで虫に驚く女子と同じような反応であった。
「……おぉ!こっちにいたんだ。」
海の後ろ近くに音もなくダウンがいたので、驚いた。
「え、なにが?」海の声がしたので、シーアは海のほうに振り向く。
近くにダウンがいた。
気持ち悪い顔のダウンがいた。
おぞましい声でぼそぼそと鳴いているダウンがいた。
0.5秒くらい思考停止したシーア。
「ギャワワワワァァァーーー!!!」
急に突進したのはダウンではなくシーアであった。
しかし、よく足元を見ていなかったのか、置いていた桶に突っかかり………
ドシーン!
シーアは海に向かって倒れてしまった。中に入っていたすり身は、シーアの服と海の服にべっちょりくっついてしまった。
「いったた…。シーア、大丈夫?」
「う、うん…なんとかだいじょうbヒッ!!!」
急に変な声をしたかと思ったら、シーアの体をダウンがペロペロとなめていた。あの気持ち悪い顔で…。
「……っ!」
奥からトムさんが小走りでやって来た。
「おーい、試合の準備ができたってさ!どう、牧場の見学は楽しんでいる?」
「それが、あまり……。」と言いながら、ミライさんはシーアがいる方向を指差した。
シーアの周りに海と飼育員がいる。
「ちょ、シイア!シーア、しっかりして!」
海が呼んでもなかなか返事しない。
「う、うぅぅ…。」
シーアは青ざめながら唸っていた。
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芝生のところに第五部隊と見られる方たちがいた。アヤメちゃんやアリスちゃんもいる。トムさんが場所まで導いてくれたときには、もう準備が整えられていた。
「あ、第四部隊だ。」
「あっちから第六部隊が来るよ!」
シーアの誘いに乗って、彼女たちはここへやって来た。第六部隊は全員のようであったが、第四部隊に至っては「ヒケさん」とミケの妹たち3人であった。理由としては、地元の要望で工事を行っているため行ける人が少なくなったとのことで…。それでも、4人もミケのために応援してくれると思うと、本当に親切な方であることが、よく分かる。しかし、第四部隊は今回はチームとして出場しないようだ。というのは、今回のルールが発表されたときに決まってしまったことであった。
「みなさん、お集まりいただき、本当にありがとうございます。」
台の上で熱心に演説するアヤメちゃん。
「それでは今回のセウト狩り大会のルールを説明します。
第五部隊と、第四、第六、第七部隊の2チームの試合です。それぞれ5人まで出場できます。
前半後半それぞれ30分ずつ行います。
セウトを制限時間30分以内により多く取った方が勝ちです。
なお、セウトはあくまでも売り物ですので、殺さないようにしましょう。
もし、一匹でも殺してしまった場合はその人は『失格』となります。
前半で失格者がでた場合、その前半はその人がいない状態で続きます。後半から新たに別の方が出場するという形になります。
本日は日が出ていますので、熱中症にならないように、こまめに水分補給をしてください。」
「だってさ、海。」隣にいたシーアが肘で海を押す。
「分かっているよ!」
「それでは、15分後に始めますので、出場メンバーを決めてください!」
マアカさんはシーアの近くにいた。
「ん?なんかシーアさん、魚のような匂いがしますね…。」鼻をクンクンしながらしゃべるマアカさん。
「う、うん…。さっきね…。」
シーアは服を引っ張りながら見ていた。
「それよりシーアさんどうしますか?メンバーは?あなたは一様リーダーですからねっ。」
マアカさんがシーアに聞いた。
「そうだけど………。これってトムさんと第六部隊の人でいいんじゃないの?」
「それじゃあ面白くないですよ!ほら、海さんを出場させるとかはどうです?」
「えっ!?俺ェェェ…。」
「つべこべ言わないでください!」やや大きな声をあげたマアカさん。
「ん?海さんもまた魚の匂いが…。」
「う、さっきのだ…。」海は自分の服が湿っていることを気にかけていた。
「じゃあ、トムさんと海とミケは決定ね。」
後ろのほうで「ニャ!?」という声がした。
「あと二人……。」
