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戦う車

「お姉ちゃん……大丈夫かな……」

「ねぇ、先生達が一人も戻ってこないよ?」

「う、うるぇ! とりあえず静かにしろよ!」


 あれから数十分は経過した。迎撃に向かった先生達は今の所一人も戻ってきてないけど、多分全員無事だと思う。でも、何だろう。この嫌な予感。


 パリンッ!


「な、何だ!?」

「魔獣だ! 魔獣が入りこんできたぞ!」

「キャッー!」


 窓ガラスを強引に割って空からワイバーンが数匹迷い込んだ。入り口も完全に壊されてなんか肉食恐竜の小さい奴みたいなのがうじゃうじゃと侵入。皆、混乱の中、攻撃魔法を撃ち続けていた。でも、こんな密度じゃあ私の魔法は使えない……。でも、物は試し。もし、私の魔法でこの状況が変わるのなら!


「召喚!」


 私は思いっきり召喚魔法を使用した。普通、こう言う講堂のような建物の中だと警察官とかが持っていそうな拳銃の方が扱いやすいんだけど、何を血迷ったのか。私が召喚したのは拳銃でもなければ狙撃銃でもなかった。


 キュラキュラキュラ……


「な、何だあのデカ物は!?」

「アレも魔獣の一種か!? よろしい。ならばこの私。カーレッド・エヴァンツ様が仕留めてやる! 覚悟ォ! ワイヤーボルトォ!」


 一人の男子生徒が、私の召喚したソレに対して魔法を使った。ワイヤーが車体に絡まって電流を流すけど、それは生き物ではなくて巨大な鉄の塊。案の定何にも問題が無く、そのワイヤーはキャタピラで引き裂かれた。引き裂かれた後、ワイヤーを出した男子生徒に砲塔がゆっくりと回った。これは、あいてをおこらせたようだ。


 ドォン! ……ダァァァン!


「う、うわぁ!」

「ク、クソ! 破片や埃で周りが何も見えん!」


 ドアを強引に突き破って部屋の中に侵入した鉄の塊は前を行く魔獣を次々と容赦なくひき殺して行った。結構グロいです。


「鑑定!」


 シャールは鑑定をした。私が文字列を見ている合間にも発砲し、壊し、そして蹂躙する。ぶっちゃっけて言うと発砲している理由てっ皆が怖がっちゃって魔法をソレに当てているからなんだけどね。大丈夫かな……死者とか出ていたりしないよね?


 鑑定 名前【Ⅵ号戦車 通称:ティーガー】 分類【重戦車】

 攻撃力:5.670

 防御力:4.700


 ティーガー? どっかで聞いた事のあるような……はたまた無いような……。そうだ! 思い出した。ティーガーてっ言うのはドイツ語で確か虎を意味していた。と言う事はこの戦車も虎のように早く動けるというわけね! 部屋の中だからきっと自由に動けないのよ! 成程。


「成程じゃあない! 何だこの化け物! 攻撃力が5600以上てっ、普通おかしいだろ!」

 ダンッ!

「うわぁぁぁ!」


 あっ、何か文句を言っていた人が飛び魚みたいに跳ねた。てか普通、戦車の砲撃を食らった死にますよね? 至近距離でも骨折ぐらいはしますよね?


「す、凄いです。5・600なんて数字、私、生まれて初めてみました! もう、伝説の剣を悠に越えていますよ!」

「私が居た世界にはね。シャール。こんな物が大昔。うじゃうじゃ居たのよ」

「もうそれ軽く世界滅んでいますよね?」

「そんな事より早く助けてくれ!」


 私が言っているのは何も嘘ではない。第二次世界大戦なんかはこれを凌ぐ。そう、アッ! と驚く兵器が沢山ある事を私は知っている。それに現代人だからこそ知っている兵器も多いのだ。例えば……核兵器とか。


「凄い、アレだけでもう中に入ってきた魔獣は一匹も居なくなったな」

「居なくなったと言うよりは軽く虐殺されたような……されていなかったような……」

「おいおい、エヴァンツの奴、凄い追い掛け回されているけど、大丈夫なのか?」

「それに発砲音も凄い音です……」


 気がついたら敵が居なくなっていたとはこの事。私はティーガーを一旦外に出して、其処から顔を出すような形で様子を窺った。基本的には静かでときより鳥の声が聞こえるぐらい。これは……戦いは終わった! 的なテロップを出しても良いんですかね。


「外はどうですか?」

「うん……とっても静か」

「でも、先生達帰ってこないよ?」


 もしかして、ケケの森とか言う森に言ったなんて展開は無い……よね?


「たくっ、どうしたら良いんだよ」

「先生が居ないんじゃあ私達何も出来ないよね」

「もう各自で寮に戻れば良いんじゃあないかな?」

「諦めんなよ、お前! 諦めてんじゃあねぇよ! 君は富士山だ!」

「ねぇ、本当に大丈夫? アージェ」


 そこのテニス選手は放置と言う形で良いとして。確かに先生の指示なしに勝手に寮へ戻ると言うのも……それよりも教室に戻った方が良いような。


「とりあえず皆、一旦自分の寮へ戻ろう。その方がきっと落ち着くよ」

「それもそうね。決めた。アタシ、寮に戻るわ」

「じゃ、じゃあ私も……」

「なら私もご一緒に……」

「うん、構わないわよ」


 えぇ……でも今はまだ授業中だよ? 勝手に戻って良いのかな? まぁ、良いか。緊急事態だし。


「シエスカさん。その、私達も寮で一旦、休憩しましょう! 私、もう疲れました」

「……分かった。じゃあ一旦寮へ行きますか」


 私は一旦寮へ行く事を決めて、入り口を塞いでいるティーガーを戻した。どうやら皆、バラバラのようで森の様子を見に行った者、講堂へ残る者。そして寮や教室へ戻る者など。そんな中、私とシャールは寮へ戻る事にした。


 先生達が戻ってくるまで。

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