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親方ァ! 目の前にお婆ちゃんがッ!

「うわぁぁぁぁぁ!?」

「な、何だ!?」

「空から何かが降ってきたぞ!」


 ヒュルルルと言う不気味な音を立てながら三人目掛けて落ちてきたのは第2護衛大群から離れ、単独行動をしていた護衛艦「あさひ」(DD-119)だ。「あさひ」は平成三十年の三月七日に就役したばかりの最新鋭艦だ。その特徴はこの艦橋の上にくっついているレーダー。和製イージスとも呼ばれる。


『撃ちー方始めー』

『撃ちー方始めー!』


 「あさひ」の主砲は「あきづき」型同様Mk,54 5インチ砲であり、数多くの軍艦に搭載されている。採用国は日本、アメリカのみに限らずオーストラリア、韓国、ギリシャ、スペイン、タイなどが実戦配備している。


「また来たぞッ!?」

「クッ、さっきよりも正確になってきてやがる!」

「パーリィピーポォー!」


 普段はレーダーや衛星などの情報を得て砲撃するのだろうが、今回はロングちゃんの誘導魔法によって正確に放たれている。その砲弾はまるで弓矢の如く。


「お、おい!? 大丈夫か!? 衛生兵! 衛生兵を!」

「裏切り者の貴様らに衛生兵は最早必要ない! この爆発の雨とともに砕け散るが良い!」


 幹部の男が勝ち誇るように笑い始めた。丁度その頃、ロングちゃんによって精密に誘導された一発の砲弾が幹部の男の頭の上に見事突き刺さり、炸裂。砕け散ったのは奴の方であった。


「そんな馬鹿なぁぁぁぁ!?」


 断末魔がグランドに響く頃、更にもう一発が幹部の男を追ってきた三人の部下達に突き刺さった。一人はあっと言う間に吹っ飛び残りの二人も爆発に巻き込まれた。この隙に裏切り者と称された二人は校門を抜け出し敵前逃亡を図った。


『グレイ・アイより「あさひ」へ。二つの目標が戦線を離脱した。逃すわけには行かなん。なんとしてでも撃破せよ』

『こちら「あさひ」了解、間もなく射撃準備に入る』


 データーをグレイ・アイより受け取った「あさひ」は回線を主砲につなぎ何時でも射撃が出来るように艦首を右に向けた。海岸線沿いに進み、主砲を目標の居る方向へ旋回させた。


「こ、此処まで来ればもう大丈夫だろう……お、おい! お前? 大丈夫か?」

「パーリィピーポォー……」

「だ、ダメだこりゃ……神経が狂かれてやがる」


 裏切り者と呼ばれた黒マスクの男は同僚と思われるもう一人の男を担いでこの小さな小屋までたどり着いた。一先ずは此処に潜伏し時を見計らってこの地域からの脱出を狙っている。小屋に隠れたお陰か高高度に居るグレイ・アイの目を誤魔化す事に成功する。


『こちらグレイ・アイ、目標を見失った。繰り返す、目標を見失った!』


 情報は即座にシエスカへ届き、シエスカは迷う事なく付近に待機させていた無人攻撃機を数機現場へ向かわせた。


「何だ?」


 黒マスクの男は耳を澄ませ此方に近づく何かを捕らえた。それはシエスカが差し向けた数機の無人攻撃機だった。小屋周辺をくまなく飛び回り発見次第、搭載しているミサイル及びレーザー砲でこれを撃破するのだ。レーザーなんて食らえば普通の人間ならひとたまりもない。火傷じゃあすまないだろう。


「あんな物……生まれて初めて見るぞ……」


 無人攻撃機を逸早く見つける事が出来た黒マスクの男は初めて見る空飛ぶ飛行物体に対して最初は何も出来なかった。息を潜め様子を窺うばかり。時間が無駄に過ぎてゆき次第に脱出する機会が失われてゆく。


「まだ見つからないの?」

『こちらグレイ・アイ。目標未だに発見できず。増援を願う』

「はぁ、仕方ないなー」


 溜息をついたシエスカは召喚魔法を発動し、グレイ・アイ及びロングちゃんの誘導を受け直ぐに現場地域へ急行した。シエスカが召喚したのは戦車の天敵、攻撃ヘリコプターだ。


「こちらアーチャー1、間もなく目標空域へ到着する」

『目標発見次第、速やかに攻撃開始。敵を向こうの教会へリスポーンさせるのよ!』

「……了解」


 アパッチ・ロングボウは小屋上空を何度も時計回りに旋回し相手を挑発した。高度を低くしたり、急停止したり、その場を回り始めたり。だが、黒マスクの男は冷静だ。


「何だ? アレ?」


 黒マスクの男はこう思ったに違いない、鉄の塊が今、目の前で空を飛んでいる。科学が存在しないこの世界ではとても不思議な光景だ。しかもその鉄の塊は下部に妙な物が取り付けられている。数多くのミサイル郡と機関砲だ。


「こちらアーチャー1、目標捕捉! これより攻撃を開始する!」

『やっておしまい!』


 目標を赤外線センサーで捕らえたアパッチ・ロングボウは、ついに前に着く30mm機関砲を小屋に向け何百発もの銃弾を黒マスクの男に浴びせようとした。その時。


「おっとっと……忘れもの……忘れ物……」

「!?」


 黒マスクの男も思わず疑った。何と目の前を年老いたお婆ちゃんが通りすぎたのである。彼女はそのまま黒マスクの男が潜伏する小屋に向かい、ドアの鍵を開けた。


「まだ人が居る! 繰り返す! まだ人が居る!」


 アパッチ・ロングボウは射撃を拒み、シエスカも中止命令を出した。お婆ちゃんが居なくなったところで攻撃を開始する。シエスカはそう決心し、お婆ちゃんがいなくなるのをただひたすら待った。だが、そこで思いもよらぬ展開が。


「おや? 鍵……鍵は何処かのぉ?」


 何と、そのお婆ちゃんはうっかりと雑草が生い茂る地面に小さな鍵を落としてしまったのである。

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