「シーアが出ればいいじゃん!」海はシーアに首を動かして言った。
「はあ!?!私が出るわけないじゃん!!私が出たら誰が指揮官を務めるのよ!」
「トムさんがやってくれるんじゃないの?」
「ふんだ!」
シーアは怒って向こう側に行ってしまった。海はなぜシーアが怒ったのかが、分からないでいた。マアカさんはややにやつきながら海を見たが、すぐにシーアの方へと行ってしまった。
その様子を見ていたミーナさん。腕を組みながら、笑っていた。
「痴話げんかって言うのかなぁ。あれは。」
「ミーナ部長、シーアさんがやって来ましたよ。」
隣にいるのはミーナさんと同じ第六部隊の方で、一つ学年が下だそうだ。
「ねえ、ミーナちゃんは出場しない?」
「えっ!?まあ、いいけど…。」
「じゃああと一人は第四部隊から…。」
「シーアさん、第四部隊の方は参加しないそうですよ。」
「えっ!?」
「なんかシート広げて向こうで座っているそうです。」
「ミケちゃんの妹たちは?」
「なんか牧場の見学へ…。」
「え~!!じゃあどうしよう!あとはミライさんかかえでちゃんか…。」
頭を抱えながら困るシーア。
「あ、じゃあこいつでどう?リリーちゃん。」
ミーナさんが隣にいた第六部隊の子の肩に手を置いた。
「えっ私がですか!?」
驚いているそうだ。
「なんだ?嫌なのか?」
「いえ、嫌ではないのですが…。」
「よし、じゃあ決定だ!」
「やったー!ありがとうミーナちゃん!」
「はは、お互い頑張ろう!」
なんだかあのリリーっていう子はソワソワしていた。まるでかえでちゃんやアヤメちゃんのように。
「『リリー・レイク』と言います…。よろしくお願いします…。」
「私はシーア・ヨルダータ、こっちはマアカ・ナトナール。」
「よろしくお願いします。」深々と頭を下げるマアカさん。
「あと、あっちにいるバカは海。スケベだから狙われないように気を付けて。」
「は、はい…。」
「おい!聞こえているんだよ!!!誰がスケベじゃ!」
「こんなに可愛い子を襲うんじゃないよ!」
「そんな酷いことしません!」
ミーナさんが腕を組みながら、また笑う。
「襲われたらシーアが困るもんな。」
「えっ。何か言った?」
「ちょっと、ミーナさんっ!!!」マアカさんは怒っていた。シーアはなぜマアカさんが怒ったのかが、分からないでいた。
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ついに始まりを迎えた!
こちらの出場メンバーは、海、トムさん、ミケ、ミーナさん、そしてリリーちゃん。
対する相手は、アリスちゃん、アヤメちゃん、大人3人だった。
リーダーであるアリスちゃんが出場していたのに気づき、海はシーアに出場しないか誘った。アリスちゃんによると、リーダー自ら出場したほうが、現場の様子が分かるとのことだ。しかし、シーアは出場する気配を見せることなく、首をブンブン横に振っていた。
試合開始! 第五部隊の大人の方が手をあげた瞬間、セウトが解き放たれた。自分たちの箱にセウトをいれることで「狩った」となるそうだ。
そこまで広い会場ではないが、いい景色のなか、たった10人で行うのだから、のびのびと動ける。
「よし、おれが奥から襲うから逃げて来たセウトを4人で捕まえて!」
そう言ってトムさんは奥の方へと行ってしまった。
「ニャ!海君!一匹行ったニャ!!!」
トムさんが追い込み作戦を始める前に、セウトが自分たち箱の方へと向かって行った。
「よーし任せとけ!」
海は自分が怪我しない範囲でセウトに向かって走り出した。
しかし、セウトは海から逃げてしまい、会場のフェンスを乗り越えてしまった。
出場者はこのフェンスから出ることができない。しかも、あれは売り物だから放っておくわけにもいかない。
「ごめーん、シーア!そっちに一匹出ちゃった。」
「もう、何してんのよ。」
シーアは怒りながら、逃げ出したセウトを見つけた。そして捕まえようとした。家畜用のダウンのときはあれほど怖がっていたのに、こんな小さいセウトなら安心していた。難なく取る……つもりだった。
急にセウトがピョーンと跳ね上がったら、「キャー」とシーアはよけてしまった。やっぱり、怖がっていた…!
