いじめっ子にはアタック!【後編】
今日は間に合ったぞ~!
はあ、はあ、俺は生きる!
はあ、はあ、はあ
疲れた~
「私は、トラップハンターが始めることを、ここで、宣言しまーーーーーーーーーーーすっ!」
「で?とりあえずどうすんの???」
「え?」
木の椅子に座りながら海ら第七部隊は話をしている。
テーブルの上には、さきほどマアカさんが作ってくれた炒め物がおいてある。怪物ダウンの肉をいい感じに加工するとここまで柔らかくなるのかと思う。白菜やニンジンはトロトロで、コンソメで味付けされている。
海はその料理に感無量になりながら、食事をしたい。
「ねえ、聞いてる?」
横からシイアが話しかけてくる。
「うぉ、聞いているよ。うん。」
「じゃあ、どうすんの?」
「何が?」
「アヤメちゃんを助けるでしょ。」
「ブフォアッ!そうだった。」
料理に夢中で考える内容を忘れていた!
「こらっ!汚い!」
先にマアカさんのおいしい料理を食べてから、海たちは考えることにした。
「いじめられたらすぐに助けられる体制を整えるとか?」
「どうやって!?」
「……えっと、そばにいる……とか?」
「無茶言わないで。」
海とシイアの話に、洗い物を終えたと思われるマアカさんが割り込んできた。
「それに第五部隊が黙っていないと思います。」
「うっ……たしかに。」
海は両手を首の後ろにかけながら、
「え~これじゃあ助けられないよ~。」と言った。
「だから先生たちも手を焼けるのよ。」シイアが言った。
「学校はお金を第五部隊から貰っていますからね…。学校も手を貸さないとなると、なかなか難しいですよ。」マアカさんも言った。
「どうしてそこまでするのかなぁ。」
「それな。」
諦めムードが漂い始めたとき、海が手をポンッと叩いた。
「だったらそれを聞けばいいじゃないか!ほら、第五部隊のリーダーって同じクラスなんだろ!?」
「アリス・コンシューマーさんにですか……。」心配そうな顔をするマアカさん。
「確かに、私たちにできることはそれくらいかもね。」
シイアが賛同してくれた。
「よ~し!そうと決まれば明日から決行だ!!!」
「おーっ!」「お、おー…!」
「マアカちゃ~ん。早く戻って!」流しのほうからミライさんの声がした。
「あっ、そうでした!まだ洗い物残っていました!」マアカは急いで流しの方へ向かう
(てっきり洗い物終わったから話に加わったのかと思った…。)
「海さん、トムさんとさっさと銭湯に行ってください。明日頑張るのでしょう。」
「あ、うん。そうする。」
海は銭湯に行く準備を始めた。今までは井戸の水やら川の水やらで、心頭滅却と唱えながら体を洗っていたが、話し合いの結果、最近は銭湯に通うことにした。しかし、当然「男湯」などないため、貸し切りという形で使わせてもらっている。そんなこんなで出費は大きくなってしっまい。いつもマアカさんは、「今月はきっと赤字ですわ…。」と嘆いている。申し訳ない!マアカさん!
トムさんと銭湯から帰って来たあと、海はすぐに眠ることにした。テントのなかでミケちゃんが構えているのではないかと心配しつつ、テントの中に入った。けれど、そこには誰もいなかった。後に聞いたところによると、その日はミライさんがミケちゃんを縛って、そばから離れないようにしていたとか……ミライさん恐るべし…。
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まず、海は学校の子に話を聞いてみることにした。
「ああ、アリスね。いや、アリス様って呼ばないといけないのかなあ?」
「おとなしい子というより………コミュ障的な感じ!」
「あ、ありがとう、参考になったよ。」
(いつものギャル二人組から話を聞いてみたが、酷い言われようだな…)
お昼休みには、今日アリスちゃんは学校に来ているという情報を手に入れた。自分専用トイレの近くにある中庭でお弁当を食べていた子に、緊張しつつも聞いてみた。
(たしか、あの子も2-Bだよな…。)
2-Bというのは同じ高校2年生のBクラスということだ。シイアもミーナさんもこのクラスであり、アリスちゃんも2-Bである。
「す、す、すみません!ちょっとお伺いしても、よ、よろ、よろしゅうございますでしょうか…。」
あまりにも緊張して変な感じになってしまった!肩が上がってしまっている!目の前の子はポカーンとなっていた。
「あ、確か、転校生の、男?」
「あ、はい、そうです!速本 海です!」
「で、私になにか用でも…?」
「え、は、はい!その………アリス・コンシューマーさんを、どこかで見かけませんでしたか?」
「え?ああ、さっきあそこですれ違ったような……。」
「本当ですか!?ありがとうございます!失礼します!」
そう言って、海は逃げるようにあそこに行った。
「なんだったんだろう。さっきの子…。」
(確かアリスちゃんは長い金髪で、背がかえでちゃんくらい低いと……)
「あ、あの子かな?」
走った先にアリスちゃんらしき人、発見!
