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活発ってレベルじゃあない

「人が居るの!? 何で!?」


 そりゃあ学園の外だからと答えたくなるがそのお婆ちゃんは学園の状態を知らないのだろうか。ましてや大きな黒煙が上がっている事にすら気がつかないのだろうか。


『人が居る! 今は撃てない!』


 アパッチ・ロングボウからの無線が逐次更新されるが内容は変わらずただこちらからの指示を求めるのみだ。お婆ちゃんはヘリの騒音が果たして聞こえないのだろうか。


「しばらく待機せよ」

『了解!』


 今はこれぐらいしか対応が出来ない。体育館では激戦が続き、食堂の廊下はボロボロ。男子側の闘技場は未だに煙が上がっていてその上空には見かけない戦闘機が未だに戦闘を続けていた。主に対地支援攻撃である。


 無事なのは此処だけなのだろうか。


「ミナミさん、今各地の様子はどうなっているの?」

「体育館の戦いは激化する一方であっちこっちはボロボロ、校長室に人影はなくそこに全力で向かっている教師が二人。男子側の闘技場は倒れている人が多いってところかな」


 考えていたのと全く同じ回答が返って来た。と言うより武装集団は一体何人で学園に攻め込んできたのだろう。もはや一個師団レベルなのではないだろうか。一個師団が何人かは知らないけど。


「他に被害が及んでいない場所は?」

「北側はとくに煙は上がってないよ!」

「西側もどうようね」


 一緒に逃げてきた観測班から変化なしとの情報が入った。やはり荒れているのは南側と東側だろうか。とにかくこの学園は無駄に広い。把握するだけでも精一杯だ。


「うん……作戦を変更するわ。ロングちゃん、一先ず展開している部隊を一箇所に集結しといて」

「集合場所は?」

「そうね……最もスペースが空いているグラウンドに集めて頂戴」

「分かりました」


 ロングちゃんの誘導によりほぼ全ての武装を使い果たした無人攻撃機4機とその上空で飛んでいた早期警戒機1機が飛行したまま集結した。一方で海上戦力には現場待機を命じる。


「後ろに控えているこの子達はどうしようか?」

「一先ず現場待機ね、後方支援だもの」

「分かりました」


 多連装砲、自走砲を中心とした部隊も後方の開けた場所でエンジンを止め一時的に休息を取る事にした。此処は普段、モンスターが頻繁に出没するらしいが、主力戦車がこれを哨戒しながら護衛の任についている。何も問題はないだろう。護衛についている主力戦車は74式戦車だ。


「ロングちゃん、小屋に居る武装集団は諦めるわ。先ずは体育館で抵抗している武装集団を叩きのめす」

「は、はい」

「アパッチ・ロングボウの武装を再装填。フル装備で向かわせて」

「分かりました……でも私、その……回復とかは出来ませんよ?」


 すると西側の観測を続けていた活発的な女子が私に声を掛けた。


「回復系なら私できるよ。簡単な奴だけど」

「装填とかって出来るかな?」

「装填? まぁ、出来んじゃない?」

「怪しいわね」


 適当な回答にミナミさんが心配そうに画面を覗きながら呟いた。


「とりあえずやってみようよ。で、そのアパッチって奴はどいつなんだ?」

「えっとね、今グラウンドに着陸してるんだけど」


 私がグラウンドに指を差した。アパッチ・ロングボウは今エンジンを止めグラウンドに着地して待機している。武装は使用していないが一応再装填しておく。


「あの横に並んでいる黒い塊の事か?」


 屋上越しにグラウンドを覗き込みアパッチを確認した。5機のアパッチ・ロングボウが横一列に並んでいる。


「ところでマリの回復魔法って遠距離型だったかしら?」

「いいや、近距離の奴だけど? それがどうかした?」

「へ?」


 マリと呼ばれた活発的な女子の回答に思わず私は振り向いた。彼女の回復魔法はどうやら近距離のみにしか効果を発揮できないらしい。此処からグラウンドまでかなりの距離がある。


「大丈夫、大丈夫。あんなのひとっ飛びでたどり着けるって!」

「いやいやいや!? 結構な距離があるよ!? 此処!」

「大丈夫、それじゃあ行くよ! あの黒い塊だよね!」

「え、ちょっと! まっ!」


 言いかけたところで彼女は屋上を飛び降りた。ネコ科の動物のように見事なジャンプ力だった。


「なっ!?」


 私は直ぐに座り込んで屋上の下を見下ろした。だが、地面には人の影がない。それに屋上から落下した際のドスッと言う鈍い音もなかった。


「マリならもうグラウンドに向かって突っ走っているけど……」

「はいぃぃぃぃ!?」


 私は真下からアパッチが待つグラウンドの方向に顔を上げた。其処にはグラウンドを疾走するマリの姿があった。人間ってレベルじゃあねぇぞと突っ込みたくなる気分だ。走っている速度も下手をすると人間を優に超えていると思う。


「本当に人間なのかしらあの……」


 一部始終を見たのか、ミナミさんは画面を見つめながら溜息をついた。さすがマリさん、私達に出来ない事を平然とやってのけていく! そこに痺れもしないし、憧れもしない。


「あっ、こっちに向かって手を振ってる」

「やっぱり人間じゃあないわ、あの娘」


 正規ルートで行けば余裕で2時間ほど掛かるはずの距離を僅か5分ちょっとで着いてしまった。

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