不運にも、そのセウトはマアカさんの方へ…。マアカさんはシーアほど怖がる体質ではない。問題なのは飛び込んだ場所。マアカさんのスカートの方へ飛び込んでしまった。今日はマアカさんはひらひらのリボン付きのスカートで、なんだか「不思議の国のアリス」のような格好であった。そのスカートへ…セウトが…飛びついて…。
今日はマアカさんはやや桃色の小さいリボン付きのパンツだった。
「キャッ、キャ~~~!!!」
大声を上げたマアカさん!ものすごく恥ずかしがり、顔が真っ赤になってしまった。
「う、うわ、ごめんなさい!」
「み、見ましたの?」マアカさんが赤面で聞いてくる。
「う、えっと……、その…。」
「マアカちゃん!?大丈夫!?見られなかった!?」
シーアがマアカさんの元へ駆け寄る。すると突然シーアが海に指をさして、
「もー!なんて変態海君!ほんと、信じられない!変態スケベ!」
「こ、これは、僕のせいではなく、逃げ出したセウトのせいで…―――」
「いいから、さっさと戻りなさい!あと、さっきのことを記憶から削除しなさい!」
「そんな無茶な…。」
腰に手を当てながらプンプン怒るシーアを見ながら、海はトボトボ定位置に戻って行った。
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「うおおおおお!」
奥の方からトムさんが走って来る!
追い込み作戦は案外うまくいき、続々とセウトがやってくる。ミケちゃんやミーナさんは逃げてきたセウトを華麗に捕まえて、箱の中に入れる。それに対して海とリリーちゃんはなかなか捕まえることができないでいた。
二人がチームの足を引っ張ることに気にしているなか、団体のセウトが逃げてきた。
「おーい!すごいのきたぞ~!」
トムさんが大声を上げながら走っていた。
その団体はなんと、
「リリーちゃん」の方へ向かって行くではないか!?
「しまった!」トムさんが叫ぶ!
リリーちゃんは怖がって何も動けない!
「やめろ~!」とっさにミーナさんが動いた。海もリリーちゃんを庇う形で入った。
ミーナさんはまるで、拳法のような動きをして、バシバシとセウトを倒していった。
(すごい…!)と思っていたとき、
「ごめーん!海!一匹逃がした!」
セウトがミーナさんをよけてこっちに向かってきた!そして大ジャンプをする!
「あ、危ない!」
海はリリーちゃんを右手で押したのち、左手を伸ばした!
