(クラシカル学園に)入学しよう!
風邪気味のため、今回短めです。
トラップ~小僧のハンタロー
「ハンタロー」
熱 下痢 喉の痛みに 鼻水~
「はーなみずー」
ゲホーンッ ゲホーンッ
ゲッホ ゲーロゲロゲロゲロー
苦しい ござんーす。
ゲホゲホゲ ホゲー
「明日は忙しいので、今夜は早めに寝てくださいね」
「はい、わざわざありがとうございます」
「いいえ。あ、あと、風か何か分かりませんが、崖を上り下りするための階段が壊れかけていたので、もし用があれば迂回してきてくださいね」
「はい、了解しました」
こんな夜更けにマアカさんの顔を拝めることができるとは、今日は運がいい。
新しい鍋を持ってきてくれたマアカさんの言う通りに、俺は早く寝ることにした。
薄暗いテントの中。
小さく、風の音が聞こえてくる。
俺の布団はいつの間にか、よだれやなにか「カリカリ」したもので汚くなっており、もう「MyBed」になっていた。
そばにはマアカさんが買ってくれたシャツと紺色のスーツ風のズボンがある。
部隊のお金をはたいて買ってくれたものだから大事に扱いたいと思う。
マアカさん、お世話になっております。
タッタッタッ
外から音がした。
(トムさんが何かしているのかな?まあいいか、たぶん風の音だろう)
俺は気にせずに眠った。
そのときに起きていれば、今頃こんなことにはならなかったのに……。
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「ええっ~!?トムさんが消えたぁ!?」
早朝から大声をあげるシーア。
「そうなんだよ。朝起きたらテントの中にはいなくて」
いつも朝起きると必ずトムさんは、体操をしている。しかし今朝はいなかった。天気が悪いわけではなかったので、おかしいと思い、トムさん用(あと物置)のテントの中を覗いてみた。しかし、そこにトムさんの姿は見当たらなかった。ちょうどシーアとマアカさん、それにかえでちゃんがここに来たので、状況を話したのだった。
「あたりは探したのですか?」
マアカさんが俺に困った顔して尋ねてきた。
「探したけど、どこにもいなくて……」
「トムさんのことだから、勝手に行動するなんてことないのにね……」
腰に手を当てながらシーアが言った。かえでちゃんはキョロキョロ首を振っていた。
「とりあえず、私たちは休日ですので、いっしょに探しに行きましょう」
「そうしたいのは山々ですが……」
俺は頭の後ろをかきながら、申し訳なさそうに話した。
「?」
マアカさんが首をかしげる。
「今日は午後から『三者面談』があるんですよ……」
「「あっ」」
マアカさんとシーアがきょとんとした。
崖の上。
そこには、肩までかかった茶色い長髪の女性が立っていた。
ベージュ色のコートのポケットに手を入れながら、
「懐かしいわね。まだあんなところで活動している」
とつぶやいた。
崖の下には赤い髪の女の子、白い髪の女の子、黒でショートな女の子と、とても女とは思えないくらい短い黒髪の子がいた。
(あれは…………男?どうしてここに?)
