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紅茶が足りていない

 聞いた事もない名前に、私は少し困惑した。ページの表紙にはソレのイラストが添えつけられていた。強大な氷山としか思えない氷の塊に、非常にスベりやすそうな氷の飛行甲板。私はもう一度、目を疑った。


「大きい船ですね。100メートルはありそうです」

「300は軽く超えているよね? それ?」


 艦内の温度は摂氏せっし何度であろうか。絶対に乗りたくもない巨大船ナンバーワンになりそうだ。でも魔法の世界であるこの異世界なら或いは……。


「ねぇ、その空母を計画していた国って何て表示されているの?」

「えーと……「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」とありますね。アイルランド? 聞いた事のない国の名前ですね」


 あの紅茶の国か!


「きっと、これを計画した発案者は紅茶が充分に足りていなかったのよ……」

「紅茶……ですか?」


 キョトンとした表情でこちらを窺うシャール。彼女にはこのネタが伝わらなかったようだ。


「そう言えば先ほどから雲行きが怪しくなって来ましたね。一雨きそうです」


 気づけばさっきまで明るかった空は暑い雲が全体的に覆った。たしかに一雨きそうだ。気づけば時刻も7時前を回っている。そろそろ晩御飯にしようと、本に手を伸ばしかけた時。シャールが再び食いついた。


「凄いですよ! これ、大砲に翼が付いています!」

「……は?」


 確かに、イラストには翼のような物が生えていた。いや、くっついていた。そして私はそのイラストを見て騒音厳禁の図書館内で思わず叫んだ。


「せ……戦車に翼が生えているーーー!?」

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