ちょうどセウトに左手があたり、セウトは別方向へ逃げてくれた。
「よかった、危うく殺してしまったかと思った。」
と思ったら。
「海、リリー、ごめん。」とミーナさんの声がしたのでそちらへ見たら、なんと、数十匹、芝生の上で倒れておりピクピクしていた。
「はーい、そこ、セウトを倒したので失格でーす!」
「ミ、ミーナさんっ!」
幸い、セウトたちは気絶しているだけで、ちゃんと生きていたのでよかったのだが、数十匹と数が多いため、失格となってしまった。
「もう、ミーナちゃん!」シーアはこのチームが上手くいかないことにうずうずしていた。
「次はシーアが入るんだぞ。」
「分かっているよ!あ、あと海!ちょっとこっち来なさい!」
「何?」
海が行ったら、シーアが突然海の右手を捕まえた。
「今さっきの見てたよ。」
「ああ、どうだった?すごかったでしょ?」
「あんた本当にスケベなのね!」
「はい?」
「さっき、あんたのこの手、どこ触ってた!」
「ど、どこって……。リリーちゃんでしょ。」
「リリーちゃんのどこ?」
「そんなの知らないよ。」
「知らないわけないでしょ!さっきあんたリリーちゃんの胸を触っていたじゃない!!!」
「……………そういえば、なんだか柔らかい感触だったような。ほのかに幸せを感じているような…。」
「それが変態行為っていうのよ!!!」口を大きく開けながら怒るシーア!ちょっとつばが飛んできた。
「うぅぅ……不覚でした。」
「謝りなさい!リリーちゃんに!」
「うっ……。申し訳ございません…。」海はリリーちゃんに頭を下げた。
「い、いえ。助けていただいたのに!」
リリーちゃんは首を振りながら答えた。リリーちゃんが優しい人にしか見えなかった!
「いい?今度こんなことしたら、ビンタ100発だからね。」
「うぅぅぅうぅぅぅ……それは困る。」
「ほら、さっさと行きなさい!足を引っ張るなよ!」
「……は~い。」
しょんぼりしながら海は定位置に走った。
近くの施設の方からかえでちゃんがやってくる。
「マアカさん、バーベキューの道具、用意できました。」
「あら、かえでちゃん、ありがとうございます。じゃあ、一緒に支度しましょう。」
マアカさんはニコニコと接した。
「シーアさん、私、かえでちゃんとバーベキューの支度をしますので、抜けます。」
「えっ!?あ、うん、わかった…。」
マアカさんからは、シーアが一番この試合に熱が入っているように見えた。
「マアカさん、私も手伝います。」
「ヒケさん!いいんですか!?」
「ええ、応援しているだけだと、なんだか申し訳ないですし…。」
「すいません、どうも、気を遣っていただいて…。」
「いいのですよ!」
そして、ヒケさんもバーベキューの支度を手伝ってくれた。
かえでちゃんからは、マアカさんとヒケさんの会話が「近所のおばさん」のように聞こえた。
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前半は、海の変態行為と、リリーちゃんのおどおど、そしてミーナさんの失格(これが一番でかい)により、結構な差が生まれてしまった。シーアにメンバーを変えるべきか話し合ったところ、トムさん、ミケ、海はそのまま、リリーちゃんは可愛いという理由でそのままとなった。
「ミーナが抜けた分、だれが埋めるんだ?また第六部隊から借りてくるか?」
トムさんがシーアに聞く。
「いいえ。私がでます!」
シーアははきはきとした声で話した。
ちょうど近くに来ていたアリスちゃんはそれを聞いていた。
「あ、別に、私、敵チームの情報を聞きにスパイ活動してきたわけではないから。」
「うん。そうなんだ。」
「アリスちゃんはどうやって指示を出しているの?」
シーアは率直な質問をした。
「そうだねえ…。セウトは真っ直ぐ逃げる特徴があるからそれを利用して箱の近くまでおびき寄せているのかな…。あとはそれを捕まえて入れる作業。私はそのおびき寄せることに関して指示をしているんだよ。例えば東側にいるよとか、相手チームの左側あたりに団体のが行ったよとか……。まあ、あの大人の方が私の指示通りに働いてくれるおかげなんだけどね。」
「海はそこができないから!」
「お前は指示してなかっただろ!怒ってばっかいて!」
するとミーナさんが近くによって、海の耳の近くで、
「やきもちやいているんだよ、きっと。」
と言った。
「へ!?やきもc―――」
「ミーナさん!」突然マアカさんが声をあげた。
「びっくりした!マアカちゃん近くにいたんだ。」
「はい、バーベキューの支度が終わったので様子を見に来ました。」
「なんで大声をあげたの?」
シーアのどストレートな質問に答えられなくなるマアカさん。
「さ、さあねえェ………なんででしょうねェェェ……。」
(変なマアカさん。)と海は思った。
そして、いよいよ後半戦が始まった!
