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進路、北へ

 同時刻、戦艦大和を筆頭にL諸島へ向けて北上していた第二艦隊は台風のコースに直撃し、進路を変更しなければならなかったのだが……。


「艦長! この海域付近に先日逃した英戦艦プリンス・オブ・ウェールズ以下重巡2、駆逐3の艦隊が一路学園目指して南下中との事です!」


 レパルスを失ったZ部隊は編成を改め、再び学園砲撃作戦を強行するつもりらしい。だが、その進路先はどうしてもこの台風とコースが被ってしまう。Z部隊の狙いはこの台風に紛れて海上からの敵地無力化を狙うつもりなのか。はたまた、狙いはこの大和か。


「でもこんな天候じゃあねぇ……」


 駆逐艦は高波を乗り越えるのがやっとでとても戦闘は出来そうにない。そんな中、作戦室から退避するようにと促す電文が大和に届く。


「艦長! 司令部より受信、L諸島より退避せよとの事です!」


 大和の決断は早かった。


「分かったわ、速やかに進路を変更しましょう。全艦、西へ!」

「艦長! 此方電探室、敵影を捕捉ッ! 敵艦載機に発見されました!」

「位置は!?」

「南南東20km手前です!」

「近いじゃない! 何でそんな距離にまで侵入を許したの!?」


 厚く黒い雲に隠れて敵偵察機グラマンF6Fヘルキャットは自軍の空母艦隊に大和の位置を無線で知らせていた。痛恨のミスである。


「左、対空戦闘に入ります! 撃ち方始めッ!」


 秋月型駆逐艦はこの艦隊の中でも新しく荒波を受けても多少は戦闘に支障がなかった。そこで、艦隊に随伴する駆逐艦冬月は自慢の65口径10cm連装高角砲を空に向けた。

 だが、敵はこの厚い雲の中。そうそうに照準を合わせられず主砲を撃つタイミングを逃した。


「敵が雲の中に隠れました! 射撃が出来ません!」

「とりあえず威嚇だけでもするのよ! 居そうだなと思った場所に砲撃!」


 砲口は隠れた先の雲に向けられ固定された瞬間、砲身から火を吹いた。砲声が耳を劈き、次の装填が行われる。


「着弾! しかし以前として戦果は不明!」


 真っ赤な爆発が黒い雲の中で起きた。が、戦果の確認が出来ず冬月はやむなく戦闘態勢を解除した。が……。


「艦長! 敵機の破片を視認! 撃墜した模様!」

「誰の砲撃か分かる?」

「陽炎型駆逐艦その8番艦、雪風の物と断定! 雪風が敵偵察機を撃墜しました!」


 雪風は冬月とほぼ同時に発砲しまぐれではあるが敵機の撃墜に成功した。この砲撃は機銃ではなく主砲による精密射撃だった。


「見つかったわね……」


 大和は敵機の撃墜には満足せず、進路を更に変更し敵機の空襲を回避しようとする。南南東にはプリンス・オブ・ウェールズが存在し西は先ほどの敵機侵入ルートだ。


「全艦、進路を北へ!」

「北!?」

「艦長! 北には……」

「いいから、進路を北に取って!」

「……了解しました!」


 大和が選んだ進路の先にはあの風速300km以上を観測する巨大台風のほぼ中心地。大和以下第二艦隊はこうして台風に向かって突き進んだ。

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