「あ、あの~~~!!!!!」
そう叫びながら海はアリスちゃんらしき人の肩に手をかける。
「…え?」目の前の子は振り返った
「はあ、はあ、はあ、はあ、アリ、アリスさんでしょうか、はあ、はあ。」
目の前の子は急に嫌悪感あふれる顔になり、やがて目が潤みだして、
「ち、ち、違いますぅ……。」ものすごく怯えていた。
海はバッと手を離し、
「す、すみませ~ん!」と言いながら、また逃げるように走った。
(か~っ!人違いしたー!しかもよく見たら中等部の制服だったー!俺のバカ!バカ!バカな俺!)
授業開始5分前のチャイムが鳴るまで粘ったが、結局見つからなかった。
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放課後、シイアに聞いてみた。
「え?アリスさんなら教室にいたよ。」
(ズコー!俺の努力は一体…。)
「で?どうだった?話した?」
「したかったけど、友達に呼び止められて機会が無かった。」
「そうか~…。で?今は?今はどこに?」
「アリスさん、授業終わるとすぐ帰っちゃうから…。」
「そ、そんな~…。」俺はなんだかわからないが膝から崩れ落ちた。
「キャッ、当然スカートの中、覗こうとしないでよ!」
シイアがスカートを抑えた。
「ご、ごめん!…………あれ?かえでちゃんだ。」
シイアの後ろに続く廊下の奥からかえでちゃんがこっちに来た。
かえでちゃんのスカートの中が見えそうで気が気でなかった。
「どうしたの?かえでちゃん?」
かえでちゃんは息を切らしながら答えた。
「ぜえ、さ、さっき、アリス先輩が、橋の向こうから、学園の方へ、向かって、きたから、たぶん、忘れ物を、取りに来たかと、ぜえ、ぜえ……。」
「忘れ物?」
すると、自分の後ろの方から気配がした。
「ア、アリスさん……。」
海が振り向くと、そこには確かに、金髪ロリータ美少女がいた。(あと、ツン目。)
「あ、あんのぉ……。」気持ち悪い声で海は話しかける。
「……何?」
アリスちゃんは想像どおりの可愛い声だった。
(いかんいかん、とりみだすな!)
「そのぉ、一つ、相談がありましてぇ……。」
「あんた、確か噂の転校生…。」
「あ、はい!速本 海!17さい!彼女持ち歴はありません!」
「あっそ、それで用って?」
「あ、あのぉ……今一つ、アヤメさんのイジメを解決するしたいのですが……。」
「!」
一瞬、アリスちゃんの顔色が変わったように見えた。
「なんであんたたちがアヤメを助けようとするの。」
「そ、それは、……放っておけないから……とか、なんとか…。」
「ふん、あなたたちはアヤメとは関係ないじゃない。」
「そ、そうかもしれませんが。」
「じゃあ、私行くから。一切関わらないで。アヤメにも。」
「うっ…。」
アリスちゃんは冷たい態度で体育着の袋を持ちながら帰ってしまった。
「………。」
「ごめん、実は私もアリスさんとあまり話をしたことなくて。」
「ああ、俺、これだから、彼女できないんだよなぁ。」
「は?」
「ああ、ナンパ師ってやっぱすごいなあ。」
「意味が分からない。」
窓から入る、夕陽の光が廊下をオレンジ色に染める。黄昏の雰囲気を醸し出す。
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海は頑張ったほうだ。
自分で自分をほめるのもいかがわしいと思うが、それでも、一生懸命やって来た。
というのも、あれから2日経ったが、何も進歩しなかったということだ。昼休みになったらすぐに2-Bへ行ったが、もう外に出て行ったと。探しても見当たらない。勇気を振り絞って、近くの子に聞いてみるがみんな知らないという。それどころか、気持ち悪いと思われ、自分の風評が落ちてきてしまっていた。これ以上はやめてと、シイアから言われるのだが、ここまで来たのだから今更、後に引けなくなっていた。