「いい、追い込み作戦は上手く行っているけど、取るのが苦手だったから、そこをなんとかして。」
「その『なんとか』を指示してくれよ。」
「うるさい!さっさと動く!」
「も~う。」
海はトボトボと定位置に歩く。
「よ~し、じゃあ団体を狙うからなぁ!覚悟しておけ!」
トムさんがそう言った後、奥のほうへ行ってしまった。海やリリーちゃんには「覚悟」なんてなかった。
「頼りになるのはミケちゃんだからね!」と言いながら、シーアはミケちゃんの肩に手を置く。
(プレッシャー)
トムさんが敵側のほうに行くと小さいがまとまって動いているセウトを発見した。ちょうど同じ獲物を第五部隊の大人が見つけていたが、「そうはさせない。」と根性で走った。そして、「真っ直ぐ逃げる特徴」をもとに、トムさんは、自分たちチームの箱がある方向に向かってセウトの集団を襲った。
「くっ…!」第五部隊の大人は諦め、別のところを探しに行った。すぐ近くに先ほどよりも大きなセウト集団がいた。アリスが、
「2番!その獲物を逃がさないで!1番と3番は周辺の個体で行動しているのをおびき寄せながら、2番のサポートをして!」と叫んだ!
「了解しました!」と言って2番の大人がセウト集団をおびき寄せようとしたが、そこには何もいなかった!急にいなくなったので慌ててあたりにを見渡してみたら、なんと第七部隊チームのほうへセウト集団は向かっていた!しかも周辺のセウトたちも同じ方向へ向かっている!
「リーダー!セウトが、セウトが相手チームの方に!!!」
「分かっている!なんでだ!?」
「アリスさん、なんだかおかしいですよ!」アヤメちゃんが心配する!
「…うう。と、とりあえず追え!追ってこっちにおびき寄せるんだ!私も行く!」
「了解!」
「アヤメはそこにいて!おびき寄せたセウトを捕まえるために!」
「わかりました!!!」
何かがおかしい。いつもは人間が出ればぴょんぴょん跳ねて逃げてしまうのだが、こんな行動をするのは餌やりをするときのみである。
(餌やり……。)
何かアリスちゃんの頭の中で引っかかった。それは先ほど第七部隊のところに行っていたとき……
どこかで嗅いだことのあるにおいがした。
でも、そのときは気のせいであると思っていた。
もしかしたら、第七部隊は餌を隠し持っていたのだろうか…。
もしそうであったら、一枚上手ではあるが、少しずるい発想である。
いや、普通にずるい。反則行為である。うん。
(……ん~。でもあの時持っていた様子は無かったような…。)
アリスちゃんが言った、情報を盗むために来たのではないというのは、半分嘘であった。どんな様子なのか確かめるために行ったのだが、特にこれと行った作戦は無かったため、安心していた。
(油断した!まさかこんなことになるとは!!!)
実は今回の大会を行った理由はアリスちゃんが第五部隊での信頼を築くためでもあった。今まで大人ばかり命令はして、責任だけは自分に投げる行動が許せなかった。そのため、本番でもリーダーであるために、「命令できる」つまり、「リーダーシップがある」人間として、認めてもらうためでもあったのだ!
しかし、こんな様子では、すぐに負けてしまう!
今まであんなに頑張って、やっとつかめたチャンス!
今回だけで変わるわけではないが、一つでも逃したくは無かった。
焦り始める。
汗が出てくる
顔が険しくなる。
不安で押しつぶされそうにもなる。
楽しくやろうなんて思っていた自分が馬鹿らしかった…。
アリスちゃんは走りながら、服をびしょびしょにしながら、叫ぶ!