その4人組は、わあわあ叫んでいた。
男だと思われる子は、手足をバタバタしながら危機的状況であることを体で表現しているようだった。
(仕方ないわね)
そう思いながら、茶髪の女性は崖の下に行こうとした。
「へー。階段ができたんだ」
階段というのは、崖の下にすぐ降りられるように第四部隊が作ってくれたものだった。
簡素なつくりだが、構造上、人が乗るには問題ない。けれど、突貫工事だったせいか、数日もしないうちに壊れかけていた。だが、この女性はそのことを知らなかった。よく見れば分かるのだが、その女性の眼中になかったのだった。
「今まで回り道しないと降りられなかったのに、便利になったわね」
女性は崖の下に降りるため、階段に足を踏み入れた。
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「あーどうすればいいんだ!トムさんがいないと保護者代表をどうすれば!?」
俺は空に向かって叫んでいた。
「し、しーらない!」
シーアは腕を組んでそっぽをむいた。
「ずるいぞ!他人事にするなんて」
「だって本当にそうだもの」
すると、マアカさんがサポートに入ってくれた。
「シーアさん、これは海さんだけの問題ではなく、第七部隊としての問題ですよ」
相変わらず親切なマアカさんだ。
「う、そ、そうかもしれないけど、どうしようもないじゃん」
それに引き換え、シーアは冷たかった。とりえは顔とスタイルだけかよ、と思った。
それでも何も解決しない。時間だけが過ぎていく。
「なにか、なにか代わりの人はいないの?」
「私の母親は出張で当分、家には帰ってこないので……」
「えー私のお母さんなんてダメだよ!どうせ分かっていないもん!」
俺は俯きながらしゃべった。
「うーん、困った……。せっかく学園で青春を送ろうかと思っていたのに」
「ああ!やっぱりモテモテになりたくて!」
「そりゃ、女の子しかいないところに行くだもん!健全な男子はそう思うの!」
自分で何を言っているのか分からなくなったが、流れに身を任せることにした。
「男って気持ち悪い~!」
「……ッ!」
流れに身を任せるんじゃなかった。
「でも、このままではモテモテどころか入学すらできませんよね……」
「そうなんですよね……」
みんなガックシしてしまった。
すると、崖の方から小さいドスッという音が聞こえた。
あまり小さな音だったので、俺は気付かなかった。
「……あ」
音がした方向にかえでちゃんが振り向いた。
「ん?どうしたかえでちゃん?何かいい考えでも?」
「……違う。あれ」
「え?……あれ、誰だろう?」
崖の下に座り込んでいる女性がいた。シーアやマアカさんよりずっと大人の女性だった。
俺はシーアに尋ねた。
「ねえ、あの人だれ?」
「えっと……誰だろう?私の親戚の人?」
すると、マアカさんがいち早く気づいたらしく、
「シ、シーアさんっ!あの方、『ミライさん』ですよ!!!」
「ミ、ミライさん!?」
「それよりも、早く助けましょう!ミライさん、あの階段を使っちゃったんですよ!」
「えぇ!?」
二人はその女性のほうに向かって駆け出した。俺とかえでちゃんも二人の後を追うように走り出した。
(ミライさんってたしかマアカさんが教えてくれた……)
マアカさんたちが近くまで来ると、ミライさんが、
「大きくなったわね、シーア、マアカ」
と言った。
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「もう、あそこ壊れかけていたのなら、ちゃんと看板立ててよね!私が受け身を知っていたから無事ですんだものの……」
ミライさんが腰に手を当てながらぷんすか怒っていた。若干ぶりっ子が入っているようだった。
「ミ、ミライさん!どうして?」
「ちょっとここの近くに用があってね。ついでに立ち寄ろうかと思って」
すると、シーアが勇気を出してはなした。俺にとって、シーアらしくないように見えた。
「あ、あの!お姉ちゃん!サラは!?」
「……ごめんなさいね。私、まったくあの子の居場所、知らないの」
「そ、そうですか……」
シーアはものすごくしょげてしまった。
するとミライさんはシーアの頭に手を乗せて、
「大丈夫よ。あの子はしっかり者だから、ちゃんと元気に過ごしているよ」
と言った。
「そ、そうですよね!」
すると、不意にミライさんは俺の方を向いた。
「ところで、君は?」
突然だったため、俺は緊張して、口をパクパク動かすだけで精一杯だった。
「あなた、『男の子』だよね」
(へ!?)
なぜ知っているのかと、驚いた。
「ミライさん!なんでそのことを!?」
マアカさんも驚いていた。
「フフ、ちょっと私の仕事の関係上から知っているの」
「へ、へえ……」
「あなた、お名前は?」
「は、はやもと かいと申します!」
肩をあげながらしゃべる俺。
「そうなの……。本来この星には『男』は存在しないから、なにかの民族かと思っちゃったわ」
「み、民族ですか……」
「で、この星にどうやってきたの?」
「そ、それは……」
急な質問に答えられなくて、戸惑ってしまった。
シーアの方を向いて助けてアピールをするが、シーアはそっぽを向いて他人事アピールした。
(相変わらず冷たい奴だ!)
