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快晴下の足止め

 その日、天候は快晴そのものだった。第一号海防艦はとある船団護衛の任に就いて居たが、付近を偵察していた伊号潜水艦からの連絡が突然途絶え、本艦はその捜索に当たっていた。

 連絡が途絶えたのは伊号第百七十二潜水艦だ。


 この潜水艦は数時間前に敵貨物船を撃沈したと報告が入ったばかりだった。


「本艦ノ前方約450km先ニテ敵巡洋艦ト接敵セリ。離脱ハ困難ト認ム」


 作戦室宛に届いた電文はさらに続いた。


「敵ノ数ハ旗艦級巡洋艦一隻、他巡洋艦二隻、駆逐艦三隻ノ編成ト認ム」


 実際は米軽巡クリーブランド級一隻と駆逐艦五隻から成る任務部隊だった。この部隊は密かに学園を出航した輸送船団撃滅の任に就いていた。

 その輸送船団は紛れも無く、この第一号海防艦が護衛していた船団。当然、第一号海防艦は引くこと無く、六隻の任務部隊に向かって勇敢に立ち向かって行った。


 僚艦の居ない単艦による迎撃作戦である。


「コレヨリ本艦、敵艦隊ニ向ケ突撃ス」


 第一号海防艦は先ず、主砲による先制射撃を開始するが、飛距離は遠く及ばず放った砲弾は海面に叩きつけられた。

 海防艦の主砲は45口径12cm高角砲が単装2基。


 到底、この程度の装備ではクリーブランドを旗艦とする米任務部隊に太刀打ち出来ないと思われたが……。


「本艦ハ現在、敵艦隊カラノ砲火ヲ浴ビツツアリ。増援ヲ請ウ」


 第一号海防艦は増援が来るまで粘る事を決意した。戦況は6対1。

 相手は第一号海防艦を確実に仕留めようと距離を取る本艦に対して速力を上げ、追撃に入った。と、同時に米任務部隊は別艦隊に向け無線を発信した。


「ワレ、コレヨリ小型船舶ヘノ攻撃ヲ敢行ス」


 13時40分、第一号海防艦への本格的な砲撃が実施された。初弾は米任務部隊旗艦サンタフェから放たれた。サンタフェはクリーブランド級の六番艦である。

 主砲の口径は47口径6インチ砲。射程距離も違えばその破壊力、威力だって違う。


 だが、第一号海防艦は粘り続けた。

 届くはずのない45口径12cm高角砲を撃ちまくり、回避運動のため、ジクザクに航行した。そのため、照準は上手く定まらず今の所、主砲弾は一発も命中していない。


 この時点でようやく、主砲が当てにならないと判断した第一号は機銃による威嚇射撃を開始した。25mmが3連装で2基搭載してある程度。

 だが、それでも足止めには充分であった。


 一方、第一号が護衛していた輸送船団は少しずつ、その戦闘海域から離脱しつつあった。

 第一号からの電波を受信した輸送船団は旗艦香取の判断によってもう一隻の海防艦「第六十一号」を現場海域へ派遣した。


 だが、増援と言えと同じ型の海防艦一隻。

 最前線で足止めをしている第一号は絶望の淵に立たされた。

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