「うわぁぁぁん!私はリーダーだあああぁぁぁ!!!」
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そんなこととは裏腹に、シーアは海と喧嘩をしていた。
「だから、追い込み作戦でいいの!」
「追い込んだあと!あとどうするのかって聞いているの!」
「捕まえて箱に入れるだけじゃない!!!」
「それが出来ないから聞いているんでしょ!!!そこの作戦を立てろよ!」
「あんたが下手くそなだけでしょ!ミケちゃんをみてごらん!あの子はしっかりできているじゃない!」
「おれができないから、言っているんでしょ!
それが…!」 「私が…!」
「うぅごめん!」 「わあぁ…!」
「………。」 「………。」
「あのなっ!」 「あのねっ!」
それを見ていたミライさん。
「ったくあの二人何しているの!」
「喧嘩するほど仲がいいって言うんじゃないのですか。」
近くで座っていたミーナさんがしゃべる。
「それでも仲良すぎじゃない!?そんな仲良しアピール今する!?」
「そうですよねー。」
すると、トムさんが奥からやってきた。
「ちょ、ちょ、気を付けろ!大群だ!!!」
「「「えぇぇ!?」」」みんなが驚く。
するとなにやらドカドカと音が聞こえた。
よく見たら、大量のセウトがこっちに向かってきていた!もう数え切れないくらいに!!!
「えっ!?ちょ、どういうこと!?」
「と、とにかく逃げないと!!!」
二人は隅のほうへ逃げた!なぜか手をつないで。
「うおっ、べひぃっ!」
トムさんが逃げ遅れて、大群に踏まれていく。
「トムさん!」「デイビット!」
マアカさんとミライさんが同時に叫んだ。
セウトの大群はとどまることを知らない!
「キャーーー!!!」「ニャーーー!!!」
リリーちゃんとミケは必死になって逃げた。
真っ直ぐ走るセウト大群は、第七部隊の箱に向かって突進したが、あまりにも多すぎて、箱にぶつかってきた!しかもフェンスを軽く飛び越えるものもいる!
ちょうどそこにはマアカさんとミライさん、ミーナさんがいた。
「わっわっ!」
「マアカちゃん、あぶない!」
ミライさんがとっさににマアカさんを突き飛ばした。
数十匹のセウトがミライさんに乗りかかった。
「ミ、ミライさん!」
「ミライさーん!」
「い、痛たた…。」
どうやら無事だったそうだ。
マアカさんとミーナさんが心配して近寄る
「ミライさん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、なんとか…。あぁっ!シーアちゃんと海君!」
「えっ!?」
なんと、セウト大群はシーアと海の方へ向かっているではないか!!!
「ギイヤアアアアァァァ!!!!!」
シーアの叫び声が上がる!
セウトの勢いは止まらぬまま、襲いかかってくる!
シーアがフェンスの根本に突っかかり、転んでしまう!
「シ、シーア!」海が叫ぶ!
それでも、セウトがやって来た!!!
(もう、だめだ!!!)
セウトが大ジャンプしてきた!
甲高い鳴き声を上げながら!