「そ、そんなことより、ミライさん!」
マアカさんが手を振りながらしゃべる。ここでもマアカさんに助けてもらった。
「ん?」
「私たち、大変な状況に置かれていまして!助けていただけないでしょうか?」
「わ、私でよければ事情を聞くけど……」
シーア、マアカさん、海は今のピンチな状況を説明した。トムさんというもう一人の男がいてその人が今朝がた行方不明になったこと。
そして、どうか三者面談の保護者役になってほしいということお願いをした。
「ふーん。だいたいの状況は分かったわ。いいわ。保護者役、やってあげる」
「あ、ありがとうございます!ミライさん!」
「任せといて!」
こうして、ミライさんのおかげで三者面談は実行可能となった。俺たちは胸をなでおろした。
その後、ミライさんに今の住んでいる環境のことを教えるとき、俺のテントの中を覗いた。
「あら、結構散らかっているわね……」
ミライさんが俺のテントの中をのぞいた時の第一声の言葉がこれだった。
「す、すみません……」
するとシーアが鼻を抑えながらしゃべってきた。
「海ここくさい、換気してる?」
「……うん、これでも頻繫に」
すると、オエーといいながらシーアは逃げ出すようにテントから出て行った。なんか失礼だ。でも、気持ちはわかるかもしれない。この世界に来たきり、今までつかっていたシャンプーはなく、「せっけん」のみだったのだ。そうなると、どうして女性陣はそこまで臭くないのか気になる。
「あらあら、私たちが買ったマットがこんなに汚れていますよ。後できちんと洗って干しておかないと」
マアカさんは俺の「MyBed」マットを持ち上げながら話した。そして鼻を近づけて匂いを嗅ぎだした。
「海さん、何慌てているのですか?」
「あ、あ、あまり嗅がないで~!」
俺の顔は赤くなった。
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約束の時間になる20分くらい前になった。
「じゃあ、俺たち行くから」
「私たちは町の人にトムさんを見なかったか聞いてみる」
「了解」
俺とミライさんは学園に向かい、シーアたちはトムさんを探しに繫華街のほうに行くことになった。学園までの道のりが分からなかったので、途中までかえでちゃんに案内してもらうことにした。
「かえでちゃん、学園までの案内、お願いしますね」
マアカさんが優しそうな顔で言う。
「わ、……わかりました」
恥ずかしそうに俯きながら、かえでちゃんは返事をした。
俺はマアカさんが用意してくれた白いシャツと紺のズボンを着て、学園へと向かった。
「私、この服装で大丈夫かしら」
ミライさんが自分の服を気にしていた。
「た、たぶん、そのコートがいい感じに大人っぽく見えますよ」
「たぶん?」
そんな会話をしながら歩いた。
住宅街をぬけた先にある橋を渡ってすぐに学園が見えた。
「これが私立クラシカル学園か……」
思っているより大きな学園だった。洋風の建物をモチーフにしているのか、まるでお城、いや、一瞬要塞に見えた。
「え、えーと……ここだっけ?」
「かえでちゃん、事務室の場所分からないの?」
俺たちは学校玄関に「御用ガアル方ハ事務室ニオ越シクダサイ。」と書いてあったため、事務室に向かっている。
「うーゴメン……」
「あはは、いいよいいよ。まだ時間に余裕があるから」
「うん。あ、矢印」
赤い矢印が事務室への道筋を示していた。
「ありがとう、かえでちゃん。もう自分たちで行けるよ」
「うん……頑張って」
「うん」
手を振って、かえでちゃんと別れた。俺はかえでちゃんの仕草と見えそうで見えないヒラヒラの部分を注目しながらボーっとしていた。シーアやマアカと違ってあどけなさがたまらなかった。
「ははーん。初々しいカップルは眩しいねー」
「ミっミライさん……!カっカップルだなんて、そんな!」
「……そんなに嬉しいの?」
俺はニヤニヤしながらくねくねしていたらしく、ミライさんが若干引いていた。