放課後になって、今日も無理かと諦めていた。
ちょうど近くにいた女子のおしゃべりが耳に入った。
「ねえねえ、またやっているよ。あの太った子と細い子。」
「あだ名が『ジャガイモ』と『ごぼう』でしょ。」
「『共有ルーム2』にアヤメちゃんが連れていかれるのを誰か見たんだって。」
「やだね。可哀想に。」
「あ、だめだよ!少しでも助けようとすると『コンシューマー家』が黙っていないよ!」
「えっ同情だけで?」
「噂によると、とある子がアヤメちゃんを助けようとしたんだけど、そのあとまるで差別のように成績が落とされたらしいよ。理不尽な理由で。」
「まじか~…。」
タッタッタッタッ
誰かが走った音が聞こえたので、片方の女子が音がした方に振り向いた。
でも、そこには誰もいなかった。
気のせいかと思いつつ、女子たちは帰宅する。
「えっと、えっと、『共有ルーム2』はどこだ~?」
海は廊下を走っていた。人が特にいないため、怒られることは無い。
「確か、2階に降りて、角を曲がったすぐだっけ…。」
海は角を曲がった。そこはあまり日当たりが悪く、まだ太陽は落ちていないが、そこだけ夜のように真っ暗だった。でも、「共有ルーム2」の文字は見えた。
「あった。よしっ!」
海はこの走った勢いでドアを開けた。
「いじめはよせ!!!」
その部屋はカーテンの隙間から入る光しかないため、だいぶ暗かった。
そして、太った子、やせ細い子、無理やり脱がされたのか、下着姿のアヤメちゃんがいた。
「あん?誰やおめぇ?」太った子がアヤメちゃんの胸倉(?)(ブラジャーの紐)をつかみながらこっちを向いた。
「なんで?なんで海さんがここに!?」アヤメちゃんは涙を浮かべながらこっちを向いていた。
「お、お、俺さまは正義のミカタ!アヤメちゃんを助けに来た。」
「は?そんなことして第五部隊が黙っていないよ!」
「いいからその手を離しなさい!」
「嫌だ。」
「ならば、強制的に行うまで!や~~~~~!!!!!!!!!!」
海は太った子の腕のほうへ飛び込んだ。
……しかし、いままでろくにスポーツをやってこなかったため、あっけなく捕まってしまった。どう見ても、太った子の方が力持ちだってことは明確だった。海は教室の建物フレームに縄で縛られてしまった。手足は結束バンドで固定されている。そして、無理やり、布を口の中に入れさせられた。多分だが、これはアヤメちゃんのブラジャーとパンツ、まだ使っていないナプキンである。先ほどアヤメちゃんが下着をはさみで切られているのを見た。タオルで口を縛られて、まったくしゃべれなくなってしまった!息がしづらくて苦しい!
「ふん、正義のヒーローかなんだか知らないけど、しょぼい奴だったな。」
ごぼうが見下しながらしゃべる。
「お前の目の前でお前の好きな子が怪我するところを見せてやる!」
(…やめろ!)
「ふん、堪忍するんだな。」
アヤメちゃんは逃げたいがこの格好では逃げれない…。しかも、逃げてもまた誰かに迷惑かけるだけだと思ってしまっているようだ。
(…やめろ!)
「ギエェェェー!」
激しい声で太いうでがアヤメちゃんの顔に向かう!
一瞬、目をつむったアヤメちゃんは、あっけなく飛ばされた。
すぐに殴られたところが腫れてしまっていた。
そして、ジャガイモが「ん。」と手を出したので、ごぼうが何やらバックから取り出した。
カッターナイフだ!
ジャガイモに渡すと、すぐにアヤメちゃんにタックルする!
壁に打たれるアヤメちゃん…
ジャガイモの肘がちょうどみぞうちに入ったのか、険しい顔になるアヤメちゃん…
倒れたところにすかさず、刃物が向かう。
(やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ)
カッターナイフはアヤメちゃんの下腹部へ!
横から入る!!!
(やめろぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!!!!!!!!!)
バァァァー!
急にカーテンが開いた!光が部屋の中に入ってくる。まぶしい!
いきなりのことで、ジャガイモは驚いた。
カッターナイフはまだ切っていなかった。
「だ、誰だあああぁ!」
「正義のミカタよ!」
ドアのほうから声がした!
その声は助けを差し伸べる女神さまのようだった。
「シ、シイアァ…。」海はすこし泣いてしまった。
「アヤメをいじめていたのはお前か!」
「いじめるのはよくないニャ!!!」
今度は窓のほうから声がした!
「ミ、ミーナさん!ミケちゃんまで!」
(ミーナちゃんとミケちゃんは呼び捨てしないんだよなぁ。)シイアがこころの中で思う。
ミーナさんとミケちゃんはそれぞれジャガイモとごぼうを抑え込んだ。
ミケちゃんに至っては形を取っていた。
「いて、いてて。」
シイアは海のところに行って、縄をほどいてくれた。
タオルを外したら喋れるようになった。
「ありがとう!シイア!」
「あん?これは…。あ!これアヤメちゃんのものでしょ!ってあんたアヤメちゃんを見ていたの!?」
「え、あ、うん。」
バシッ(一発ビンタ)
「いっ痛え!何するんだよ!」
「あんたの変態行為の分。あと、………アヤメちゃんに関わりすぎた分。」
「へ?」
「さ、早く逃げていきましょ!」シイアは立ち上がってアヤメちゃんを抱えて出ようとした。
「やっぱり助けるのね。」
「え?」
部屋の出入口付近になんと「アリスちゃん」がいた。
「あんたたち、ただでは済まさないわよ。」
「またそうやって!やっぱりあんたがいじめの黒幕だったのね。なんでアヤメちゃんに酷いことをするの!」
「あんたには関係ない!」
「関係あるもん!ここまでしたら!」
「ふんっ…………悔しかったのよ。」
「え?」
「もともとこうやってイジメるつもりはなかった。そもそもイジメられていたのは私。」
「じゃあなぜ!」
「誰も私を助けてくれなかった!
私は人からたくさん嫌なことされた。靴を隠されたり、悪口言われたり……。
アヤメだけだった。私のそばにいてくれたのは…。
アヤメはクラスの友達いっぱい作っていた。
でも、私は一人もいなかった。
ある日からアヤメがいじめの対象になって……私、助けようとしたの。
その時、気づいた。
みんなアヤメを助けようとしていることに…。
私の時は誰も助けてくれなかったのに、
アヤメになったらみんな態度を変えて!
私それが許せなかった!
アヤメばっかりいい子になる、この学校が嫌いだった。
アヤメだって誰かが助けてくれるって、心の隅には思っていたのでしょう!」
アヤメちゃんは何も答えられない…
「アヤメばかりずるい。だからアヤメを―――」
「自分と同じ目に合わせたかったのでしょ。」シイアは強気だった。
「そうやって、アヤメをいじめていたんだ…。そんな考えは悪者と変わらない。悪いのはあなた。」
「悪いのはあなたたちなのよ!あなたたちがアヤメばっかりひいきするからっ!」
「……私だって実はあなたを助けたかった。でも先生に止められて―――」
「そんなの屁理屈よ!!!」アリスちゃんも強気だった。
「いまこうしてアヤメちゃんをイジメることで、みんなからのあんたの評価は劇的に落ちている!自分で自分を苦しめているのよ!その考えがおかしいの!」
「じゃあなんでいまあなたたちは動いたの!私のときはこんなことしなかったのに!」
「それは…………………。」
(ああ、シイアが返答できなくなっている!)
「ふん、やっぱりそういうことだったのね!」
しかし、シイアは首を横に振り、
「今回は海のせい。」と言った。
「え!?俺!?」
「あなたはアヤメちゃんがそばにいてくれた。周りを気になる必要なんてなかった。」
「アヤメは……アヤメは私をダメにするの!」
「な!?」
「アヤメがお人好しだからって、友達いっぱい作りすぎ!だから、私のそばにいてくれない。」
「えぇ……!?」
アヤメちゃんはだいぶショックを受けてしまっていた。
涙が止まらない…!