「「うわあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」」
「痛っ、引っ張ってる!」
海がシーアの様子をよくみたら、セウトがシーアの服を引っ張っていた。
セウトの大群は海とシーアを囲って、抜け出せないようにしていた。
これでは追い込まれた方はセウトではなく、自分たちであったと思う。
「おい、離せって!」
海が無理やりセウトを取るが、次々とセウトが襲ってはシーアの服をかみつく。
ここでやっと海は気が付く。
「そうか、あの時の餌だ!」
「餌?」
「ああ、あの家畜用ダウンの餌やりのときにシーアが転んで頭から餌をかけたじゃないか!」
「そうだけど。」
「セウトの餌はダウンの餌と同じなんだよ!だからこうして服を―――」
「ちょ、そんなことは分かったからどうすればいいのか教えてよ~!」
う~ん、と一瞬悩んでしまったが、すぐに答えが出てきた。
「あ……。服脱げばいいじゃん。」
「………嫌だ。」
「でもこのままだと怪我しちゃうよ。」
「………そうだけど~。」
「それでも!」
「………う~ん。」
考え込むシーア。
そしてすぐ、こちらを向いて、
「…………本当に見ない?」
と言った。
どうしてこんなことを聞いてきたのかは理解できなかったが、海はうん、と首を縦に振った。
「……じゃあ、あっち向いてて。」
「あ?ああ…。」
海は向こうを向いていた。
後ろでゴソゴソしている。一体今、何をどのように脱いでおり、どういう状況なのか、知りたくなってきた。でも、言われたことを守らないとと思った。
今やっと気づいた。どうしてここまで気付かなかったのだろうか、知りたいくらいだ。「服を脱げ」って女の子にいう言葉ではない。そりゃ、あんなに恥ずかしがるはずだ。でも、だったらやめればいいのに、どうして実行しているのかが、気になった。もしかしたら、自分がシーアに強引に言ってしまったのではないのかと思った。そう思うと、男として、いけないことをしたのではないのかと感じた。そして、すぐに謝りたくなった。
「ご、ごめん!俺のせいで恥ずかしいことを!」
「えっ!?」
ここで、海は失敗してしまう。誤って、シーアの方を向いてしまったのだった。
そこにいたシーアは、ブラジャーのみだった。スカートやシャツ、パンツはもう既にぬいでおり、ブラジャーのフックは外れていた。片方の乳が見えており、ほぼ、裸であった………
「っ!っ!っ!」
すぐに赤くなるシーア。瞬間湯沸かし器というべきか……。いやそんなこと思っている場合じゃない!
「うわわ!ご、ごめんっ!」
「………もう。」
(あれ?)
思っているより怒らなかった。不思議な気分だ。
「って、なんか周りがすごいよ!」
「ヒッ!カ、カイ~!!!」
そのほぼ裸の姿でシーアが抱きついてきたものだから、挙動不審になってしまう!
(おっと、無防備だからって見てはいけない、見てはいけない…。)
非常にまずい。
「ね、ねえ、海も付いているんじゃないの?餌が。」
「え!?ああ、そ、そうだな…。」
「早く脱がないと。」
「え!?う、うん…。」
シーアが赤面しながら話すので、こっちまで恥ずかしくなってきた。
「ね、ねえ、早くぅ~。」
「うぇ、あ、ああ、分かった分かった。」
海は仕方なく服を脱ぎ始めた。あくまでも、仕方なくだ。
「それも。」
「ええ!?」
シーアが海のパンツを指さすため、海はドキドキしながら、恐る恐る脱ぐことに決めた。
海の一物がシーアに見えてしまう!
そのことで凄く凄く恥ずかしくなった。
パンツを脱いだら、もう裸だった。
「ぬ、脱いだけど…わっ!」
シーアの方を見たら(誤って)シーアはブラジャーも外していた。
そして、海の股間の部分をじっくりと見ていた。
ああもう、恥ずかしい!!!
さっさと話題を変えよう!
「こ、これで、セウトは襲ってこないんじゃ……。」
「う、うん……。」
ドキドキ。
と、していたけれど、よくみたら全然セウトたちは引いてくれず、むしろ近づいてきた。
「「えっ!?」」
そして一斉に海とシーアを襲い掛かる!!!
「「い、い、いやあぁぁーーーーー!!!」」
海とシーアはとっさに抱き合った。
二人とも自分がすっぽんぽんであることは忘れていた。
シーアの柔らかい胸やうで、すべすべの肌、そして何より、股と股が軽く接触していることにも、二人とも気づいていなかった。
ズダダダダダ!!!
