二撃
「砲撃、始めッ!」
挟み撃ちに合った英上陸支援艦隊に追い討ちをかけたのは遠方より救援に入ったのは大日本帝国海軍第五艦隊だった。
旗艦妙高を筆頭とした艦艇十一隻は容赦なく敵艦に砲弾を叩き込み、駆逐艦白雲を始めとした三隻の駆逐艦は本隊から離れて英上陸支援艦隊に差し迫った。
「駆逐艦だ! 駆逐艦が近くに居るぞ!」
「副砲射撃始めッ!」
三隻の駆逐艦に気づいた重巡洋艦ノーフォークは照準も定まらないまま射撃を行い、気がつけばその殆どが海面に落ち命中弾は一つもなかった。
そればかりか、三隻の駆逐艦はその持ち前の速力を生かして英上陸支援艦隊に突っ込んだ。
「雷撃、始めッ!」
駆逐艦白雲から号令がかかり、既に装填されていた魚雷が全て海面に放射される。一本、また一本と海面に潜り込み、合わせて9本の魚雷がノーフォークを含めた英上陸支援艦隊に襲い掛かる。
海面に痕跡はなく、唯一の手がかりは放射時の煙のみだがその煙も視認は難しい。
「撃ったか!?」
「いえ、まだです!」
それは誤った判断だった。
魚雷は静かに艦艇の底へと近づき、衝突。
ぶつかった時の衝撃が引き金となって炸裂し、ノーフォークには3本命中。同重巡シュロップシャーにも2本が炸裂した。
残りの魚雷4本は本隊を掠め、効果はあまり得られなかった。だが、水雷魂は燃える。彼女ら三隻の駆逐艦は戦果に満足する事なく、再び部隊を編成し直し上陸支援艦隊に突撃していった。
「機関損傷! 右舷から沈み始めます!」
「左舷に注水し水平を保て!」
「ダメです! とても間に合わない!」
ノーフォークは火災こそ起こしていないものの、水平を保てず大きく右へ船体が傾いていた。乗員が必死に左舷へ海水を注水し沈没を避けようとしているが最早時間の問題。
命中した船体からは大きな大穴がぽっかりと開き、其処から大量の海水がなだれ込むのだ。
「撃てッ!」
既に沈黙する二隻の重巡に対し、白雲らは再び魚雷を放射。二隻に6本、再装填し本隊に向けて7本放射した後、三隻は戦線を離脱した。
一方、妙高を中心とした三隻の主力部隊も絶え間なく砲弾を叩き込み、既に駆逐艦三隻を沈め、軽巡洋艦一隻を炎上させていた。
「消化作業急げ!」
「クソッ! 何で水バケツしかないんだよ!」
「えぇい! 何をグズグズとしとるか!」
「申し訳ございません!」
妙高らの砲火に晒されながら軽巡洋艦ジャマイカは必死の消化作業を行っていた。
揺れる船体に、浴びせられる砲弾。そこへ引火する容赦のない炎。甲板上は危険地帯と化し、中には消化を諦め海に飛び込む乗員の姿もあった。
「き、貴様ッ! まだ退艦命令は出とらんぞ! 貴様ァ!」
海へ飛び込んだ乗員の足を掴もうとした丁度その時、軽巡ジャマイカの機関から大きな爆発が発生。船体は引き裂かれ、空高くに黒煙が吹き上がった。
そして、二度目の爆発で軽巡ジャマイカは怪物がうごめく異世界の海へ消えて行った。