「アヤメちゃんはせっかくの仲間なのに、切り離そうとするなんて…。友達作りたいのになぜそうやって友達できないようなことをするの!」
「そんなの………っ!私の勝手じゃないっ!!!」
一歩前に踏み出るアリスちゃん
「やっぱりあなたの勝手だったじゃないっ!!!」
シイアも一歩出る
「何をぉ!」
「あぁ!?」
一歩出る一歩出る一歩出る一歩出る
ついに、手がでてしまった。
「おいおい、よせよ!」ミーナが呼び止める
「シイア!アリスさんまで!」海も呼び止める
「なんだニャ!?」ミケちゃん驚く
「やめてください!本当にやめてください!」アヤメちゃんは泣きじゃくりながら叫ぶ
同時にそれぞれの顔に拳がはいる!
本気だ!
鈍い音がする!
蹴ったり殴ったり!
手加減というものを知らない!!!
「やめてえ!」アヤメちゃん顔を抑える!
「おいっ!やめろっつてんだろおぉぉぉ!」ミーナさんは叫び怒る
「二人とも!冷静になってくれっ!!!!!」
海も懸命に止めようとするが、
二人とも、止めてくれない…
どんどん加速していく!
いつしか先ほどまで綺麗だった二人の顔は、あざや腫れでみすぼらしい顔になっていた。
泣きじゃくるアヤメちゃん
ジャガイモとごぼうは何もできずに突っ立っていた
海もミーナも二人を抑え込もうとするが、これ以上怪我しないで欲しいという気持ちが動くのを止められてしまった。
ああ、酷い。
これは誰のせいでもない。
悪者なんかここにはいない。
なのに、なぜ、
この、きれいな二人は
互いを傷つき合わないといけないのか…………
二人が疲れてきたのか、一度離れたが、すぐに立ち上がり、もう一度組み合おうとした。
そのとき!
「いいかげんにしなさいっ!!!」
その声を聞いてふと、我に戻る二人。
ドアの方には、顔を真っ赤にしながら怒る人がいた。
「レベッカ先生…。」
「どうして、どうして先生がここに!?」
「それは私が呼んだのです。」
先生の後ろからマアカさんがでてきた。
「とりあえず、ここにいる全員。すぐに『指導室』に来なさい!」
先生は指を指しながら言った。
「あなたもです!」
「ウニャ!」
どさくさ紛れて逃げようとしたミケちゃんにも指をさした。
(う、うちっちはここの学校と関係ないニャ~!)
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「あなたたちには酷く、失望しました。」
「す、すみません…。」
海たちは謝った。アリスちゃんだけはふてくされていた。
「アリスさん。あなたはどうしてこんなに、大事なことをしたのですか。」
「ふん、いいじゃないか別に。」
「よくありません!」ドンッ
レベッカ先生が叩いた机の音は良く響いた。
「なんで、私ばっかり酷いことを。」
「酷いことをしたのはあなたのほうです!」
「ふん、そんなに反抗するならこの学園にボランティア金を払わないからな!」
「結構です!そのような口止め料などは!」
マアカさんが補足する。
「レベッカ先生はこのことに気づいて、すぐに校長先生に申し入れしたそうですよ。怒られるのを覚悟で、そんなとき今、このような事件が起きてしまって…。」
「お金で解決しようなんて、人として最低よ!」
(先生とは思えない発言だ…!)
「じゃあ、じゃあ、私は何に助けを求めればいいのよ!またイジメられているのよ!そんな理不尽な言い訳通じると思ったわけ!?私ばっかり、私ばっかり、酷いことされる!それなのに誰も助けてくれないじゃんっ!!!!!!」
「もう、あなたの周りに助けてくれる仲間がいるじゃない。」
「…………………えっ。」
アリスちゃんは周りを見渡した。
ミーナさん、海、ミケちゃん、ジャガイモ、ゴボウ、レベッカ先生
アヤメちゃん
シイア
それに気づいた瞬間、いままで背負わされていた、非常に重い荷物から解放されたような、なにかプツンッと糸が切れたような、そんな感触をした…。
いつの間にか、涙があふれていた。
アリスは膝から崩れるように落ちた。
まるで幼い子供のように
アリスは
泣いた。
「あ、それとシイアさん!あと、ミーナさん、海さん、ジャガイモにゴボウ―――」
(うぇ~!あたし名前覚えられていないだとおぉ~!)