事務の方から話をしてもらい、指定された教室に行くことになった。事務室の方がとある部屋のドアをノックするとハーイ、という若い声が返ってきた。
「三者面談のお方が来られましたー」
「はい、どうぞー」
「し、失礼します」
俺は得体の知れない力で肩があがり、歩くのがギクシャクした。
「どうぞ。こんにちは」
教室にはピンク色の髪を後ろにまとめた、めがねをかけた女性がいた。その方はとても落ち着いた様子だった。
「私の名前は『レベッカ・インプラス』と申します」
「ど、どうも『はやもと かい』です!」
「保護者の『沢田ミライ』です」
「どうぞ、おかけになってください」
「し、失礼します!」
俺とミライさんは椅子に座った。
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教室に、書類に書かれた本人が登場すると、レベッカはほっとした。
(ほら、やっぱり怪しい人ではないじゃない。純粋な子じゃない。このくらいの体格の子だって、このくらいの声の高さの子だってうちの学園にいるんだから、『男』って言っても結局は同じ人間なのよ)
パラパラと書類をめくる。
(苗字がハヤモトで名前がカイね。間違えないようにしないと)
海とミライは気づいていないようだったが、この国の風習は名前・苗字の順番であった。しかし、様々な人種がこの国にはいるため、そこまで問題ではなかった。
(はやもとと、さわだって言ったわよね……。親子じゃないのかしら。よく見たら、あまり似ていないし……)
「あ、あの……」
カイ君が心配そうに見つめてきていたのに気づき、ちょっとびっくりした。
「は、はい!では始めましょうか」
「は、はい」
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「えー、カイ君はどうしてここに入ろうと思ったのですか?」
「え、えーと……」
(どうしよう、『トムさんに入れと言われたから』なんて答えられないし……)
いきなり絶体絶命のピンチ。となりでミライさんが心配そうに見つめる。
「?」
レベッカ先生はキョトンとしていた。
(ええい、振り絞ってでもなんか言わねば!)
「あ、えーっと……ぼ、僕は今、17で、いままで学校に通っていたのですが、お、親の都合で、その、一時期学校に通えなくなって……。それでもやっぱり、勉強しないといけないと、いけないかなーって、思って、その、使命感というのか……」
「あら、そうでしたか。これは余計なことを……」
「い、いえいえとんでもない……」
首をブンブン振る。
「あの、それで、カイ君はこの学園に入ったらどんな生活を過ごしたいですか?」
「え、えーっと……あまり不便なく、……過ごしたいです。はい……」
「そ、そうですよね……」
(なんか気まずい空気になった……)
ミライさんはずーっと何も話さなかった。この子のためだ!と思っているのかどうか。
すると、レベッカ先生はミライさんの方を向いて、
「あ、あのですね、お気づきかもしれませんが、ここの学園には『男』がいなくて、もしかしたら、あまり仲間というか、話し合う友達ができない可能性がありまして……」
「はあ」
気の抜けた返事をミライさんが言った。
「それで、私たちの方もなるべく協力したいのですが、孤立してしまうことがあるかもしれません」
「そうですか」
(……。ミライさん、聞いてる?)
「その、あと、言い方が失礼かもしれませんが、『男』である以上、やはり軽蔑してしまう子が、いるかもしれません……」
「そうですよねー……」
(…………)
静寂のひととき。ミライさんとレベッカ先生がこっちを見てきたので、頭を振り絞ってしゃべることにした。
「ぼ、僕、そんなの我慢できます!」
と前のめりになりながら言った。
「なら、いいのですが……」
レベッカ先生は手のひらを頬にあてて心配そうな顔で見つめてきた。
「あ、あと、学費のことなんですけども……」
(ギクっ!)
