タイムリミット
「じゃあ行くよ! 『アップグレード』!」
横に並んで待機しているアパッチ・ロングボウの地面に大きめの魔法陣が展開し、一瞬、アパッチが青く光ったかのように見えた。
「……終わったかな?」
『レベルが上がりました』
「はい?」
『アパッチ1の固体レベルが5上がりました。アパッチ2の固体レベルが5上がりました……』
勝手にログが現れ、同じ言葉が十回ほど表示された。それはいずれもアパッチの固体レベルが5上がった事を示すものだった。そして初めて目にする単語「固体レベル」。もしかして一機、一機レベルが違うのだろうか。これはゲームで言うレベリングが必要になってくるかも知れない。
「うわぁ……バラバラだぁ……」
過去のログを掘り返すとそこには既に今まで召喚してきた兵器一つ一つの詳細な情報が詰まっていた。兵器の項目をタッチすれば更に膨大な情報があり、次のレベルまで必要な経験値の数値も記載されている。此処に来て結構立つがこんなログは初めて目にする。
「あのぉ……シエスカさん」
「ん? どうしたの? ロングちゃん」
「……これって何ですか?」
ロングちゃんが指差した画面にはある兵器の画像がスペックとともに記載しれていた。その兵器の名は「トマホーク巡航ミサイル」。画像とスペックの下にはスペースキーのような形をした枠がありその枠の中には「使用許可」と言う文字がはっきりと出ている。文字は黒で枠の中は濃い黄色。
「ねぇロングちゃん、この「使用許可」ってボタン? を押したなんて事は……」
「……押しちゃったけど……」
「押しちゃったの!?」
同時刻、ミサイル護衛艦「あたご」から例の巡航ミサイルが垂直に打ち上げられた。弾数は一。攻撃目標はこの学園だ。
そして画像の上にはリアルタイムで進む数字の羅列があった。タイムリミットだ。到達するまで、残り8分。
「ミ、ミナミさん。めっちゃ早い物体を撃墜出来る魔法って……」
「そんなの持っているわけないじゃん」
あっさりと切り捨てられた。巡航ミサイルを地上から迎撃すると言うのは意外に難しい。時間は5分ほどしかない上にぶちゃっけ本番。運悪く外れればそのまま弾着もありうる。でも魔法ならば何発でも放てるし攻撃範囲も充分広い。迎撃にはもってこいだ。
「シャール、迎撃魔法って聞いた事ある?」
「……ない……ですけど」
到達まで残り6分。