「―――あとー……その子。」
「フニャ…。」
「暴力はいけません。今後、このようなことが起きたら、すぐに停学処分ですよ。」
「す、すみません。」
海は反省した。
「ジャガイモさん、ゴボウさん。」
「うい。」 「ほい。」
「アヤメさんに謝りなさい。」
「うーい。」 「ほーい。」
「ぶったりしてごめんよ。」
「いえ、その…。」
「服をバラバラにしてすみませんでした。」
「えっと、その…。」
アヤメちゃんは急に恥ずかしくなっていた。ミーナさんから貸してもらった服を握りしめながら。
「あと、海さん!」
「は、はい!」
「思い立ったら、すぐ行動は、時には危険な場合もあります。気を付けるように!」
「は、はい!承知しました!」
「そこの猫の子も!」
「うちっちは人間ニャ~!」
「あら、そうだったの。あのね、部外者は学校に勝手に入ってきたらダメなの!」
「ヒャ、ヒャイニャ~!」
こうして、今回の騒ぎは収まった。
海はアヤメちゃん、シイア、アリスちゃんの怪我を心配しながら、帰路についた。
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しかし、レベッカ先生の思いは届かず…。
騒動を起こしたジャガイモとゴボウアリスちゃんにシイアまで、「停学3日の刑」が下された。
海とミーナさん、ミケちゃんまでもはペナルティーとして、朝の6時30分から「掃除の刑」が下された。
アヤメちゃんは体の怪我を治すことに専念するらしい。
噂だが、レベッカ先生はなぜか給料が減らされ、少しいじめを受けていると………。でも、レベッカ先生はそんな状況でもめげずに乗り越えてくれると思う。
(今度苦しくなったら僕たちに相談してください!)
朝5時半起きはものすごくキツイ!
海とミケちゃんはお互いに起こし合いながら、マアカさんが用意してくれた朝ごはんを食べた。
「マアカさんまで迷惑をかけるなんて申し訳ないです…。」
「いいのですよ。」
「うちっちは学校部外者なのにニャ!」
「学校命令だから仕方ない」
「しょんニャ~!」
「あれ、かえでちゃん。早いじゃん。」
「……うん、私もペナルティー受けることにしたの。」
「実は私も。」
「えっ!?マアカさんも!?」
「ええ…。」
「……私、あの時、『共有ルーム2』でアヤメ先輩と海君がいじめられているってシイアちゃんに言ったの…。あの事件に私が関わってしまったから……。」
「あ~そういえばそうだったようニャ~…。」
「一様、私は皆さんに先生を呼んで困らせてしまったので…。青春を謳歌している皆さんにとって、先生という存在は敵ですよね…。」
「そんな、そんなことないよ!」
「そうだニャ!」「そ、そうですっ!」
「そう?……でも、皆さんばっかりじゃ気が気でないので、やっぱりペナルティー活動に参加します!」
「「「マアカさん……。」」」
マアカさんの優しさに、みんな、心を打たれた。
「さ、急いでください!あまり時間ないですよ!」
「そうだった!」
海たちは急いで支度を済ませて、出かけて行った。
朝のやや霧がかかった森は空気がおいしかった。
そして、若干白くなっている町の風景はいつもとは違く、新鮮な気持ちであった。
そして、学校に向かって走っていった。
停学中、シイアはアヤメちゃんとアリスちゃんにお手紙交換しているらしい。
何度かシイアの家に遊びにくるようで……。
(………う~ん。ここまで仲良しになるとは…。想像もつかなかった。)
もしかしたら、シイアには友達を作る能力があるのかもしれない。
今度、学校の友達を紹介してほしい。
(そして、その子と付き合って~、あわよくば、彼女になってくれたりして~!グフフ!)
「…海君、気持ち悪いよ。」
かえでちゃんから叱られた。
「…そういえば、海君、最近金髪の子に会わなかった?…私と同じくらいの背の子。」
「ああ、俺が声をかけたら、泣いてしまったあの子か…。」
「その子、私の同級生なんだけど、聞いたら、アリス先輩の妹だって。」
「…………………そりゃ、人違いしてもしょうがないよ!」
海たちの前方に私立クラシカル学園が見えてきた。
ああ、小説って意外と時間ばかりかかるもの…。
漫画に至ってはこの10倍はかかるはず。
う~ん将来が心配だ。