俺は心の中で動揺した。
「こ、ここの理事長を務めています、『マリー』が、支援金と言いますか、学費を免除することができましたので、それでよろしいでしょうか」
俺はやや大きな声で
「だ、大丈夫です!!!」
と言った。すぐに思っているより大きな声になってしまったことに後悔する。
「ひゃ、は、はい……」
レベッカ先生は引いていた。
(せんせー!ゴメンなさーい!)
するとミライさんが話し始めた。
「あ、えっと。学費免除の理由についてもう少し詳しくお聞きしたいのですが……」
「そ、それは……すみません、確認不足で……」
「わ、分かりました……」
そう言ってミライさんは、マリーマリー、とブツブツ唱えていた。
(何か引っかかるのだろうか、その名前が……)
「と、とりあえず三者面談はこれで終了とします。入学関係の手続きや教科書などは後日連絡いたしますので、ご住所を再度ご確認してもよろしいでしょうか」
と言って、レベッカ先生は机の上に用紙を置いた。
「は、はい」
俺は、ポケットの中から小さな紙を取り出した。
このことは事前に予想しており、マアカさんの家に届けてもらうことにしていた。
俺はその紙に書いてあった住所を机の上の用紙書いた。マアカさんと同じ住所であることをばれないかひやひやしながら。
「はい、それでは後ほどお会いしましょう」
「あ、ありがとうございました」
(よかった、ばれずに済みそうだ!)
「いえいえ、こちらこそ、どうもありがとうございました」
礼を交わした後、俺とミライさんは足早に去っていった。
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「いや、ミライさんのおかげで怪しまれずに済みました!」
「学費免除ってすごいね!」
「ハハハ、そうですよね!」
「あ、こんど印鑑を用意しないとだめだよ」
「わ、分かりました!」
なんだか暖かかった。理想の母親像ってこんなかんじなのだろうか。
ここでの暮らしに慣れてきた俺だったが、少し、故郷が恋しくなってきた。今でも好きではないが、寮での生活や先輩方、学校の先生、寮食堂で出てくるご飯、そして、家族……。
橋を渡るときに、大きな川の河口部分が見えて、そこに夕日が沈んでいた。
だんだんと、しみじみになってきて、
今まで、好きではなかったけど、
当たり前だったこと、
思い出して、
すると、
泣き虫な俺は、
前が涙ではっきり見えなくなって、
歩く速度がゆっくりになる。
「海君」
ミライさんが俺の肩に手を置く。
「ミライさ……ん」
涙をためている顔を見せるのが恥ずかしくなって、振り向くことができなかった。
「大丈夫、きっと帰れる。信じなさい、みんなを」
「……はい」
「それに、この私が来たからにはすぐに帰られるようになるから」
「……はい、でも」
「でも?」
恥ずかしくて、この世界が気に入りつつあることを言えなかった。
「そっか」
もしかしたら、言わなくても通じたのかもしれない。
「ほーら、べそかいてないで、しゃんとしな!女の子がいる前で!」
「え?」
すると橋の向かい側からシーアとマアカが走ってくるのが見えた。
かえでちゃんも後ろから走ってついてきている。
「ミライさーん!」
マアカさんは手を振りながらやってきた。
「あれあれ、なんで海、泣いているの」
いつの間にかシーアが近くにいた。
(って!?なんで気づかれたの!?言われた通りしゃんとしているのに!?)
恥ずかしさで反応的に、俺はシーアからそっぽを向く。
「ははーん、さては先生にしごかれたでしょー」
「ち、ちがうわー!」
「じゃあなに?」
「そ、それはー……」
なんとなく、お前のせいだー、って言えなかった。
すると、介入するかのようにミライさんが喋りだした。
「それよりもどうだった?トムさんの方は?」
「それが、見かけた人はいなくて……」
続けるように、マアカさんが話した。
「もしかしたら、誘拐されたのかもしれません!」
「ゆ、誘拐!?」
俺はあんぐり口を開けて驚いた。
さみしい空が、いつの間にか、不安な空になっていた。
最近、「トラップハンター」なのにトラップが無い
と思われていないか、心配です。
少しずつですが、「狩り」をしていくので、どうか長い目でお付き合いください……。




