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戦艦を求めて

 レパルス撃沈から数日が立った。

 学園内では夜間の雷鳴について問う者は誰一人おらず、寧ろ楽観的な意見が多かった。


 大変だったね、怖かったねなどが主流であり誰もあの夜に戦艦同士の戦いがあったなんて思っておらず、戦いを終えた戦艦大和は学園の近くにある秘密基地でその巨体を休めていた。


 一方、授業中にも関わらず作戦室では山本長官を筆頭に先日逃した英国戦艦プリンス・オブ・ウェールズの後を追っていた。

 逐次偵察機を出し、警備艇を繰り出すが時間が流れるだけで注目すべき報告はこれと言ってなかった。


「第二号駆潜特務艇、接敵せず!」

「第二四八航空隊、同じく接敵せず!」


 私個人の意見としては脅威にならなければ放置していても良いんじゃあないかと思うのだけど、彼ら曰く、放置すれば敵は自由に海域を行き来し次第に我々の脅威になりうる……のだとか。

 一応迎え撃つプランはあるらしく実行に移す際はやはり戦艦大和を前線に出すつもりらしい。


 放課後、私は特にする事もなかったので作戦室に赴いた。

 ドアの前に立つと黒電話の鳴り響き忙しそうな声が漏れていた。邪魔しちゃあ悪いかなと思いつつ私はドアを開ける。


「第十一航空隊、接敵せず!」

「伊三十五潜水艦敵影捕捉できず!」


 机上の上に広々と敷かれた地図には飛行機や舟の積木らしい模型が置かれていて、その近くを少し長めの白い棒で何度も差した。

 右側の大陸が私達の居る学園側、左側の海岸線が敵国であろうカウスレア連邦帝国。


 こちら側の海岸線には青い線が引かれ、青く丸いシールが点在している。これは海岸線に張った防護壁と基地もしくは港を指しているのだろう。


 大きな三角定規を持つ人、指示を出す人、電報を通信機で打つ人。みんな、それぞれの仕事を掛け持って必死にプリンス・オブ・ウェールズの後を追っている。

 だが良く見渡したが山本長官が何処にも居ない。


 長官の席と思われる真ん中の椅子には誰も腰を下ろさず、奥にあるドアも完全に閉めきっている。今の所出入りはない。


「どちら様ですか?」

「あ、あの……シエスカ・エーレットと申しますが……山本長官は欠席でしょうか?」


 奥で編成表のような張り紙を眺めていた一人の軍人さんが私に気づき、声を掛けた。反動で思わず敬語を使い、若干動揺している。

 階級は肩の数から察するに中佐か中将だろうか。海軍の制服と帽子を身に纏った頭の良さそうな軍人さんだった。


「おい、長官は今何処におられるか分かるか?」

「は? はぁ……存じ上げませんが……」

「そうか」


 通りすがりの軍人さんに声を掛けるも手がかりを得られなかったのか、その軍人さんは私に向けて首を横に振った。


「す、すみません。お、お疲れ様です……」


 一言言った後、私はゆっくりとドアを閉めて廊下に出た。

 緊迫感で言葉が詰まった私は気分転換に新しい空気を吸おうと屋上へ向かった。


「あっ……」

「ん……?」


 屋上へ向かう途中、私は不良と呼ばれる人と出会った。

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