セウトたちが海とシーアを覆いかぶさるように襲う。
二人とも必死になって抱きついていた…。
「……うっ。終わった?だ、大丈夫、シーア!?」
「……う~ん。怖かった。あ、怪我無い、海!?」
「「あれ?」」
周りを見渡す二人、
そこにはミケ、リリーちゃん、ミライさん、マアカさん、ミーナさん、アリスちゃん、大人3人……。
全員、二人を注目して見ていた。
「い、いや~~ん!!!」
「ば、み、見るな!」
「か、海さん、どうしてこんなときにシーアを襲うと思ったのですか?」
「二人ともラブラブだね~!ヒューヒュー♪」
「……ニャ。」
「……うわあ。」
「あ、あなたたち…。」
「シーアちゃん、どうしてこんな人と…。」
「「「………。」」」
シーアと海はひどく赤面した。
そのときトムさんはセウトにつぶされて、動けないでいた。
「だ、誰か~…。助けてくれえ~…。」
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どうやら襲われている最中、かえでちゃんとヒケさんがやってきて、バーベキューの食べ物をすこし持っていた。セウトの大群はそちらに向かって走ったという。その後、飼育員によって確保されたそうだ。
「まさか海さんがこんなハレンチな人間だったとは…。」
マアカさんが肉と玉ねぎの串刺しを食べながら言った。
「そういえば、勝負は?」
ミーナさんがアリスちゃんに聞いた。
「それがあの箱に入っていたのみんないなくなっていたから、0対0で引き分けになった…。」
「そ、そうだったんだ。」
「まさか餌が入ってくるとは、思いもしなかったよ。流石に餌を持ち込むのは反則~!」
アリスちゃんはフォークで焼いたお肉にタレを付けた。
トムさんはミライさんから怪我したところの治療を受けていた。
「あいたたた…。」
「ちょっとまだ動かないの!」
「しみるんだって、あいたたたっ!」
辛そうな顔をしているトムさん。
「あ、そういえば、海君の着替え終わった?」
「シーアちゃんはさっさとでてきたのに、あいつはなにしているんだ?」
「海君大丈夫かニャ…。」
服がセウトのせいでよれよれになってしまい、直すのにも手間がかかるため、第五部隊から服を借りることにした。シーアはフリフリしたスカートをはいていて、一目見ると、ゴスロリファッションかと思ってしまうほどの服であった。
どうも海が出てくるのが遅い。
みんなが心配する。
「わ、私、見に行きましょうか?」
アヤメちゃんはそう言って、施設の中へと入っていった。
しかし入ろうとしたすぐに、海はでてきた。
「わっ!」アヤメちゃんがびっくりする。無理もない。
着替えようとして第五部隊の方から渡された服はどう見てもワンピースだった。
しかも、「男」というのがいまいち分かっていない方であったため、なんと胸パット付きのインナーを出してきた。
それで今まさに、こんな格好をされているのである。
「ブハッ!ちょ、カイっ!何その格好!ヒィー!!!おかしいぃぃぃ!!!」
シーアが笑い転がった。
「か、海さん……。やっぱり、あなたは、変態、でしたか…。」
マアカさんが引きながらしゃべる。みんなも海の格好を見て、引いている。
「だ、だからーーー………―――――――――
俺は「変態」なんかじゃなーーーーーーーーーい!!!
」
数日間、海の「変態」という印象は薄れることは無かった。
冷静になって考えてみると、別に服を脱がなくてもいいと思いました。
あとしっかり男のことを第五部隊に教えてあげればそんな服は出さなかったかと思います。しかもたとえ女しか見たことなくても、ボーイッシュというカテゴリーはあるはずです。なんでわからなかったのでしょうか………。
豚も鶏も、一部の牛もいま皆さんが食べているお肉はほとんど品種改良されたものです。植物にいたっては何種類と、品種改良されています。案外身近なものなのですね。大昔からこの技術はありました。(弥生時代にはもうあったとか!?)
品種改良されたものは危ない物質が入っているわけではないので、安心して召し上がってください。(自分が作ったわけではありませんが……。)




